第8話 テイム
第8話 テイム
あぁ、これは痛いなぁ…。
前回のビックディアとの戦いでゲットした記念すべき傷は、まだそのままなんだよね。治療?あぁ、まだ回復魔法はかけない。
なんでかって?
実はね、この痛みをガマンすることで、あるスキルをゲットする作戦中なのだ!
なんでかって?
痛みに耐えることで、痛みへの耐性スキルを手に入れようと思って、我慢しているんだよ!戦闘中に痛いと動きが鈍るんだよ。ゲームと違って痛いんだよ!!
だから、マゾだからなんて言わせないだからね!
30分経過してステータスを確認してみたけど、まだ痛覚耐性は手に入れてない・・・
おふ・・
1時間くらい経ってステータス確認するも取得しておらず・・・
おふ・・・・・
90分経ったら・・・
ふふふ!
ステータス画面に「痛覚耐性」の文字が。
ついでに魔力操作が中級になりました。
OKOK。
よっしゃ!これで一つスキルゲットで大満足!ビックディアさん、この痛みも何もかも、あなたのおかげです。ありがとう!
これまでの冒険で、1対1の戦闘には自信があった。だけど、最近気が付いた。複数の敵と同時にぶつかったら、正直、今の戦術だけでは厳しいかもしれないとうことを。油断しているわけじゃないのだけど、戦術がちょっと単調過ぎたかな。
基本的な作戦っていうのが、敵の足元を滑らせてバランスを崩したところに、魔法弾や衝撃波をぶち込むっていうシンプルなもの。これが今まで上手くいっていたから魔物を倒すことができたんだけどね。
ステータスを見ても、MP表示がないので具体的な数値はわからないけれど、俺の魔力はまだまだ余っている感覚がある。この余裕を生かさない手はないよね。そこで思いついたのが、リジェネ、つまり回復魔法を戦闘中も常にかけ続ける戦術。これなら、ダメージを受けてもすぐに回復できる。あとは、体と魔力に常に負荷をかけて、両方を同時に鍛え上げる方法。これはあの「ハンター×〇ンター」でゴンたちがやっていたやり方だ。俺も真似してみるか。
実際、指先で微妙に魔力を操りつつ、体を微強化し、同時にリジェネ魔法をかけ続けるのは、思ったよりも難しい。でも、RPGで何度も周回プレイしてきた俺にとっては、これもまた一種の修行みたいなもの。結構楽しいぞ。何より未知だった魔法が目の前に展開されるなんて、おじさんには最高なのさ。
なんだかんだで、自分でも驚くほどに成長しているって感じがする。これからは、どんな戦いが待っていても、もっと柔軟に、賢く立ち回れるようになりたいな。常に進化し続ける。それが、この異世界で生き抜く秘訣だろう。
森の奥深く、修行の日々を過ごす中でリディアは、偶然、木々が薄く生い茂る空き地に辿り着いた。その一角に、傷つき、動けなくなっている蛇がいた。その色彩は自然には溶け込まず、むしろ目立つものだった。転生前にコーンスネークを飼育していたリディアにとって3m級の蛇はとても大きく感じられたが、その鱗はうっすらとしたピンク色をしており、軟らかな光を放っている。まるで、飼育していたサクラを思い起こさせるような色だった。
「シャー…」蛇からは弱々しい声が漏れ、リディアの心を捉えた。
かつて愛したコーンスネーク、サクラの記憶が蘇る。リディアは、躊躇いながらもその蛇のもとへ近づき、「大丈夫かい?ここからは俺がお前を守るからな」と優しく語りかけた。
傷ついた蛇に向かってリディアは、自分の魔法の知識をフルに活用し、回復魔法を施した。彼の手から放たれる魔法の光が、蛇の体をやさしく包み込む。光が触れるたびに傷はみるみるうちに癒され、蛇の様子も次第に生き生きとしてきた。
治療の魔法が最後の一滴を蛇の傷に滴らせると、"キラリ…"という輝きと共に、その大きな傷が目に見えて癒されていく。リディアの手から放たれた光が消え去った後、蛇は彼を元気いっぱいの瞳で見つめ、明るく「シャー♪」と鳴いた。その声は輝く森の中で特別な響きを持ち、感謝の意が明らかに込められていた。
リディアは微笑みながら、「これからは、もう怪我しないように気をつけてね」とやさしく言った。その言葉の裏では、「サクラも、こんな風に元気でいてくれたら…」と、彼は心の中で切に願った。
その瞬間、蛇はリディアの思いが通じたかのように、喜びを表現し、左右に頭を振りながら再び「シャー♪」と鳴いた。その姿はまるで、長い間の寂しさを忘れさせるような、暖かい光景だった。
すると、蛇の額には"ピカッ"と薄く白く輝く光が浮かび上がり、「テイム成功」という言葉がリディアのステータス画面に静かに表示された。
その時、空気を震わせるような声でノエルが告げる。「マスター、魔物を仲間にすることができました。この蛇は、これからあなたの大切な仲間となります。」
えっ!?
テ・テイムって突然のことで驚きを隠せない…。じゃあ、前に飼育していたサクラという名前にしようかな。
リディアは深呼吸を一つして、「お前の名前は、サクラだ」と堂々と宣言した。この新しいサクラは、喜びを表現するかのように激しく頭を振り続け、「シャー♪」と何度も鳴いた。
主人公のステータス
レベル: 19
名前:リディア
種族: エルフ(48歳)
性別: 男
魔法:
火魔法 レベル1
水魔法 レベル5
風魔法 レベル9
土魔法 レベル6
光魔法 レベル9
スキル:
ユニークスキル「AI」
ユニークスキル「アイテムボックス」
錬金 初級
魔力操作 中級(UP)
身体強化 初級
麻痺無効
痛覚耐性(NEW)
称号:
世界を超えたもの(言語理解、隠蔽、鑑定)
▼サクラ視点
長い時間、私はこの森の中で孤独に生きてきた。私の鱗の色は、この森の中で他にはない、薄いピンク色。美しいと言われることもあるが、この色が私を狩りの世界では不利にしてしまう。だからこそ、私は常に隠れて生きなければならなかった。しかし、その日は違った。大きな傷を負って、動けなくなってしまった私は、森の小さな空き地で絶望していた。
それでも、「シャー…」と弱々しく鳴いて、誰かの助けを求めた。まるで、それが最後の叫びになるかのように。
すると、人が現れた。彼は怖がることなく、私に近づき、「大丈夫かい?ここからは俺がお前を守るからな」と言葉をかけてきた。
「???」
私は驚いた。彼の言葉が、なぜか理解できる。どうして人間の言葉を…?と一瞬戸惑うが、彼から感じる優しさにその疑問はすぐに消えた。
彼が手を伸ばし、魔法を使い始めると、"キラリ…"と魔法の光が私を優しく包み込んだ。光が触れるたびに癒しの音が響き、私の傷が治っていくのを感じた。驚くほど速く、私の体は再び元気を取り戻し、「シャー♪」と喜びを表して彼に感謝した。
彼が「これからは、もう怪我をしないように気をつけてね」と言った時、「シャー?」とまた戸惑いながらも、私は彼を信頼し、彼の側にいたいと強く感じた。
そして、私の額が"ピカッ"と白く輝き、「テイムされました」という未知なる声が頭の中に響いた瞬間、私は彼によって新たな命を得たような気持ちになった。「お前の名前は、サクラだ」と彼が宣言すると、その名前に応えるように「シャー♪」と喜びを表現した。
私は新しい名前サクラを得て、彼と共に新しい人生を歩むことを心から願った。彼がサクラと呼ぶたびに「シャー♪」と鳴き、彼に感謝の気持ちを伝え続ける。この新しい絆は、私にとって最も大切な宝物になった。
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