第16話 ファミレスでの一件

 昼前、俺は待ち合わせ場所のファミレスに早めに来ていた。言っていたファミレスに関しては明確な場所こそ言ってはいなかったが、部活動の買い出しで天鷲達と外出した際に天鷲と白鷹がよく来ると言っていたファミレスがあるのでおそらくそこだろうと目星をつけていた。


 そしてそこで五分くらい待っていた時、白鷹から着信があり、俺はその電話に出た。



「もしもし」

『すみません、柴代先輩ですか? 朝香からファミレスの場所を伝えてなかったといま言われてお電話を差し上げたんですが……』

「ああ、それに関しては大丈夫だから二人が思うファミレスまで来てくれ」

『大丈夫って……わかりました、その言葉を信じてみます』

「ああ、それじゃあまた後でな」

『はい』



 電話を終えた後、俺は携帯をしまって二人の到着を待った。そしてそれから数分後、天鷲と白鷹が走ってくるのが見え、俺は二人に手を振った。



「おーい、こっちだー」



 二人は近づいてくると、揃って頭を下げてきた。



「すみませんでした、柴代先輩! ファミレスがどこのかを教えずに電話を終わりにしてしまって!」

「本当にすみませんでした。けれど、よくここだとわかりましたね?」

「二人と部活動で買い出しに行った時、暇があったらここで飯食べながら話すって言ってたからな。その時の二人の姿が微笑ましくて覚えてたんだよ」

「柴代先輩……」



 天鷲が見つめてくる中、俺は二人を見ながら笑った。



「さあ、店の前にいても仕方ないし、中に入ろうぜ」

「は、はい!」

「わかりました」



 三人で入店し、近くの席に案内された後に俺達はそれぞれの注文を終え、注文した物が来るまで話をしながら待つ事にした。



「さて、今日は呼んでくれてありがとうな。元々は二人で出掛ける予定だったんだよな?」

「そうですが、朝香がお休みの日にあまり柴代先輩とお出掛けしたことがないからしてみたいのだと言い始めたんです。たしかにそうでしたし、休日の柴代先輩の姿が少し気になったので私も賛成したんです」

「なるほどな。けど、そんなに変わらないぞ? 泰希と馬鹿話してるくらいで、普段通りだしな」

「秋田先輩との馬鹿話……少し興味がありますね」

「白鷹!?」

「私も聞いてみたいです!」

「天鷲も!?」



 二人が思ったより乗り気だったので俺は驚いたが、答えないのもなんだか悪いので答える事にした。



「そんな大したこと話してないぞ? 好きなタイプとかそんなだし」

「好きなタイプ……あの、柴代先輩の好きなタイプはなんですか?」

「え?」

「さ、参考までに聞いておきたいんです……!」

「あ、私も聞いてみたいです! 柴代先輩の好きな人のイメージ、考えるだけでワクワクします!」

「天鷲まで……ああ、もう……」



 その後、注文した物が届いた後も話題は基本的に俺の事になった。因みに、好きなタイプで夕希さんの特徴を答えたのは言うまでもない。

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