第23話
あの人たちは嘘をついている。そうに決まってる。
旦那様は絶対に生き返る。
私のそばからいなくなったりしない。
ずっと、ずっと、そばにいるんだ。
私をずっと抱きしめてくれるんだ。
他の誰かがやってくれないなら、私がどうにかしてみせる。
生き返るに決まってる。
ずっと一緒に決まってる。
旦那様の書斎の机を開けて、魔法のカードを取りだした。旦那様が作った魔法具だった。
これでシャーリーも魔法が使えるよと使わせてくれていた物だった。魔法使いの魔法よりも劣るが、旦那様の身体を冷凍保存するには十分な魔法だった。
それから本の部屋に入って死者を生き返らせる魔法について調べた。
本たちに聞いても、無い。無い。無い。無い。
と応えるだけだった。
「うるさい!」
本の光は消え失せた。
ひたすらページをめくった。どこかに死者を生き返らせる魔法があると求め続けた。
何日も何日も本を読んだ。
無かった。
今日も無かった。
どこにも無かった。
今日も無かった。
本が積み上がる。
それでも探した。
探し続けた。
絶対にあるから。
本が積み上がる。
旦那様は絶対に生き返るから。
今日もなかった。
絶対に見つけてみせる。
見つける。
積み上がる。
見つける。
積み上げる。
見つける。
私は絶対に旦那様を生き返らせる魔法を見つける。
無い。
今日も見つからなかった。
「なんで無いの。なんで見つからないの!」
開いていた本のページをぐしゃぐしゃにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます