溶けそうなくらい暑い

第1話

 ある暑い夏の日、私は会社の後輩と外回りをしていた。私の体からは常に大量の汗が溢れ出ていた。


「なんて暑さなんだ」


「まったくですね。こんな日に外回りさせられるなんておかしいですよ」


「お前はうちの商品を忘れたのか。扇風機だぞ。こんな日だからこそ、外回りをしているんじゃないか」


 話しているとすぐに喉が渇く。私はバックから水筒を取り出して飲もうとしたが、中は空っぽだった。


「しまった。もうなくなってしまったのか」


「仕方ないですよ。こんなに暑いんですから」


「コンビニで水を買ってくるから、そこの公園のベンチででも待っててくれないか」


「了解です。早く戻ってきてくださいね」


「すまないな」


 そう言って私はコンビニに入っていた。コンビニの中はクーラーが効いていて、非常に涼しかった。私はこれだったら後輩もついて来させればよかったなと思った。

 水を買って、後輩が待っている公園に向かった。しかし、後輩の姿が見当たらないのだ。


「あいつはたった数分も待てないのか」


 そんなことを呟きながらベンチに座ろうとすると、私はあることに気づいた。後輩の着ていたスーツが捨てられているのだ。

 困惑しながら私がスーツを拾うと、スーツはびしょびしょに濡れていた。しかも濡らしているのはただの水ではなかった。それは、茶色くドロドロとした液体だった。

 私は気味が悪くなって思わず手を離した。額から汗がだらだらと垂れてきた。いや、正確には茶色くドロドロとした液体が垂れてきていた。

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