九十九異能者物語 “樹霞”

白木飛鳥

第1話「My Family」

20XX年4月15日15時00分。横浜市山中大室屋敷。


「こら!龍之介!また、こんなことをして!」

「こんなことってなんだよ!俺は俺なりに生きるんだ!サク姉は関係ないやい!」

「なんだって!あんたが悪いことをしたら私が謝りに行かなきゃいけないのよ!?」

「そんなん知るか!!」


ガラ!(屋敷の扉があく音)


「あ!師匠!また、龍之介が学校でやらかしました!」

「またですか・・・。」

「違うんですよ、師匠!あいつらが俺のことを馬鹿にしてきたから・・・」

「してきたから???」

「・・・」

「してきたから???」

「成敗しました・・・。・・・・でも、、、」

「でも??」

「いえ、なんでもないです。」

「そうですね。謝りに行きましょう。孫六さん、ちょっといってきます。留守番頼みます。」

「あいよ。」


俺:猪山龍之介(いのやまりゅうのすけ)は、学校へ向かった。

姉弟子の土御門櫻蘭(つちみかどさくら)と師匠の大室沚利(おおむろしき)とともに。



20XX年4月15日16時16分。龍之介が通ってる中学校内。


「このたびは、うちの龍之介が申し訳ありませんでした。」

「いえいえ、顔をお上げください。大室さん。土御門さんも。」

「今後も迷惑ばかりかけそうですがなにとぞ見放さずにいただければ・・・」


そんな感じで学校やけがをさせてしまった家庭への謝罪が終わってから学校を後にした。

帰路ではどう考えても俺は話せそうになかった。


「龍之介、なんか言うことないの??師匠はお忙しい方なんだよ?」

「・・・」

「まただんまりかい、本当に反省してるの?」

「ははは、いいんですよ。櫻蘭さん。龍之介さんもわかってるんですよ。」

「師匠は、龍之介に甘すぎます。孫六兄ちゃんもみんな。」

「まぁ、それはそうですが、それが家族というものです。」

「ん~。・・・まぁ、私も今回のことは龍之介がすべて悪いとは思わないですけど・・・」


家族・・・。そう俺らは家族だ。師匠。サク姉。孫六兄貴。そして俺。

これが家族だ・・・。


「・・・」

「どうしたんですか?龍之介さん。」

「いや、、、一生こんな感じでみんなで過ごせたらいいのになぁって思ってたんです。」

「なにそれw・・・」

「急に何かと思えば、、、当たり前ですよ。どんなことがあろうと家族は家族です。誰にも崩せません。」

「そうよ。あなたは3人兄弟の末っ子や!」

「4人ではないのですか?私は?」

「師匠はどちらかというと保護者なので!」

「ははは、まぁ、いいでしょう。さぁ、早く帰りましょう。孫六さんが今日はご飯を用意したみたいですよ。」

「おぉ、孫六兄!楽しみだ~~~!!!」



20XX年4月15日17時45分。横浜市山中大室屋敷。


「ははは!!まったく傑作だぜ。龍之介!それでこそ、俺の弟だ!」

「やめてよ、兄ちゃん!龍之介がまた調子に乗るし・・・」

「わりぃ、わりぃ。いやぁ、もう学ばないあたりも傑作だ!!」


この人は、横浜市内最後の刀匠:十七代目孫六であり、俺らの家族の一人である。

まったく弟子を取る気はないそうで「この孫六で終わらせる」といっている。


「でも、それはそれで、龍之介。お前、師匠や櫻蘭に感謝の言葉は言ったのか??」

「・・・」

「言ってないみたいだな・・・。いわないなら食べなくていいぞ。」

「・・・ぅ。」

「あ???」

「ぁ・・・ぅ・・・」

「はっきり言え!!!!」

「ありがどヴ!!」


そして怒らせたら怖い。



20XX年4月15日19時44分。横浜市山中大室屋敷内道場。


「よ、師匠!」

「あぁ、孫六さんでしたか。」

「手合わせしても???」

「えぇ」



20XX年4月15日20時55分。道場。


「それで??何か私に話したいことがあったのでは?」

「まぁ、そんなに気にしてなさそうだからいいっちゃいいけど、龍之介のことだけど・・・」

「どうされました???」

「やはり、最近。様子がというか落ち着きがなくないか?」

「孫六さんも感じてましたか・・・」

「これって・・・」

「えぇ、おそらく・・・」



20XX年4月15日22時02分。道場。


「なので、これは近々彼には伝えないといけないとですね。」

「だが、その場合あの事を言わなきゃいけないよな。」

「えぇ、そうですね。どううまく説明できるか、少し迷いますね…。」

「そうだな・・・」


ダッダッダ!(廊下を誰かが走る音)

ガラ!(ドアが開く音)


「師匠!孫六兄!龍之介が!!!」


櫻蘭さんの一言で、我々が龍之介さんの部屋に向かうと部屋で倒れていた。

額からはうっすらと両目の上から角のようなものが現れていた。


「孫六さん、櫻蘭さん。解熱剤と強制睡眠剤をもってきてください。」

『はい!』


薬を飲ませ落ち着いたところで部屋の中で三人は話していた。


「師匠・・・、頭のって・・・。」

「そうですね、言われた通り『鬼の角』ですね。」

「ですよね・・・。発現したってことですか?」

「いや、あれはまだ発現とまではいわないな・・・だが、数日後には正式にって感じだな。」

「してしまうんですね。」

「そうだな。。。ちょっと予兆があったといえばあったがそんな早いとは思わなかったって言うのが本音ではある。」

「そうですね、あと一年は持てるかなとは思ってましたが・・・。」

「龍之介はどうなってしまうんですか??」

「・・・。」

「いったん学校はいけないだろう・・・。あの角は・・・。なぁ?」

「えぇ、、、そうですね。発現の仕方があれだと学校には行けないですね。」

「ってことは、ずっと私たちが守れるってことですか?」

「そうですね。なんか嬉しそうですね。」


そんな話がされてるとは知らずに次の日になり師匠から話をされた。

もともと学校には行く気ではなかったのでよかった。


もっと強くなるために鍛錬をしていくことが決まった。

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