第16話「空気感」

20XX年4月12日10時18分。神奈川県警本部異能者対応拘置所。


「ここからは第1課がおわせてもらおう。」

「第1課。お前らが来るってことは、県警本部長からの命令か・・・。それとも?」

「そんなことは誰にも教える義理はない。それにしても、第4課課長はどこだ?」

「銅羅課長なら課長会議終わって今こちらに向かってるはずだ。」

「そうか。では、言っておけ。『進退は考えておけ。』とな。」

「1隊員のあなたが仮にも課長という役職上上の人間にそんな言い方はないのではないのですか??」

「・・・。ほう、確かにそうだな・・・。だが、お前らと我々では能力の差がありすぎる。それを踏まえての判断である。」

「ほう、俺ら第4課を馬鹿にしてるという判断でいいな??」

「なんだ??ここでやる気か?いいぜ、俺らはいつでも。」


緊迫した状態が続いた。両者一歩たりともひかない感じだった。


「まぁまぁ、どっちもそれぞれの考えがあってのことだ。ここで、警察同士いがみ合うのはやめたらどうだ??あくまでここは警察署だ。」

「そうさ。私らの顔に免じてさ。なぁ、桐野、嵯峨。お前らが決めてくれ。」


どこからともなく二人の男女が間に入った。

すると、空気が一変した。


「服部さん、堤下さん。」

「ここで何をやったってお前らの自由だが、あまり大ごとにはしたくない。」

「第1課は特に問題ない。我々の仕事は、決まっておるからの。」

「そうか。じゃあ、これはなかったことにしよう。」

「じゃあ、第1課は今回の調査頼むわ。第4課はおそらく報告用資料が必要だから戻ったほうがええな。」

「それでは、失礼する。」


「すいませんでした。大事にしたくはないのですが・・・。」

「まぁ、気持ちはわかる。あいつらもああいう言い方しかできないが我々と同じ『正義』をもって任務遂行してる。わかってやってくれ。」

「はい。」

「それにしても、この三人が新人ちゃん????かわいいじゃない???!!!」

「はい、三人ともとても優秀ですよ。」

「三石が言うってことはほんとにそうなんやろなぁ。自己紹介するわ。自分は服部蔵馬(はっとりくらま)。犯罪異能者組織取締係横浜第2課課長や。よろしくな。」

「私は第3課課長の堤下華美(つつみしたはなび)。嵯峨君とは同郷、同学年よ。」

「課長たちだったんですね・・・。よろしくお願いします。」


そこから私たちも自己紹介をした。


「銅羅課長はまだ戻ってきてないのね。」

「そうですね。」

「そしたら、銅羅には、自分の方から伝えておくわ。」

「よろしくお願いします。」

「ほんなら。」


20XX年4月12日11時35分。神奈川県警察犯罪異能者組織取締係横浜第4課。


私たちは一度全員課長も踏まえて会議を行った。

終わった後、銅羅課長は誰かの元へ向かった。

私たちは、各々パトロールの続きに向かった。


20XX年4月12日11時45分。パトロール中。


「先ほどのお二人は、課長さんだったのですね。」

「そうだよ。八雲ちゃんは初めて会った??」

「そうですね。とてもかっこよかったです。」

「だよね、第2課の服部課長は銅羅課長の先輩でね。銅羅課長の推薦人なんだってさ。第3課の堤下課長は、4つの席が用意されている係の中で唯一の女性課長で。敏腕すぎる方なのよ。」

「そんな感じはしました。課長も人それぞれなんですね。」

「そうだね。みなさんそれぞれすごいやりてなんだよね。銅羅課長も昔は『とびでっぽう』の異名があるくらいだったらしい。」

「へぇ。そうなんだ。異名ってかっこいいですよね・」

「そうだよね。・・・。それにしても結構疲れたな。朝から。ちょっとサボろうか。早めにご飯行っちゃおうか。」

「そうですね。どこ行きます???」

「なんかがっつりしたもの食いたい。」

「そしたらラーメンとかどうですか??」

「いいねえ。じゃあ、ラーメン行くぞ!!!!替え玉大量!!!」

「はい!!!」


20XX年4月12日12時00分。神奈川県警察犯罪異能者組織取締係本部。


「この度の犯罪者脱走事件についてだが、横浜支部全体の責任ではある。」

「そして、お前ら四人を集めたんだが異議申し立てはないか??」

「第1課としては、今回の脱走事件については拘置所にも問題があると考えている。セキュリティが5分で破られたという。やはり、警備員の増強、もしくは設備投資をもう少し考えていただきたい。」

「そやな。第2課も同意見だ。責任はこちらにあるとはいえるが、あくまで脱走はそっちの問題や。」

「珍しく第1課と意見が合う。私も第3課としてそう思っていた。」

「第4課としては、今朝の表彰から一変してしまったため、何も言えない。」

「銅羅課長、私が言うのもなんだが少し第4課には事件介入をしないでもらいたい。」

「え・・・。でも・・・。」

「そちらの扉間と第1課から砕波(さいは)を交換したい。」

「え・・・。あ・・・。はい・・・。」

「あぁ、あと、今回の件でそれぞれ減給と、銅羅課長は3日間停職を命じる。その期間の課長代理は嵯峨に命じるとする。」

「はい。」


扉間さんの転籍と第1課から砕波久次郎(さいはきゅうじろう)が転籍してきた。


20XX年4月12日13時17分。神奈川県警察犯罪異能者組織取締係第4課。


銅羅課長は、私たちがパトロール中に荷物をまとめて帰宅したらしい。

少し何かが変わる気がしてきた。

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