凌辱系エロゲの世界に転生〜ゲームの世界が現実になったからには…俺はヒロイン達を救いたい〜

美鈴

プロローグ 

『──そんな訳で、今日のゲーム実況はここまでにしたいと思います!』



【もう少し見たかった】

【うわ~ ここまでか…】

【もう少しもう少しだけっ!】

【しゃな~いしゃ~ない】

【次のエリアの先っちょっだけでも…】

【↑絶対意味違うよな(笑)】

【次の楽しみに取っておく】

【それな!】

【うんうん】

【次を楽しみにしてるよ♪】

【次回も待ってる♡】



 コメ欄には俺のゲーム配信が終わるのを惜しむコメが流れている。俺はありがたいなと思いながらも締めの挨拶へと移る…。




『それでは…次回の配信も宜しくね! っと、いうわけで…バイバ~イみんなぁー!』




【乙】

【バイバ~イ】

【お疲れ様でした♡】

【お疲れさん】

【またな!】

【待ってま~す!】



 まずは配信を切って…っと。それから切り忘れがないかをしっかりと何度も確認する。 それをちょうど見計らったかの様なタイミングで…



“──PURuuRuuRuu…PURuuRuuRuu…”



 携帯電話の着信音が鳴った。携帯を手に取り、画面に視線を向けると優花と名前が表示されている。 通話ボタンをタップして…。


『お疲れ様。豊和君とよかずくん♪配信見てたわよ♪』


「見てくれてたんだ?」


『そ、そんなの当り前でしょ?お、幼馴染なんだし…(なにより私と豊和君の仲でしょっ?って言うのよ優花!!!)』


「忙しいだろうにありがとうな、優花?」


『…べ、別に…お、お礼を言われる事なんかじゃないからね?た、たまたま…そう、たまたまМエムチューブを観てたら豊和君が配信しているみたいだったから観ただけなんだから…決して配信前から待機なんかしてないからね!(あ~もう…私の馬鹿っ…)』


 Мチューブ…。俺が配信している配信サイト。前世でいうところのユ◯チューブと言っても過言ではない。


「まあ、ちょうど俺も優花ゆうかに電話しようと思ってた所だったんだ」


『…ふぇっ!?ほ、ホントにっ!?私に電話をっ!?』



 そ、そんなに驚く事か?電話くらいしょっちゅうしてるよな?昨日も電話したよな?掛けてきたのは優花だったけど…。



『ち、ちなみに…何て電話しようと…お、思ってたのかしら?も、もしかして…こ、告白とかだったり…する…?』


「えっ?そりゃあ明日同じ高校に入学する訳だし、でもあるだろ?だから改めて宜しくって挨拶と…って言っときたくてさ」


『…ええ、そうよね…。豊和君だもん…分かってたわよ。豊和君はそういう人だものね?少しでもそう思った私が馬鹿だったわよ…ホントに馬鹿っ…』


「んっ?俺何かマズイ事言ったか?」


『…言ってないわよ。とにかく豊和君の言う通り一人には決してならないから安心していいわよ』


「素直に話聞いて頂けるみたいで嬉しいよ」


『…それはそうでしょう?豊和君は私を二度も助けてくれてるしね?』


「んっ? 一度だろ?」


 俺が優花を救けたのはの一度だけの筈なんだけどなぁ…


『そ、それに…ね?』


「それに?」


『…ごめん…やっぱり何でもないわ…』


「?」


 何か悩みがある様なら聞くぞと言ったけどそんなんじゃないから大丈夫よと優花が言ってくる。なんか悩みがあるならいつでも俺は聞くからと念には念を押しておく事にした。何かあってからでは遅いしな…。


 彼女は…。


『と、とにかく明日から宜しくね?』


「こちらこそ…それと…悠介ゆうすけさんに宜しく言っておいてくれるか?たぶん…悠介さんに頼りっぱなしになると思うからさ…」  


『…うん…分かったわ。お父さんにそう伝えておくわね?じゃ、じゃあ…おやすみなさい…豊和君…』


「うん、おやすみ優花」


“──ピッ”




 ──通話終了のボタンをタップして携帯をベッドのヘッドボードに静かに置く。 そのまま俺はボスンとベッドに仰向けで横になる。



『この世界に…か…』




 いよいよだ…。いよいよゲームの本編シナリオが始まる時が来たんだな…。失敗は許されない…。失敗すればヒロイン達はみんな…悲惨な目に遭ってしまうからな。


 だからこそ…それを知ってるからこそ…出来る事は全部準備してきた筈だと自分に言い聞かせる。 別に俺はヒーローになりたい訳じゃない。そうなるのを知ってるのに何もしないのが嫌なだけだ。


 ゲームでは…彼女達が幸せになるシナリオが一つもなかったんだ…。みんな精神を病んだり、犯され続けたり、好きでもない誰が父親かも分からない男の子供を孕んだり…。


 だからこそ幸せになるオリジナルシナリオを追加してあげられたらと思った…。ただそれだけの事…。俺の自己満足に過ぎないんだけどな…。


「…俺をこの世界に転生させたという事はそういう事を防いでも…違う結末にしてもいいんだよな?」



 当然だけど投げ掛けるように呟いた俺のその言葉に応えてくれるものはいない…。色々とそんな事ばかり考え込んでいる内に俺はいつの間にやらそのまま眠りへとついていたんだ…。





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