第15話「切替」
20XX年4月16日8時27分。探偵事務所。
「おはようございます・・・。って誰もいないか・・・。」
いつもと同じように誰もいない朝だがなにか物寂しさを感じた。
「ん???これは???」
そこには西元さんの2週間の休職願いが置いてあった。
置手紙も置いてあった。
『待っていてほしい』と書いてあった。
「待っていてほしいか・・・。どこ行くかとか言ってほしかったな。」
「何の話???」
「あ、土御門さん・・・。これがここに・・・。」
「ん???」
土御門さんは、その手紙を見て一息吸ってから無言で出ていこうとした。
「土御門さん、どこへ???」
「ん??大丈夫よ。ちょっとだけ外の空気吸いに行ってくるわ。」
「なるべく早く戻ってきてくださいね。」
「うん。」
土御門さんが外に出て行った後、ほかのメンバーも来た。
20XX年4月16日9時14分。探偵事務所。
「豹洞に続き、西元もか。」
「結構、戦力がそがれてる気がするが大丈夫だろうか。」
「大丈夫だと思うよ。仕事自体は。でも、精神的にどうかだよね。」
「まぁ、土御門についてはこの後、俺が話に行くさ・・・。」
「田邊さん。私も行っていいかしら。同期としても、友達としても心配だから。」
「あぁ、優姫がいてくれると助かる。」
「お二人ともお願いします。」
「まぁとにかく、今日は各々、仕事をするのでもよし、リフレッシュしにいくでもよし。気を休めてもいいんじゃないか??」
「そうですね、そしたらいったん今日は自由行動ということで・・・。」
「じゃあ、、、」
僕も連日の疲れがでてはいたが、お昼までは探偵事務所にいることにした。
神崎兄妹も残って事務作業を手伝ってくれた。
20XX年4月16日9時19分。探偵事務所近くの公園。
私と田邊さんは美登の元へ行った。
「あ、いたいた。」
「優姫、田邊さん。」
「大丈夫か?」
「はい、まぁ、だいぶ泣きました。」
「そうだろうね、目が赤いもん。」
「主を気遣ってくれてありがとうな、ユウキ、センタロウ。」
「おう、まぁ、さすがにこの状況はまずいとは思ってる。」
「そうだな。・・・。ユウキ、主をお願いしてもよいか??センタロウと話がしたい。」
「わかったわ。」
「美登さ、私たちが入社した時のこと覚えてる??」
「うん。あの時も似たようなことあったよね。」
「そうだよね。全員あの時は悲しかったから誰も話さなかったけど・・・。」
「私たちはあの時と一緒でここで二人でいたよね。」
「あれからだいぶたったのにこういうところは変わらないよね私たち。私もよくここで泣いてるんだよねw」
「そうなんだね。」
「お互い強くなってる思うけど・・・。」
「いやこういう時があったっていいんだよ。明日から切り替えられなくたっていい。自分が立ち直ることができる時を逃さなければ・・・。」
「いい言葉だよね・・・。その言葉。続きも好き。」
「そういえばさ。今日、この後自由行動になったんだ。ランチしにいく??」
「そうだね。白寅たちが戻ってきたら行こうかな。」
「じゃあ、来るまでここでお話ししよう・・・。」
20XX年4月16日9時19分。探偵事務所近くの公園。
「そうだな。・・・。ユウキ、主をお願いしてもよいか??センタロウと話がしたい。」
俺と白寅は二人で話していた。
「どうした??話したいって・・・。」
「そうだな、主のことでもあるんだが。あいつの家のことは知ってるか???」
「あぁ、長崎豪族の土御門家の娘だよな。」
「あぁ、私はそこの歴代の娘と契約をしてる幻獣だ。」
「それがどうした??」
「えっとな、主の姉妹は知ってるか??櫻蘭と湊魅ってやつがいるんだが。」
「姉妹がいるのは知ってる。」
「彼女らも横浜周辺にいるんだが、3人のうち主が心が優しすぎる。いいことでもあるんだが。」
「確かにそうだな。それは弱点にもなるとはおもう。」
「そこでな。お前ら仲間の力で強くなるようにしてほしいんだ。」
「優しいだけでもいいとは思うんだが。」
「いや、それだけでは勝てない。私の力は使いこなせているし、私も全面的に協力はしてるんだが、もうそれ以上の力が必要だ。」
「なるほど。」
「まずは、おぬしの【鬼丸】でどうにかしてほしい。なんでもいいから主の心を強くさせてあげてくれ。」
「まぁ、そういうことなら俺も協力しよう。」
「ありがたい限りだ。何が必要とかあればその都度言ってほしい。」
「ああ、わかった。」
「そしたら、もうそろあの二人の元へ行くか。」
「あぁ」
俺らは、二人が座ってるベンチまで戻った。
20XX年4月16日9時33分。探偵事務所近くの公園。
「待たせたな・・・。主、大丈夫か??」
「うん、このあと、ランチ行きたいんだけど。」
「いいんじゃないか。時には、リフレッシュも必要だと思うからな。」
「そしたら、俺は先に事務所行ってから、家に帰るとするよ。」
「わかった。」
20XX年4月16日9時47分。探偵事務所。
「お、水鶏。まだいたのか。」
「田邊さん。」
「田邊さん、美登は大丈夫そう??」
「あぁ、もう大丈夫だ。明日から復帰できると思うぞ。このあと、優姫とランチに行くそうだ。」
「よかったです・・・。」
「まぁ、なんだ。昔、探偵事務所(うち)にいた人がいってことなんだが『明日から切り替えられなくたっていい。自分が立ち直ることができる時を逃さなければどんなに躓いたって良い。』ってな。」
「いい言葉ですね。」
「ということで、お前らもしっかりと休むんだぞ。これ以上減ったら廃業だ。」
「承知しました。」
「じゃあ、ということで俺はそろそろ帰るから。じゃあな。」
「お疲れ様です。」
次の更新予定
2024年12月27日 19:00
九十九異能者物語 “錦蝶” 白木飛鳥 @Shiraki_aSuka
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