第4話 休息

 葛城は激しい戦闘を終え、ホテルに戻ってきた。疲れた体を引きずるようにして、部屋のドアを開ける。静かな室内に入ると、ホッとした気持ちが広がった。彼はしばらく座って、冒険の余韻に浸る。


 デバイスをチェックし、戦闘の結果を振り返りながら、次のクエストの計画を練る。カツレツが重傷を負ったことを思い出し、彼の回復を考え、必要なアイテムを用意することを決めた。


 窓の外には、マラケシュの夜景が広がり、街の明かりがキラキラと輝いている。葛城はこの美しい光景を眺めながら、明日の冒険に向けて心を整えるのだった。


 葛城はホテルの食堂に向かい、夕食を取ることにした。食堂は賑やかで、地元の料理が香る中、明日香や藤堂の姿を見つけた。彼らも夕食を楽しんでいるようだった。


「お疲れ様、どうだった?」と明日香が微笑みながら声をかける。


 葛城は疲れた表情を崩さずに、冒険の話を始めた。「風邪レベルのザコキャラと戦って、カツレツが重傷を負ったけど、なんとか勝てたよ」

「カツレツって変な名前だな?」と、藤堂が苦笑した。

「昔、ある奴が俺をカツレツって呼んだんだ」

「あ〜おまえの名前、烈だもんな? けど、変えた方がいいぜ」

 明日香が割り込んた。

「新しい敵キャラも増えているみたいだね。特にウイルスの魔女とか、厄介そうだ」と話す。


 周囲の他の客たちも耳を傾け、葛城の冒険談に関心を持つ様子。彼は自然と話に花が咲き、食堂の賑やかな雰囲気の中で、仲間たちとのつながりを感じる。


 食事を楽しみながら、葛城は今後のクエストや戦略について語り合い、心の中で新たな決意を固めるのだった。


 食堂にいた他の客は以下の通りだ。


1. **地元の商人** - アートや工芸品を扱う商人で、明るい性格。葛城たちにマラケシュの文化について語る。


2. **旅行者のカップル** - フランスから来た若いカップルで、モロッコの魅力に感動している。観光スポットの話を楽しんでいる。


3. **バックパッカー** - 一人旅をしている冒険好きの青年。彼の持つカメラやノートには、様々な体験が記録されている。


4. **リピーターの観光客** - モロッコに何度も訪れている中年の女性。独自の旅行スタイルやお気に入りの場所を話し、他の客にもアドバイスをしている。


5. **地元のアーティスト** - アリの友人で、アートの話題に花を咲かせている。彼はアリの作品や影響を受けた過去について語る。


 これらの客たちは、葛城たちの会話に参加したり、情報を提供したりして、食堂の雰囲気をさらに活気づけていた。

 

 葛城は食堂での賑やかな会話を終え、ホテルの部屋に戻ると、風呂に入ることにした。疲れた体を癒すために、温かいお湯に浸かることを楽しみにしていた。


 バスルームに入り、湯を張ると、心地よい蒸気が立ち上る。お湯に身を沈めると、日中の冒険の疲れが少しずつ和らいでいくのを感じた。彼は、戦闘や仲間との会話を思い出しながら、リラックスした時間を過ごす。


 ふと、明日香や藤堂との次のクエストの計画を考え、どのように進めるかを練る。温かいお湯に包まれながら、明日の冒険への期待が膨らんでいくのだった。

 

 葛城は風呂から上がり、疲れを癒しながら眠りに落ちた。しかし、その眠りの中で、悪夢に襲われた。夢の中では、彼がゲームの中で直面した風邪レベルのモンスターたちが実体化し、街中に蔓延していた。


 無数のウイルスの魔女が彼に襲いかかり、周囲の人々が次々と倒れていく。葛城は彼らを守りたいと思うものの、動けない恐怖に苛まれた。目の前には、重傷を負ったカツレツが苦しむ姿が映し出され、彼の叫び声が耳に響く。


 その時、葛城は急に目が覚め、息を呑んだ。夢の中の恐怖がリアルに感じられ、心臓が高鳴る。彼は深呼吸をして、現実を思い出しながら、再び眠りにつこうとしたが、悪夢の余韻が消えず、不安な気持ちを抱えたまま朝を迎えるのだった。


 葛城は朝食を取りに食堂へ向かった。賑やかな雰囲気の中、様々な料理の香りが漂っていたが、藤堂の姿は見当たらなかった。


 明日香がテーブルについていたので、彼女に尋ねる。「藤堂はもう来てる?」


 明日香は首を振り、「まだ来てないみたい。昨日遅くまで遊んでたから、もしかしたら寝坊してるかもね」と答えた。


 葛城は少し心配になりながらも、食事を取り始めた。食堂の活気の中で、藤堂が無事であることを願いながら、彼も次の冒険に向けた準備を進めることにした。朝食を終えた後、様子を見に藤堂の部屋に行くことを決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る