病院受診して担当になった美人女医が実は、昔地味だった高校の同級生だった。
阿々 亜
第1話 再会
「次の方、どうぞ」
「初めまして、総合診療科の吉田です。今日はどうされ……」
「あ、ごめんなさい。急に固まっちゃって……あの……間違いだったらごめんなさい……どこかで会ったことないですか?」
「そうですか……勘違いですね。ごめんない。えーと、あなたのお名前は……あ……」
「何度もごめんなさい、高校、練馬南じゃなかったですか?」
「やっぱり!! 私だよ!! 3年間クラス一緒だった、
「え……吉田はこんなに美人じゃないって……それ、わたし、怒っていいのか、喜んでいいのか、困るんだけど」
「でも、無理もないか……高校のとき、わたし真っ黒の三つ編みで、牛乳瓶の底みたいな眼鏡かけてたもんね……」
「うん、今はコンタクト。髪は、こういう仕事だからほんの薄くだけど、美容院で染めてる」
「え? それだけで、そんなに変わるもんかって? まあ、あとは人並みに化粧はできるようになったけどね」
「え? 高校のときは完全に喪女だったのに、今はすごくキレイだって? ちょっと、高校の時の私が聞いたら泣いちゃうよ。 でも……今はキレイだって言ってくれてるわけだから、一応、ありがとう」
「あ、ごめんない。今日は患者さんとして来てるんだもんね。話は戻るけど、今日はどうしたの?」
「なるほど……一か月前から右の背中がずっと痛むと。内科も整形外科も受診したけど、どこも悪くないって言われたのね」
「だけど、痛みがひどくて、夜は眠れないし、仕事にもさしつかえて、凄く困っていると。そっか……それは辛かったね……自分はすごく痛いのに、まわりもお医者さんもわかってくれないのって、とても辛いと思う」
「うん、もちろん私は信じるよ。ここに来た以上はもう大丈夫。全部私に任せといて!!」
「え? 高校のときあんなにどんくさかった私にそう言われても安心できない? キミ、ほんと失礼だよね。あの頃と全然変わってない!!」
「そりゃ、たしかに、高校の時はどんくさかったかもしれないけど、医者になるためにめちゃくちゃ頑張ったんだからね!! 受験は大変だったし、大学入ったあとも、国家試験受かったあとも、勉強に、試験に、実習に、研修に、め~ちゃくちゃ大変だったんだから。あの頃の私のままだと思わないでよ」
「うん、だから、騙されたと思って、私を信じてみて」
「うん、ありがとう。私、ちゃんとキミの期待に応えるよ」
「それじゃ、早速キミの体を診せてもらおう。だから……」
「とりあえず……上のシャツ、脱いで……」
続く……
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