第14話 連携の修行

第14話 連携の修行




 前回出た魔物は、下記の5人を除いて4階を拠点にしてもらうことにした。


 5人には、影の守護者五星かげのしゅごしゃごせいと命名する。略して五星ごせい。




「ノエル。この子たちと連携の修行をしたいのだけど、みんなもレベルアップしたり、経験を積んだりすることが可能? あと、意思疎通も普通に可能?」


「はい、それは可能ですよ。ハーモニーピクシーやエターナルヴァンパイアであれば、会話することもできますし、他の魔物たちも直接話すことはできませんが、あなたの言葉を理解し、あなたの指導のもとで成長することができます。」


「そうか。では、名前を付けてこれから役割を教えて稽古だな。」リディアは、5体の魔物たちの前へと進み、それぞれに名前と役割を告げる。




 ボーンズ(スカルドラゴン): 前衛/タンク役

 エヴァー(アビスウォーカー): 前衛/アサシン役

 シャドー(エターナルヴァンパイア): サポート/コントロール役

 ルミナ(ブライトウィッチ): 回復役/サポート役

 リリィ(ハーモニーピクシー): サポート役/強化役、そしてチームのリーダー役


 リリィは元気に反応する。


「名前をつけてくれてありがとうなの。みんなで全力を尽くすの。」




 リディアは続けて、それぞれの役割について具体的に語りかける。




「ボーンズ、君は敵からの攻撃を引きつけて、チームを守る大切な役目を担ってほしい」


「エヴァー、敵の弱点を見極め、その機動力と攻撃力で迅速に対処して」


「シャドー、君の魔法で敵を翻弄し、戦況を私たちの有利に導くことを期待している」


「ルミナ、チームのHPを管理しつつ、時には強化魔法でサポートを」


「そしてリリィ、チームの攻撃力と速度を引き上げ、パーティや敵の動きを把握・予測し効果的な支援をしてほしい」




 役割を与えたことで、さっそく修行に入る。




(1回目)リディア&サクラ VS 影の守護者五星


 修行の場は、リディアとサクラ、そして影の守護者五星が集い、その力を試す戦場と化した。


 修行とはいえ、今回の戦いはそれぞれの実力を試す絶好の機会だ。


 お互いに距離を取り、試合の開始を待つ。




「レベル100台に達した私とサクラの力、しっかりと見せつけるぜ。」リディアが宣言する。


 リディアの目は戦闘の興奮で輝いていた。


「HPが1になると気絶するだけで、死ぬことはないから、サクラ遠慮なく全力で挑むよ」


「ジュラ~♪」




 戦場の空気が一変する瞬間、リディア達と五星の戦いの幕を開ける。


「魔法弾ガトリング!」


 リディアの声が響くと同時にガガガガガと一瞬にして数十の魔法弾が影の守護者五星に向けて一斉に放たれる。


「このぬかるみ、逃れることができるかな?」


 と言いながら、土魔法で相手側の地面を変形させ、五星の動きを鈍らせる。




 リリィが支持を出す。


「ボーンズ。骨のかけらを使って防ぐの。シャドー、ご主人様とサクラ様に重力魔法をかけて動きを遅くするの。エヴァーは、サクラ様をこちらに来ないように引きつけてほしいの」


 皆了解とばかりに動き、戦場のバランスが変わり始める。




 しかし、リディアは次の一手を既に計画していた。


「LED~!」


 突如、彼の両手から発せられた眩しい光が、影の守護者五星の視界を奪う。五星達が混乱する中、リディアは衝撃波を放ち、一気に距離を詰める。




「これで決着だ!」


 リディアの断固たる声が、戦場に響きわたる。


 彼は新たに獲得したミスリルの刀を振り上げ、空を裂く斬撃を放つ。


 その斬撃は回復役のルミナに直接向けられていた。


 ルミナは必死に避けようとするが、斬撃の速さは彼女の反応を上回り、直撃する。




 その斬撃はルミナを強力に吹き飛ばし、偶然にもその軌道上にいたシャドーも巻き込む。


 シャドーは軽いダメージを受け、立ち上がるのに少し手間取るが、戦線から離脱するほどの影響ではない。


 ルミナは衝撃で気絶し、戦場の地に静かに倒れる。




 リリィはこの展開を見て、悔しさを隠せない。


「こんなはずじゃなかったの・・・」


 彼女の声には予期せぬ攻撃への驚きと、ルミナが初手で攻撃されるとは思っていなかったことへの後悔が込められていた。


 しかし、リリィはすぐに気を取り直し、「大丈夫、まだ戦いは終わっていないの。シャドー、しっかりして!」と声を張り上げる。シャドーもよろめきながら立ち上がり、戦いの中で次の手を考え始める。








 戦場の空気が一変し、サクラが中心となって新たな展開を迎える。彼女はバジリスクとしての恐るべき力を解放し、新技「シャドウヴェノムストーム」を戦場に解き放つ。


「ジュラ~~!」


 サクラは自らの影を操り、周囲に毒の嵐を巻き起こす。


 この技は、彼女の影が触れる場所すべてを毒で覆い尽くし、残りのメンバーを混乱させる。




 一方で、ボーンズはリディアがルミナに斬撃を放った際の膠着状態を逃さず、彼に狙いを定める。


 突如、不死の炎を吐き出し、リディアを直撃。その炎はリディアを強烈に吹き飛ばし、彼は戦場の端に激しく打ち付けられる。リディアは大ダメージを受け、一時的に動きが止まる。




 しかし、戦況は予期せぬ方向へと進む。ボーンズがリディアに集中している隙に、サクラの「シャドウヴェノムストーム」が彼にも及び、ボーンズは毒の嵐に巻き込まれる。


 苦闘の末、ボーンズは遂に力尽き、戦線から脱落する。タンク役のボーンズが倒れる姿は、五星にとって大きな打撃となり、戦線は一気に崩れ始める。




 戦況が一変し、影の守護者五星のタンク役であるボーンズが倒れた瞬間、リリィは即座に行動を開始する。


「みんな、落ち着くの!」


 と彼女は声を上げる。悔しさと焦りを感じつつも、リリィはチームの心を一つにするために立ち上がる。




 リリィはまず、シャドーに駆け寄り、彼の体に手をかざす。「リズムヒール!」と呼びかけると、優しいメロディが流れ始め、シャドーの体からは徐々に癒しの光が漏れ出し、気力が回復する。




 次に、リリィはシャドーとエヴァーに目を向ける。


「シャドー、エヴァー、今こそ協力の時なの。ボーンズとルミナがいなくても、私たちは強いの!」




 リリィ自身も、戦場を駆け巡りながら、敵の攻撃から仲間を守るための強化呪歌「プロテクトハーモニー」を歌い上げる。


 この歌により、五星のメンバーは一時的に防御力が上がり、リディアへの攻撃を凌ぐ力を得る。




 サクラが次の攻撃者として前に出る。サクラの目はエヴァーを捉え、バジリスクの冷酷さと決意がそこにはあった。「ジュラ〜!」とサクラが唸り声を上げると同時に、彼女は致命的な毒ビームをエヴァーに向けて放つ。エヴァーは素早く動き、避けようとするが、サクラの攻撃はただの序章に過ぎなかった。




 続けて、サクラは手を振るうごとに空気が凍りつくような氷魔法「アイスランス」を発動させる。「ジュラ〜!」と再び唸りながら、空中から無数の氷の槍がエヴァーを目掛けて降り注ぐ。エヴァーは巧みにこれをかわし、反撃の機会をうかがうが、サクラの攻撃は絶え間なく続く。




 戦いは激しさを増し、双方の攻撃と防御が交錯する。エヴァーも負けじと、俊敏な動きでサクラの攻撃を凌ぎながら、隙を見て反撃を試みる。しかし、サクラはエヴァーの動きを読み、「ジュラ〜!」と唸り続けながら、彼の攻撃を次々とかわし続ける。




 最後の瞬間、サクラはエヴァーに決定的な一撃を狙う。「ジュラ〜!」と唸り、全ての力を込めた毒ビームとアイスランスの連合攻撃をエヴァーに放つ。エヴァーはこれを避けようとするものの、サクラの攻撃速度と精度は圧倒的で、遂にはエヴァーの防御を突破する。




 エヴァーは力なく地に倒れ、サクラの勝利が確定する。「ジュラ〜!」と彼女の勝利の唸り声が、戦場に響き渡る。




 ついにリリィとシャドーだけが残る状況になった。


 リリィは周囲を見渡し、深いため息をつく。




 リリィは、サクラとリディアの前に立ち、「負けましたの・・・」と、今回の勝負が終了したことを告げる。


 サクラは、「ジュラ〜♪、ジュラ〜♪」と唸りながら、メンバーを励ます。




 さあ、この後は反省会だな。

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