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それから、わたしは毎日欠かさず、手帳を持ってお花見に行った。サキがお花見の何を楽しんでいたのかを知るために。時間を変えてみたり、持っていく物を変えてみたりと色々と試しながら。
端から見れば、年端もいかぬ女子が昼夜問わずに徘徊する異常行動だったろうけど、親しい友人を亡くしてすぐだからか、両親や周りの人は何も言ってこなかった。
満開の桜を見て溜息を零して、
「綺麗だねえ。サキ」と呼びかける。
月に重なりながらチラチラと舞い落ちる桃色の花弁を眺めながら、
「これが、風流? 侘び寂び? って言うのかな? 分かる? サキ?」と疑問を投げかける。
雨の日は流石にレジャーシートを敷いて座るなんて気分になれなくて、傘にポツポツと雨粒がぶつかる音を聞きながら、
「うーん、これは、良いの? 悪いの? どっちなの? サキ?」と呟いた声は雨音にかき消された。
ただ、毎回のように数分程度花や景色を眺めて「飽きた」「明日も来るよ」と呟いて帰るだけの日々。
桃色の花が一つ散り、二つ散り、徐々に花の間から見える青空が広がり。頭上の花より、足元に散らばる桃色の花弁のほうが多くなり、徐々に枝に緑の葉が茂り、お花見に来ていた人たちもいなくなり、枝に残る桜の花が二つだけになり、最後の一つになり、それすらも散ってもわたしは欠かさずにお花見に来ていた。
そうして、ようやく気がついた。
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