月夜の見届け人
そらと
第1話
僕は、
代々、薬屋を営む商家の生まれで、修行と称して
週に数日、ドラッグストアでアルバイトをしている。
15歳の誕生日の前日。
人払いをし、障子をただならぬ様子で閉めた父親から、薬利家にまつわるある話を聞かされた。
俄には信じられなかったが、一子相伝で、父親から男子へ代々、継承されてきた薬利家の掟であり、特殊能力だという。
神の使いである猫神様が、家にやってくる事から始まると聞かされた。
事実、15歳の誕生日を迎えてから時折、裏庭に霧のようなモヤモヤした塊が見えるようになってきたのだ。
そしてそれは、年を追う毎に猫の形とはっきり判別できるまでになっていた。
「彰吾、誕生日はアルバイトはお休みしなさい。夕方から、儀式をするから。」
数日前、父親からそう念を押されていたので、
少し緊張していた。
今まで表面上は何でもないような生活をしてきた。
しかし実際は、どこか落ち着かない3年間を過ごしてきたのだが、いよいよ明日、何かが始まるのだ。
先祖代々なんて…僕にもその血がちゃんと流れているのだろうか。
猫神様の姿が見えるだけでも不思議だけれど、どんな特殊能力なのだろう。
不安と誇らしさ、その2つが入り混じったような気持ちで彰吾は眠りについた。
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