混血転生者の異世界日記

其の一 俺は混血だそうで

 2124年──今から100年後の地球には化け物モンスターがうじゃうじゃと渦巻いている。赤子でも対魔銃を扱わなければ死ぬ世界。化け物モンスターは液体状の奴から巨大な人型まで種類は豊富。人の叫び声も豊富。そんな世界で稀に化け物モンスターと人間の混血ハーフブラッドが生まれ落ちる。


 混血ハーフブラッドは高い知性や身体能力、治癒能力、特殊能力を生まれつき持つ。その混血ハーフブラッドが俺。鬼人の化け物モンスターと人間の混血ハーフブラッド。今の俺は人間で言う5歳だが化け物モンスターは成長が早く俺は既に1人で自立できるほどの体の大きさになっていた。親も居なければ仲間も居ない、毎日政府軍から逃げ回る日々。


 この世界で政府軍は対魔専用部隊みたいな役職で混血ハーフブラッドへの当たりが強い。特に俺みたいな化け物モンスターの遺伝子が強い混血ハーフブラッドには見かけたら殺しにかかってくるぐらいには。


 そして、その日は突然に来た。

俺はいつも通り森の木の実を取りに隠れ家から出ていた。……のだが


「見つけたぞ!!混血ハーフブラッドだ」


「……!ヤバッ」


 政府軍が対魔銃をぶっぱなしてくる。周りの木々がなぎ倒されて俺はものすごいスピードで駆けていく。もう少しで隠れ家……と思ったその時


 ドン ドン ドン


 発砲音が3つ。目の前には回り込んでいた政府軍が2人。


 銃弾は俺の右足、左胸、右目を貫いて視界が鈍る。


 あぁ、やらかした。いくら混血ハーフブラッドと言えど対魔銃には叶わない。治癒能力も追いつかない。


 視界が消え、死ぬ……直前に1人の少女が見えた。


 今の時代、人間は黒髪かブロンド。なのに白銀の髪を持った少女。少女は手を合わせていた。多分昔にあった日本という国の弔い方だった気がする。


 ………そこで俺の意識は途絶えた。



    ★


 暗い、冷たい、360°どこを向いても真っ黒。上も下も分からない。これが死という事か、そう思っていると細い道が出てきた。振り向いても何も無い。仕方なく道を歩いていくことにしよう。真っ暗な世界で俺の足音だけが──靴なんか履いていないからぺた、ぺた、と──鳴り響く。



    ★



 どれほど歩いただろう、疲れ果てて座り込み、果てしない暗闇を見てため息をつく。目を閉じてそのまま眠ってしまった。



    ★



 目を開けると、そこは民家の中。横には金髪の美女と茶髪の美男が居て、目をかっぴらいて俺の方を見ている。


 ……俺は生まれ変わったのか。親が人間な所を見ると俺も人間の姿なんだろうな──そう信じたい、


 だが目をかっぴらいているところを見るとそうでは無いらしい。俺は前世の特殊能力が使えるのか試す為にも「写鏡マジックミラー」を使ってみたがどうやら前世の能力は引き継がれているらしい。写鏡マジックミラーは視界に映ったものなら鏡として利用できるが、容姿などいちいち確認しない前世ではあまり必要なかった能力だったがどうやら能力がレベルアップしているらしい。


 職業?や年齢、種族に能力まで分かってしまう優れものになっていた。


 種族は人間。年齢は…0歳、気になる見た目は……やはり変わっていなかった。


 前世の俺の容姿はというと灰色の髪に瞳が赤。右目は視力が良い代わりに眼球が褐色だ。肌の色は血の気が無いのかと思う程に白い。1番の人間との違いは左前額部に小さな黒い角が生えている事だ。何度か折れているが折れる度に少しづつ大きくなっている。


 そういえば、ここはどこなんだろう。民家の中ということ以外何も分からない。


 よし、散策してみよう


 







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