ある日ダンジョンが現れた世界 ~レベルアップで成り上がる~

高峰悠華

第1話 日常が変わった日

いつからだろう。暴言を吐かれても何も思わなくなったのは・・・いつからだろう。殴られても何も感じなくなったのは・・・


「おい!草間!!金持ってこいっていっただろ!!」


そういって三人の男に詰め寄られ殴られ蹴られる。

こいつらは山中グループと呼称されている学校でも有名な問題児だ。リーダーの山中は中学時代は頭が良く運動神経もよいためモテていた。でも高校に進学してからは運動では全国クラスがゴロゴロいて県予選の山中では少し劣等感を感じていたのだろう。


そんな時に行われた全国の同じ科で成績が出るタイプのテストがさらにこいつの劣等感を刺激した。俺に負けたんだ。他に勝ってるやつもいたが運動部の人間のため先輩たちからの報復を恐れ、無所属の俺をターゲットにした。抵抗はしたものの山中グループの一人の親がが学校の教師であるためすべてもみ消された。その日からは大っぴらにいじめが始まった。声をかけてくれる人もいたがそいつらも殴られ近寄らなくなった。


「はぁ・・・」


唯一の救いは家族に手を出さないことかな。さすがに不味いんだろう。だから学校内で納めている。


涙が出てきた・・・こういう時は山に入り展望台まで歩くことにしている。山と言ってもそんなに高くないし舗装されているからすぐ下山できる。


ここで夕日を眺めていると少し落ち着く。

夕日を眺めボーっとしていたら地響きのような音が聞こえた。


「うおっ・・・!」


ひどい地震だ・・・震度7くらいあるんじゃないか?

5分くらい続いただろうか、さすがに怖くなり下山しようと振り返るとそこには謎の洞窟があった。


「こんなもんあったか?いや、ねぇよな・・・」


好奇心が刺激され中に入ってしまった。


「洞窟って感じの洞窟だな・・・ん?」


歩いていると扉が見えた。何か書いてある。


【ランク:D】


「なんだこれ・・・」


取り敢えず開けて入ってみる。


ポーンという電子音のようなものとともに目の前にポップアップが出てきた。


『おめでとうございます。貴方はこの世界で初めてのプレイヤーになりました。よって特典として以下のリストから一つ希少アイテムをプレゼントします。』


・SSR神剣グランディア

《攻撃力を現在の5倍にし、防御力を1.5倍にする》


・SSR魔剣ディザーム

《攻撃力を10倍にする代わりにその他ステータスを半分にする》


・SSR名刀ユキムラ

《攻撃力を2倍にし、敏捷性を3倍にする》


・・・なんだこれ、取り敢えず選ぶか。

破壊力だけなら魔剣を選ぶが俺は如何せん足が遅いからそれをカバーできるほうがいい。


「・・・名刀ユキムラでお願いします。」


『承知しました。アイテムボックスに転送しました。』


目の前にポップアップが出てくる。


「ますますゲームみたいだな。」


『貴方は世界で初めてのダンジョンプレイヤーです。その勇気をたたえ希少アイテムもしくはスキルをプレゼントします。』


まだもらえるの?まあもらえるならもらっておくけど。


『以下のリストから選んでください。』


・SR聖槍グラン

《攻撃力を4倍にし、敏捷性を2倍にする》


・SR魔槌ドーム

《攻撃力を10倍にし、その他のステータスを3分の1にする》


・SRスキル:震拳

《相手の体内に直接震動を叩き込む》


この三つか・・・震拳にしようかな。


「震拳でお願いします。」


『承知しました。スキル:震拳を手に入れました。以上でチュートリアルを終了します。』


そういって消えていった。

中へ進んで行くとモンスターがいた。


「ゴブリンか・・・あのフォルム。」


「ゲアァァアァア!!!」


げっ見つかった。名刀ユキムラを抜き斬り抜く。


『経験値を獲得しました。魂のレベルが上がります』


Lv1→2


ポップアップが出てくる。


「おお、力がなんか湧いてくる感じする。」


まだ20くらいいるな・・・

バレないように近づき狩っていく。


『魂のレベルが上がりました。』


Lⅴ2→7


『スキルを獲得しました。』


・スキル:発熱

《体温を上昇させる》


なんだこのスキル・・・まあいいやあとでだな。


『ボスが出現しました』


「おお・・・デケェな」


〈オークキングLv20〉


「グフフフフ」


やばいって絶対やばいって。

オークキングが大剣を振りかぶる。


「うおっ!」


危ない・・・ってかなんだこいつあんなデケェ鉄板みたいなの片手で軽々振りやがって!


「震拳!」


ふらついた!!今だ!まずは腕!!腱を切り動けないようにする。

軽いし攻撃力上昇と敏捷性上昇のバフがあるから動き回って切り刻む。


「震拳!」


倒れこんだオークキングの背後から心臓があるであろう箇所に刀を突きたてる。

動かなくなった。取り敢えずダメ押しで手足の腱を全部切断しておこう。


『ボスを撃破しました。初めてのダンジョン攻略を果たした貴方にプレゼントがあります。』


またもらえるのか。運がいい。


『以下のスキルから選択してください』


・SSR極光の威光

《MPを消費し続けている間、全ステータスを1.6倍にする。(Lv1時点)》


・SSR深紅の壊滅

《防御力を100%ダウンする代わりに攻撃力を200%上昇させる。》


この二つか・・・いや、片方ピーキーすぎるからこんなもん一択だろ。


「極光の威光でお願いします。」


ふぅ・・・これでダンジョンクリアかな。

これが夢ならそろそろ醒めてもいいと思うけど・・・

あ、普通に外に出れた。

崩れていくダンジョン・・・あぁこれ夢じゃねぇわ。

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