サンマ転生〜気づけば数億年、いつの間にか邪神と崇められていた。
栗頭羆の海豹さん
古代の海へようこそ!
秋の味覚サンマ
えぇ・・・・何これ?海ではあるよな。
貴方は気がつけば知らない水の中にいた。口から入ってくる水が塩味ぽかったので、貴方はここが海だと断定する事ができた。
そもそも、貴方にはここにいるまでの記憶が少ししかなかった。
死んで死後の世界に行った事。
そこで男か、女か分からない神に会った事。
その神がやたら自分を気に入っていた事。
そして、何やら最高の試練を乗り越えてとかいう不穏な事を聞いて穴に落とされた事だった。
前世の記憶はかけらもなく、ただ安らかに看取られて死んだことは感覚として残っていた。
いや!そんなナレーション語りで整理している場合じゃない!まずは現状確認だ!
貴方は自分の身体を見ようと下を向いても足や下半身を見つけることは出来なかった。
その光景を見た貴方はSAN値が削れそうな感覚を味わうが、嫌な予感を振り払い、今度は後ろを振り返った。
そうすると魚の尻尾が見えた。
・・・・・・まぁ、予想はしていたよ。水中で息切れしない時点で。
貴方はワンチャン魚人とかもあるかな?と期待していたのだが、そんな期待も虚しく貴方は魚に転生していた。
何の魚だ?サンマぽい?
種を見分けれる程魚に対しての知見を貴方は持っていなかった。
スーパーで売っている魚種程度の知識です。
そんな貴方が細長いと胴体と、刀身のような配色、少し細く出ている口からサンマと予想した。
異世界の可能性があるこの世界でサンマというのも変ですが、呼称は必要です。
サンマ(仮)に転生した貴方は思いました。
ここにいたらまずいと・・・
・・・あっ!ぶなっ!そうだよな〜美味いよなサンマ。そんなのが、泳ぎもせずじっと水中に漂っていたら捕食者が襲ってくるのも当然。
下から奇襲を仕掛けて、貴方を食べようとしたのはエビとも、カニとも違うハサミを持った地面に擬態しているような配色の甲殻類ぽい生物だった。
明らかに自身の10倍はありそうな捕食者に一瞬で逃げる選択したのは正解でした。
硬く重い甲殻を持ったその捕食者は泳ぎが得意ではなく、どんどんと距離を話しているのを音で感じとっていました。
その後、上手く海流に乗れた貴方は流れに身をゆだねながら移動し続けながら今後を考えていました。
問題は俺が小さいのか、あれが大きかったのかだよな。
あの捕食者が大きかっただけなら、貴方は中くらいのサイズである。必ず餌となる生物がいるのは確定する。
つまり、貴方も捕食者としていられる時があるという事です。
これは重要です。
貴方が小さいサイズの場合、ずっと命を狙われる立場だという状況は心が休まらず疲弊していき、いつか捕食される。
だから、心と体両方が休まる寝床が必要だが、そんなのは他の弱者と同じであり、縄張り争いに負けたら、死。
このまま海流に乗り続けても結局、食べ物にありつけずに、死。
大きなサイズがこれない浅瀬に行かないと行けないが、それも賭けです。
何故なら、そもそもこのサンマ(仮)がどういう生活をするのか、貴方は知りません。
今、見える範囲にも、海流に乗った時も、捕食者に追われている時も、同種や似た種を見ていない貴方は己の本能に従わないといけません。その本能が浅瀬はダメと訴えてきているのです。
貴方は早くも人生の分岐点に立たされています。
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