- 報告書 -「AMNGW銀河(仮称)における宇宙環境破壊リスク」
_____ 注意 _____
本報告書は現地生物とのコンタクトに備え、現地生物の情報管理・コミュニケーション手段である文字と言語(のうちの1つ)によって記されている。いくつかの科学用語はこの文明・言語にはいまだ存在していないため、傍点で示し造語で代用している。
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1. 場所:
銀河コード:AMNGW(仮)
2. 概要:
上記銀河内の惑星で発生した生物(以下、現地生物)が星間空間に進出した際の宇宙環境破壊リスクについての報告
3. 結論:
・近隣惑星の公転軌道が変動する可能性がある
・現地生物の絶滅処置は行わないこととする(暫定)
・公転軌道の修復が必要な惑星が確認されるまで経過観察とし、確認された場合に絶滅処置を再検討することとする
4. 詳細:
上記銀河の惑星で発生した現地生物は、重力生成量子場を用いた重力操作を習得する以前にも関わらず、爆発性物質を利用することで発生元惑星から脱して星間空間へ進出する術を得た。(当該爆発性物質は現地生物が発生する以前から発生元惑星に自然発生し、存在していたことが確認されている)
現地生物は現在、無人探査機を星間空間に複数放出している。特に長距離の場合、探査機の運動エネルギーは近隣惑星の公転運動から抽出・取得して利用している。(現地生物の呼称に合わせ、以下スイング・バイ)
星間空間へ本格的に進出して他惑星への入植に向けた星間飛行を行う場合も、この探査機と同様にスイング・バイを採用すると考えられる。
彼らは惑星と宇宙船の質量比の大きさを根拠に、スイング・バイは公転軌道に影響を与えないと認識しているようだ。しかし無数の宇宙船が行き交う時代が少なくとも数百年(現地生物の時間単位に変換済)続くと想定すると、スイングバイを行った宇宙船質量の総和が惑星質量に対して無視できないほど大きくなる時がいずれくる。
その場合、公転運動エネルギーを失うことによる「惑星の公転半径の縮小(リスクレベル中)」が発生する。
5. 評価:
本件は文明発展の第一原理*1により、下記2点が重なった結果である。
①重力操作を習得する以前の文明段階で、星間空間へ進出する手段を得ることができた
②宇宙開拓の進行速度は、文明自身ではコントロール不能
以上は現地生物にとって避け難いものである。よって本件はあくまで過失であることから、暫定処置として現地生物の絶滅処置は行わないこととする。
ただし、公転軌道の修復が必要な惑星が確認されるまで経過観察とし、確認された場合に絶滅処置を再検討することとする。
以上
*1「文明発展の機序・速度は文明自身には制御不能である」
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