信号待ってたら隣に立ってたのが幼馴染だった。どうしょっか。

Diction

1年生一学期

第1話 あわわ。どうしよう………。

どうしよう。そして─────なぜこうなった???




こうなるためには時を遡ること30分前。



「信号に引っかかった。……………くそ。」

これは単なる日常の出来事。

まあ、高校の入学式が終わった放課後のことだ。


信号に引っかかってしまった。

それは、いいのだ。ここの信号は待てる。

だって自分の住んでいるマンションの目の前なのだから。

だが、だから────これだけはおかしい。


「なんで、お前がいるんだよ。」



「え?………なんでアンタがここにいるの!?

武田たけだ隼人はやと』!!

それに、制服?」


聞こえてきたのは可愛らしい女性の声。

そして見えたのは誰もが美少女だと認める美貌。

(まぁ、俺はそう思わないが。)


そう。幼馴染の『三島みしま 桃花とうか』であった。


「制服でなんか悪いか?

それはともかく、俺はそこのマンションの一室を借りてんだよ。」

「ええ、悪いわよ?そうなのね。どうでもいいけど。

私は近くのマンションの家に帰るんだけど??」


奇遇だなぁ。近くのマンションなんて俺の家がある所しかないよ??

まあ、興味無いけど。


未来の俺が言わせてもらおう。

さっさとと走って自分の部屋に向かえば良かったのだ。


「あっそ。………あ、信号青になった。」

「そうね。………青になったわね。」



「…………おい。なんでこっちに歩いてくる。」

「はぁ??アンタがどっか行きなさいよ。邪魔なのよ。」

いや、お前がな?


「いや、お前がな?宇宙まで飛んで塵になっとけ。」

「うるさい。黙れ。あんたが水素になれ。」


いや、ナチュラルに腹パンすんな。


「うげぇ。……暴力反対なんすけど。」

「うるさい。全部アンタが悪い。」


…………そうなんですよねぇ。


「はいはい。俺がわるぅございました。」

「そんな軽い謝罪はいらない。」


………なんなの?知らんがな。軽い謝罪って。


「はぁ。」

「なに?いっちょ前にため息ついてさ?相談乗ろうか?人生相談。」

「なにナチュラルに病んでるの確定してんだよ。」

「あなたは、いつでも病んでるでしょ。」


………どの口がそれを言うんだよ。



「あ、着いた。」

「着いたわ。」


「「は?」」


まあ、いいか。


未来の俺が断言する。

さっさと行動しろぉおおおお!!!死ぬぞ!!


「お前、どけや。」

「あなたがどいてくれないかしら?」


今、何をしているのかはエベレーターの争奪戦。

どっちが乗るのか決めている。


「あらあら。可愛いわね。」

「そうねぇ。初心な高校生カップルねぇ。」



…………


「これはまずいな。」


「えぇ。二度とカップルなんて称号は要らないわ。二度とね。主にあなたのせいで。」


「それは悪かったな。」


「そうやって謝らないで。そこが嫌い。」

「お前の高飛車なとこが嫌いなんだよ。」



「あらぁ?帰ってきたの?馬鹿息子?」

「遅いわよ。桃花?」



「さーせんした。でもこいつがなぁ────」

「ごめんなさい。でもこいつが───」



「「つべこべ言わずに早く来なさい?」」



「「はい。」」



やっぱり自分の母親には勝てないのである。




「というわけで、あなたがたには。」


「いや、どういうこと?かぁさん?」


「いや、だからね?」


「なるほどね。隼人、あなたがしてきた事の償いよ。」


そういうこと?母さんが確かに『先延ばしさせてもらうわね?』とか言ってたけどさ。


「なるほど。お前のしでかしたことが遂に報いを受けるんだな。」


「あなたよ。あなた。」



「カップル漫才はやめてね?」


してないんですけど?


「してないけど。………おい、なに顔赤らめてんだよ。」

「うるさいわね。黙ってろ。ばか。」


はいはい。黙ってますよ。



「んで?本題に入って?」

「あなた達が脱線したのよ?」


「すみません。………罰っていうのは何をしたらいいですか?」



そうして、2人の母は顔を見合わせてこういった。


「「同棲しなさい。」」


これは………即答しかないよね?


「え、やなんだけど。」


「私は………別にいいわよ。」


なぜに???


「え?なんで?貞操の危機とか感じないの?」

「は?何を言ってるの?アンタはヘタレでしょ?」


ムカつくんだが?いや、事実だけども。



「うーん、釈然としないな。」



「黙ってよっか?バカ息子?大体、あなたが悪いんだからね?」

「はい。すみません。………だとしたら、俺は同棲の対象外では??」


「だからさ、これから説明するって言ってんでしょ?」

「はい。」


くっそ。なんで俺がこんな目に。


「いいかしら?あなた達が喧嘩した時に私たちは相談したわ。最終的に『高校生になったら、』っていう風に決まったわ。」


「なんで??」


「簡単よ。罰を受けたなら償わなければならない。だから─────」


「それを問題を起こした奴が起こされた側に償いを行う。そういうこと?」


「大体はあってるわ。ついでの理由としてもあるのだけどね。」

「ついでの理由って??」

「あら、昔の約束覚えてないのかしら。」

「いや、覚えてますけど?確か───『将来、2人で結婚する』だっけか?」

「そう、よく覚えてるじゃない?」

ま、まさか─────

「まさか───」

「ええ。その『まさか』よ?」

そ、そんな…………。

将来の結婚相手まで決められるとは………

まあ、いいか。こいつだったら、変な女よりマシなのかな?




「因みにルールはありますか?」

「あら。………ルールなんてあるわよ。当然。これから喋るからね。ルールは1つ。

『どちらからも干渉すること。』

これがルール。」



は??つまり────

「相手の望む家事を行えと?」



「まあ、正解ね。でも、60点。」


くっそ。

そして、あいつ桃花はニンマリと笑った。

くそ、可愛くなりやがって忌々しい笑顔だな


「洗濯も風呂掃除もなのかしら?」


「残念。90点」


は??なんで?あってるやろ。家事で。


「あなたは、問題を起こしたから30点減点。」


中途半端すぎるし、なんか釈然としないな。しかもナチュラルに心読んでやがる。


「因みに満点の回答は相手の下着も洗う。

次に─────」


「はぁ!?それはないだろ!!」


あの、それは本当にダメですよ?ひとつ間違えれば…………あわわわ。犯罪者に仲間入り??


「一緒に風呂はいれだなんて…………まぁ、いいか。隼人だし。」


ひどくね?やる時はやるよ?俺でも。頑張るけど。

「いや、おかしくね?俺に犯罪者になれと?」


「うるさいわね。とにかく明日には同棲してもらうわ。これは確定事項。そんなこんなで私は桃花ちゃんの部屋に行くから。それじゃ、行きましょっか。桜子さん。」


桜子さんとは、桃花の母親。


「ええ、後は若い子に任せましょう。」


「え!?ちょ、ちょっと!!」

「は!?流石に早すぎだろ!!」


「「それじゃ、ばいばーい。」」


「もし、私に手を出したら………分かってるわよね??」


「はいはい。昔から知ってるよ。桃花。」


「なんで、呼び方───」


「はぁ??これから同棲すんだろ。呼び方変えないと、母さんに怪しまれる。」

「まあ、いいわ。……それじゃ、荷物もってくるわね。」


「おう。」



ん??ってか、待てよ?とか言ったか??もしかして────

玄関を急いで開けて、キョロキョロ見渡すと───そこには隣の部屋に入ろうとした桃花がいた。


「………は??はぁああああああ!?!?!?」



なぁ、助けてくれ。どうしたらいい?



どうしよう。そして─────なぜこうなった???



そうして、冒頭に戻った。



おねがい、誰か助けて??

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