第5話 ドワーフ

 葛城は朝食を終え、明日香に別れを告げると、藤堂の部屋へ向かった。廊下を進むうちに、少し緊張した気持ちが芽生える。


 ドアをノックすると、返事はなかった。もう一度ノックをすると、少し遅れて藤堂の声が聞こえた。「はい、今開ける!」


 ドアが開き、藤堂は寝ぼけた様子で現れた。「おはよう。遅くまでゲームしてて、つい寝坊しちゃった」


 葛城は安堵の表情を浮かべた。「良かった。朝食に行く予定だったけど、待ってたよ」


 藤堂は笑って、「ごめん、急いで支度するよ。」と言いながら、部屋に戻って身支度を始めた。


 数分後、二人は食堂に戻り、明日香と合流した。会話が弾む中、葛城は昨日の悪夢のことを思い出し、気を紛らわせるために、次のクエストについて話題を振った。


「次はどのレベルに行く?新しい敵キャラが増えたみたいだし、ちょっと緊張するな」


 藤堂は興味津々で、「それなら、ウイルスの魔女を倒しに行くべきだよ。アイテムを集めるチャンスもあるし」と提案した。


 明日香も乗り気になり、「協力して頑張ろう!」と応じ、三人は次の冒険に向けて意気込みを新たにした。食堂の明るい雰囲気の中、葛城は不安を振り払い、仲間と共に新たな挑戦に臨む決意を固めた。

 

 葛城たちが次のクエストに向けて準備を進めていると、突然、ゲーム内で異変が起きた。ハッキングのような現象が発生し、手持ちの回復薬が使えなくなったのだ。


「どうなってるんだ?」葛城は困惑しながら画面を見つめる。


 藤堂も眉をひそめ、「おかしいな。回復薬が全て無効になってる。もしかして、何か特別な魔術がかけられているのかも」と考察する。


 明日香は状況を分析しながら、「敵キャラが強化されたせいで、回復アイテムに制限がかかっているのかもしれない。次の敵との戦闘では、特に注意が必要だね」と言った。


 葛城は仲間と協力して、代替手段を考え始めた。戦闘中にスキルを駆使したり、食料アイテムを利用することを検討しながら、どのようにして敵を乗り越えるかを話し合った。


 仲間たちと共に戦略を練る中で、葛城は新たな挑戦を前に、冷静さを保ちながら最善の道を見つける決意を固めた。魔術の影響を受けているかもしれないこの状況を、逆に活かして勝利を目指すことを心に誓った。


 バックパッカーとロビーで鉢合わせした。

 彼は『ドワーフを倒すと回復薬を手に入れられる』と教えてくれた。

 北欧神話には闇の妖精ドヴェルグがいる。太古の巨人ユミル(Ymir)の死体(=大地)から生じた。生まれた当時はうじ虫だったが、神々の決定により人に似た姿と知性を与えられる。その後も地中を好み、岩穴で暮らす。彼らは信仰の対象ではなく、しばしば神々と対立する立場で登場するが、対価に応じて神々の象徴となる魔力のある武器や宝の制作をする優れた匠としても描かれる。ドヴェルグは太陽の光を浴びると石になる、もしくは体が弾け飛んで死ぬといわれる。


 葛城たちは、次のクエストに向けて準備を進める中、ホテルの一室でドワーフ型の敵キャラに遭遇した。彼らはこのドワーフが持つ特別なアイテム、回復薬を手に入れるために戦うことを決意した。


 ドワーフは小柄だが、手にしたハンマーは強力な攻撃を繰り出してくる。葛城は仲間と協力し、ドワーフの攻撃をかわしながら反撃を行った。


 戦闘が激化する中、葛城は巧みに敵の隙をつき、藤堂と明日香が援護する。ドワーフは次第に体力を削られ、最後の一撃で倒される。


 ドワーフが倒れると、地面に光るアイテムが現れた。それは回復薬だった。葛城たちはそれを手に取り、戦闘後の安心感が広がる。


「これで次の冒険に備えられるね。」葛城は笑顔で言い、仲間たちもホッとした表情を浮かべた。回復薬を得たことで、次のクエストへの準備が整ったことを喜ぶのだった。


 葛城たちはドワーフを倒した後、手に入れた回復薬をしっかりと持ち帰り、次のクエストに向けての準備を進めた。ホテルの部屋に戻ると、彼らは再び集まり、作戦会議を開くことにした。


「次はどこに行く?」明日香が尋ねる。


 藤堂は手元の地図を広げ、「この辺りに、ウイルスの魔女が出現するという噂がある。回復薬もあるし、行ってみる価値はあると思う」と提案した。


 葛城は考え込みながら、「ただし、敵が強化されている可能性もあるから、慎重に行こう。特に、魔女の魔法には注意が必要だ」と付け加えた。


 彼らは一通り戦略を練り、装備やアイテムの確認を終えた後、次の冒険に出発することを決定した。夜の街を抜け、次の目的地へ向かう道中、葛城は仲間と共に協力し合い、無事にクエストを達成することを心に誓った。


 緊張感と期待感が入り混じる中、彼らは新たな敵との戦闘に挑むため、決意を新たにしていた。

 

 

 

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