第30話目を覚ますと
「んっ………私っ…」
目を覚ますと温かいモノで心も体も包まれている様な…そんな感覚…。
「ぁっ…傍に…いてくれたんだね…豊ちゃん…?」
泣いてそのまま眠ってしまった私を、安心させるかの様に抱きしめたまま一緒に眠ってくれている豊ちゃん…。私は豊ちゃんの胸に顔を埋める様な形になっていたので、顔を少しだけ動かして耳を心臓に宛てがった…。
“トクン…トクン…トクン―”
豊ちゃんの心臓の鼓動がとても心地良いリズムを奏でていて…心から安心できた。
一時は絶望の沼に嵌り死ぬ事も考えていた。あんな男にアレ以上穢されたくはなかったから…。だから…最期に抱いてもらおうと思っていたのに…。
それなのに私を絶望の沼から掬い上げてくれて…
「…っき…好き…大好きっ…」
そんなの惚れ直しちゃうよ…。私はモゾモゾと体を捩らせながら移動して…豊ちゃんの額に自分の額を重ね合わせる。鼻先が少しだけピトッっと触れ合い、お互いの息が掛かり合う距離…。
「キス…したいな…して…いいかな?なんてね…ふふっ…」
こんなに近いんだし…好きな人のまつ毛の数も数えられる位の距離なんだよ?どんどん好きが溢れてきちゃう…。本当はこのまま唇を何度も何度も奪い去りたい…。でも…初めてのキスは豊ちゃんからして欲しいとも思っている。
「本当に…大好きだよ?誰にも取られたくない…だから…私…もう少し積極的に…」
「んっ…」
それは…偶然…それとも必然?豊ちゃんが動いた事によって…少しだけ触れていた鼻先がすれ違い、まるで一つの影になるように重なった。
「んっ!?」
同時に唇に柔らかい感触を感じちゃう…。
あれっ…?コレって…豊ちゃんの唇と私の唇が重なってない?重なっているよねっ!?
私…事故とはいえ、キスしちゃってるっ!?
「はわわわっ!?」
突然の事に私はパニックになり、せっかく重なっていた唇を離して飛び起きて思わず正座になってしまう…。豊ちゃんが私のそんな声と動きにビックリしたのか目を覚ましてしまう。
「どうした、凛!?もしかして怖い夢でも見たのか!?大丈夫!俺はここに居るから」
眠け
「凛。何かあったら絶対に言ってくれよ?俺が出来る事なら何だってするからさ」
「…うん…ありがとう…豊ちゃん…。私はもう大丈夫だよ?だって…豊ちゃんが助けてくれるって分かったから」
「…う、あっ…そうだな…うん、助けるよ」
アレ?何だか急に言葉がしどろもどろになって、やけに顔が赤みがかってる気がする…。私は頭を傾げながらどうしたの?と、訊ねてみる。
「あっ…いや…ちょっと…目のやり場に…」
「ぽえっ?」
私は自分の体に視線を落とす…あっ…まだ服を着てなかった…。私も私で全身熱くなるのを感じる。私は生まれたままの姿だったのを忘れていたの。でも…それは…今更だよね?キスは突然の事だったから驚いたけど、積極的にいくと決めたんだもん。顔から火が出そうな位…恥ずかしいけど…私…頑張る。
「……えっと…あ、改めて聞くけど…どうかな?」
「はぁっ!?それは…綺麗…だよ」
「…こ、コレ位の胸…豊ちゃんはどう?い、一応Cカップ…はあるんだけど…」
私は自分の二つの胸を掴み持ち上げながらそう聞いてみる。その瞬間『がふっ』と変な声を出すとともに鼻に手を添える彼…。
「た、大変よろしゅうございます…ただ…」
「ただ?」
「そろそろ勘弁してくれ…鼻血が止まらん」
「鼻血っ!?」
私は慌てて立ち上がり、電気をつけて部屋に備えてあるティシュの元へ。それを手に取ると急ぎ豊ちゃんの元へと戻る…。
「豊ちゃん、早く横になって!?」
「い、いや、鼻血の時は横になるのは―」
「もう!いいから、早くっ!」
強引に豊ちゃんを横へと寝かしつける。その際…良かれと思い私の太ももが枕になるようにしたんだけど…
「り…凛……お、俺を殺す気…なのか?」
と、いう声とともに豊ちゃんがぐったりとして動かなくなってしまった…。でも…どことなく幸せそうな感じも…。って、そんな場合じゃないっ!?
「と、豊ちゃーん!?」
と、とにかく…そんなこんなで私は救われて…もっと大好きになったっていうお話…。
***
あとがき
優花「アウト!アウト!スリーアウト!チェンジよっ!?」
日和「それな?最後なんか…綺麗に纏めたつもりなんだろうけど纏まっていないしな?」
凛「し、仕方ないもん。豊ちゃん気絶しちゃうし」
天音「し、刺激が強すぎたんですね…」
芽依「これは優花さんの言う通りアウトだよ!?」
愛「ある意味…血のワ◯メ酒が出来上がりましたね?」
優花「あんたはまた何言ってんのっ!?」
凛「そ、そんなわけで…引き続き応援や評価宜しくお願いします」
「「「「「お願いします!!!」」」」」
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