第5話-LEVEL2『MEMORIZE』-

「そう、。君や私のスキルは、別の世界の言葉――君が分かるように言うと『英語』で書いてある。」


リリスはそう言うと、槍を背中から下ろした。


「そのスキルを持つものはいわゆる異端者イレギュラー

このことを知ったのはつい最近だけど、どうやら『協会』という組織がその『イレギュラー』を殺そうとしているみたいなんだ。」


そして彼女は槍を構え。


「取り敢えず、君には強くなってもらうよっ!」


猛烈な速度で槍を突き出した。



リリスの槍を捌いていて思ったことは、彼女は比類なく強い。


一直線に突いたかと思うと、槍を返して立体的な攻撃に切り替える。


そして即座にスキル?を使い、とどめを刺しに来る。


『MEMORIZE』の効果で、なんとかリリスの攻撃の癖を覚えて避けているが、このままだと押し切られる。


それに...


「こっちは素手だぞ!手加減しろよ!」


「無理!」


そう、リリスは僕に武器を渡してくれなかった。


故に僕は槍持ちの熟練クエスターを相手に素手で戦っているというわけだ。


「――龍牙」


リリスが構えた槍が蒼い光を放つ。


.....これは当たったらまずいやつだ。


全力で距離をとり、脳内で動きをシュミレートする。


すると。


今まさに回避しようとした場所にリリスが技を放った。


「私のスキルのこと忘れた?」


そう笑顔で言ってくるが、こっちはそれどころではない。


リリスの槍をよく観察していると。


『スキルアップ条件達成――スキル『MEMORIZE』がレベルアップしました。

『MEMORIZE』レベル2。目で見た物体を模倣できるようになりました。

模倣した物体は、スキル使用者の手元以外にある場合、全ての物理現象の影響を受けません。

模倣した物体はスキル使用者の手元をはなれた場合一部例外を除き3分で消失します。』


スキルアップ?要はスキルの効果が増えたってことか?


物体を模倣ということは、リリスの槍も模倣できるはず。


「『MEMORIZE』」


手にリリスの槍が浮かび上がる。


手に感じる重量と安心感。


「!?...小賢しい真似を!」


その槍をリリスに向けて投げる。


辺りを揺るがすような轟音のあと、リリスの槍が粉々に砕け散った。

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