転生者!return
紅葉ひいらぎ
第1話-Reincarnation-
冷たい風が吹く日、僕――霧野零斗は湖の中にいた。
身体中から熱が奪われていく。
指の先の感覚もなくなり、呼吸ができない苦しみも、もはや感じない。
『死ぬ時ってこんな感じなんだな。』
頭の中が黒一色に塗り潰されるような不快感。
まるで自分の意識が誰かに奪われているような――。
「!?」
死んだはずの僕はそこで目が冷めた。
辺り一帯何も無い。
思わず声を上げてしまう。
そう、『何も無い』。
暗闇すらもないのだ。
そして何より...
「どなた...ですか?」
目の前に立っている綺麗な人に目が向いた。
いや――『人』というのは間違いだ。
その女性の背中には大きな純白の翼があった。
その女性はこちらを向くと、両手を組み、目を瞑った。
「霧野零斗さん。貴方は亡くなられました。」
心底悲しそうに、
「私、豊穣と審判の神 《ミラリス》より、心から哀悼を捧げます。」
深々と頭を下げ、
「まだ若い貴方には、まだ明るい未来もあったでしょう。幸せな人生が待っていたことでしょう。
いつか運命の人と出会い家庭を持つことも出来たでしょう。」
気付くと僕の目からは涙がこぼれ落ちていた。
「貴方の人生が何物にも変えられない物だというのは分かっています。」
僕を優しく抱きしめながら《ミラリス》は告げる。
「代わりにはならないでしょうが、貴方に第二の生を差し上げましょう。」
泣き続ける僕の背中を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます