第34話

 私はいったい何を呼びだしてしまったんだろう。

受け入れたくなかった。

 旦那様がいないなんて、

 受け入れられなかった。

 けど、

 旦那様は生きていた。

 あの小鳥と同じように。

 生き物は死と共にある。

 時間は限られていた。

 けして、永遠ではなかった。

 旦那様の温もりも、

 優しさも、

 声も、

 眼差しも、

 全部、

 全部、

 かえってこないんだ。

 もう、

 終わったんだ。

 だから、

 終わらせよう。

 ごめんなさい。

 旦那様。

 私はわがままでした。

 旦那様に教えて貰っていたのに。

 生き物は死ぬって、

 いつか終わりを迎えるって、

 ちゃんと教えて貰っていたのに。

 してはいけないことをやってしまったんですね。

 認めたくなかった。

 現実を。

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。


 ああ、ずっと、一緒がよかった。


 私はあなたのお人形。


 幸せな、お人形……

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