第6話 授業中ね……

「こんばんは! いおりん!


 ふふふっ……


 今日はね、面白かったんだよ。


 伊織君ね、

 授業中、

 居眠りしてたんだよ!


 まだ午前中なのに、

 頬杖ついて、頭、カクカクさせて、


 首振り人形みたいに。


 なんか、かわいくて、面白くて、


 伊織君のことばっか見てたから、

 授業なんて、全然聞いてなかったの。


 伊織君たら、

 お昼休みの後の授業も、

 やっぱり眠そうにしてたんだよ。


 突然ビクッってなったりして、

 思わず笑っちゃった!


 寝不足なのかな?

 夜、何時ごろまで起きてるのかな?

 なにしてるのかな?


 私はもう寝るだけなんだけどね。


 ……


 …………


 授業はたいくつなんだけど、

 伊織君のことは、

 毎日見てても飽きないんだよねっ。


 先生の授業なんかよりも、全然面白いし。


 あのね、

 私の席は、教室の後ろの方なんだ。

 で、伊織君の席は斜め前の方で、

 よく見えるんだよね~~


 この前も消ゴムで遊んでたし、

 ノートに落書きしてたし。


 本当は隣の席だと、

 お話しもできるんだろうけど、

 ずっと見てることはできないからね。

 バレちゃうから。

 真後ろの席だと背中しか見えなくて、

 顔が見えないから……


 やっぱり今の席が一番なんだよね!


 黒板見るふりして、伊織君のこと見てられるからねっ!


 ふふふ、


 明日も居眠りするようだったら、

 消ゴム投げて、驚かしちゃおうかな?


 じゃあ、私も早く寝ないとね。

 伊織君も今頃、布団の中かな?


 ……


 ……いおりんが、


 伊織君だったら……


 ……


 ……お、おやすみなさい!


 いおりん!」



 ぎゅ~~~っ!!



(……えっ!?

 うそ?

 もしかして授業中、

 ずっと観察されてたの?

 それはちょっと……

 明日からちゃんとしよう。


 ……っていうか、

 寝不足なのは、

 この時間に必ず、

 金縛りに合うからなんだよね)

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