第51話 優勝の宴

リディアが優勝した龍王を圧倒し、街には祝賀ムードが漂っていた。リディアの城では盛大な宴が催され、たくさんの仲間たちが集まっていた。宴の中心にはリディア、リリィ、ロゼッタ、ルーク、龍王、ソフィアなどが集まり、彼らの笑顔が絶えなかった。




「リディア、おつかれさま!」ソフィアが祝いの言葉をかけると、リディアは微笑みながら「ありがとう、ソフィア」と返した。




 宴が盛り上がる中、今回の宴の目玉となる料理が登場した。リディアがロゼッタに特別に注文しておいた豚骨ラーメンだ。このラーメンは、リディアが日本で生活していた時の情報をもとに、「お米が食べられないなら、せめて小麦粉や豚の骨から作ることができるラーメンを再現したい」という強い意志のもとロゼッタにお願いして、何とか完成してもらったものである。




 湯気の立ち上る熱々のラーメンが大きな鍋で供され、その香ばしい匂いが会場全体に広がった。観客たちはその香りに誘われ、期待に胸を膨らませた。




「これ、美味しそう!」ルークが目を輝かせながら言った。




 リディアはラーメンを一口すすると、その濃厚でかつクリーミーな味わいに感動した。スープは深いコクがありながらも脂っこくなく、口の中でとろけるようだった。あまりのおいしさにリディアの体から赤いオーラが漏れ出し、目には知らず知らずのうちに涙が溢れていた。




「リディア様。今涙を流していますが、だいじょうぶでありんしょうか?」


「リディア様、ご気分はいかがですか?」


 ルミナとフィオナが心配してリディアに声をかけた




「ん?あれ?涙が出ていたのか・・・。大丈夫だよ。心配かけたね。あまりにも懐かしい味で感動してしまったんだ。」


「それにしても、ロゼッタ。素晴らしい。本当に素晴らしいよ」




「リディア様から教えてもらったこの豚骨ラーメンは、やはりスープが決めてなのです。オークの骨を長時間煮込んで灰汁をこまめにとり、しっかりとうまみを引き出して仕上げました。」ロゼッタは誇らしげに答えた




「本当にそうだ。しかし、ロゼッタ。麺も工夫しているだろう?」


「はい、そのとおりです。麺の弾力をスープに合うように細く作ってあります」




「だよな。」リディアは満足そうに頷き、再びラーメンを口に運んだ。




 観客たちは次々とラーメンを試し、その美味しさに感嘆の声を上げた。宴はさらに盛り上がり、リディアと仲間たちも満足げな表情を浮かべていた。




「主、ありがとう。このラーメン、最高です!」ルークは感激しながら言った。




「ありがとう、ルーク。でも、これはロゼッタの努力の賜物だよ。」




「いえいえ、リディア様の情報とご指導がなければ、ここまで再現することはできませんでした。」ロゼッタは謙遜しながらも誇らしげだった。




 宴は続き、笑顔と笑い声が絶えなかった。食事を楽しみながら、リディアたちは今後の計画についても話し合った。「これは本当に美味しい。ありがとう、ロゼッタ。」リディアは感謝の意を示し、みんなもそのラーメンを楽しんだ。




 宴が進むにつれて、リディアは新たな冒険の計画を話し始めた。次の目標は、ダンジョンで魔石を稼ぐことだった。彼女は今回の大会を参考にして、新しいチームを編成した。




「次のダンジョン攻略には、この6名で挑むことにする。」リディアは発表した。「ルーク、ルミナ、フィオナ、シャドー、サクラ、そして私。」




 ルークが興奮気味に「よし、やろう!」と叫び、フィオナも「力を合わせればきっと成功するわ」と意気込んだ。




 その声に応じて、他の参加者たちも口々に応援の言葉をかけた。「頑張ってね!」「君たちならできる!」会場は一層盛り上がり、熱気が溢れていた。




 リディアは微笑みながら仲間たちを見渡し、「みんなの応援が力になるわ。ありがとう」と感謝の意を伝えた。その時、リリィが手を挙げて質問した。




「でも、なぜ龍王やセラフィムを選ばなかったの?」リリィが尋ねた。




 リディアは真剣な表情で答えた。「彼らは主戦力だ。いつこの地に戦いに巻き込まれるかわからない。だから、彼らをここに残しておくのが最善だと判断したんだ。」




 この説明に皆が納得し、龍王も頷いて「その通りだ。私たちはこの地を守るために残るのが最適だろう」と賛同した。




「サクラは、私に巻き付いているから、一緒に行くことにした。」リディアはサクラを優しく撫でながら言った。サクラは幸せそうにリディアに寄り添い、その姿に他の仲間たちも微笑んだ。




 続けて、リディアは龍王、セラフィム、リリィ、セリーナを呼び、重要な任務をお願いした。「皆さん、私たちがダンジョンに挑む間、この地を守るために戦力を強化してください。ゴブリンやオークたちに戦闘訓練を施し、いつでも戦えるようにしてほしいのです。」




 龍王は頷き、「任せてください。私たちがこの地を守り抜きます。」と力強く答えた。セラフィムも微笑みながら、「私たちの力で、ここを守りましょう。」と同意した。




 リリィはリディアの手を取り、「心配しないでなの。リディア様が戻るまで、私たちが全力で守りますの。」と約束した。セリーナもまた、「リディア様、安心して任務を遂行しておくれやす。うちらがこの地を守ります。」と誓った。




 この会話の後、リディアは一度大きく深呼吸し、改めて皆に向けて言葉を続けた。「この地を守るために、皆さんの協力が必要です。主戦力の皆がここに残ることで、私たちが安心して任務を遂行できるのです。本当にありがとう。」




 宴は夜遅くまで続き、リディアたちは新たな冒険に向けて準備を整えていった。新しいチームが形成され、彼らの心には次なる挑戦への期待と興奮が高まっていた。




 ルークは興奮気味に、「次の冒険では、どんな敵が待ってるんや?」と尋ねた。リディアは微笑みながら、「今回は深名のダンジョンを攻略するんだ。前回は10階層まで攻略したけれど、今回はさらに深く進む予定だ。5階からは各階にゴブリンが10体出現するから、気を引き締めていこう。」




 フィオナは静かに頷き、「リディア様のご指導のもと、全力を尽くしますわ。」




 シャドーは冷静に、「今回は戦力も充実してるし、どんな困難も突破できるはずや。」と付け加えた。




 サクラはリディアに巻き付きながら、「ジュラ~!!」と決意を示した。




 新たな冒険に向けて、リディアたちは一丸となって準備を進めた。新しいチームが結成され、彼らの心には次なる挑戦への期待と興奮が高まっていた。




「皆さん、明日から新たな冒険が始まる。共に力を合わせて、必ず成功させましょう。」リディアの言葉に、全員が力強く頷いた。




 夜空に輝く星々の下、リディアたちは次なる冒険への決意を胸に、宴の夜を楽しみ尽くした。彼らの冒険はまだ始まったばかりであり、新たな試練と発見が彼らを待ち受けているのだった。

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