聖なる山にて

 レイノルズ王国にあるドラゴン達の住む山まで飛んできたルシアス達は竜王ゾルデルとドラゴン達に会っていた。


 ルシアス達はマナの事を話して山頂を目指している事を伝えると竜王ゾルデルは山頂まで案内すると申し出てくれた、ゾルデルの後に続いてバルアに乗ったルシアス達は山頂へと向かっていく。


 「ここから先は神聖なる場所だ。ルシアスとやらよマナという娘を連れて向かい1人で祈るがいい。」


 ゾルデルの言葉に従いバルアから降りたルシアスはマナを抱きかかえて頂きまでのぼった。頂きには祭壇があった。

 

 ルシアスはマナを降ろすとアイリスと交信するように祈った。すると身体が光に包まれて女神アイリスの声が聞こえてきた。


 「ルシアス。アレックスとアリシアの血を継ぐ者よ、貴方がここに来た理由はわかっています。」


 「貴方の願い通りマナの魂を兄であるシェイダルの元からマナの身体に戻しましょう。しかし貴方にお願いがあります。」


 (俺に願い?)


 ルシアスが疑問におもっているとアイリスは話を続けた。


 「私のもう一人の兄であるグムハザに仕える司教が呪われた魔族と呼ばれた英雄王の親族である公爵を蘇らせてこの大地を蹂躙しようと企んでいます。」

 

 「貴方に私と兄シェイダルの願いとしてグムハザの大司教を倒してその企みを止める使命を貴方に託したいのです。」


 「貴方にかつて兄シェイダルが金の民達の為に渡した聖剣とアレックスに託した呪われた民達を封印した、剣と鎧と盾を貴方に与えましょう。」


 「もし呪われた公爵が蘇る事があったならアレックスが手にしていた剣で公爵を封印するのです。」


 「兄シェイダルの聖剣は兄に従った民の子孫、金色の髪に青い瞳を持つ者達に祝福を与えグムハザの手の者達にその力を発揮するでしょう。」


 「引き受けてくれますね?ルシアス」


 「分かりました、女神アイリス様。」


 ルシアスがそう答えるとマナの身体が光に包まれ、マナが薄っすらと目を開けた。 


 「ルシアス?ここは?」


 「マナ!」


 目を覚ましたマナをルシアスは思わず抱きしめた。


 マナは少しの間その抱擁を受けていたが我に返ったルシアスは謝ってマナを放した。


 「もう大丈夫、ルシアス。」


 二人のやりとりが終わると祭壇が光に包まれシェイダルが祝福した聖剣とアイリスの加護を受けた剣と盾そして鎧が置かれていた。


 ルシアスは銀の民の祖であるアレックスが身に着けていたとされる武具を身に着けシェイダルの祝福が与えられた聖剣を手にした。


 (金の民、、、。)


 そう思うとセシルの顔が浮かんだ。


 目を覚ましたマナと共にルヴェーラ達とバルアそしてゾルデルが待つ場所まで降っていった。


 マナの無事を見たアルマがマナに抱きついた。

 

 「マナ、本当に良かった、、、、。」


 「ありがとうアルマ、もう大丈夫。皆もありがとう。」


 ルシアスの装備している武具と聖剣を見たルヴェーラはルシアスに質問した。


 「ルシアスその武具は?」


 「グムハザの大司教を倒す為と呪われた民、魔族の公爵が目覚めた時のためにと女神アイリス様とシェイダル神に託されたんだ。」


 「この聖剣はシェイダル神から与えられたもので金の民、金色の髪と青い瞳を持つ人に祝福を与えるらしいんだ。」


 その話を聞いたルヴェーラもセシルの顔が浮かんだ。


 「とりあえず、エディ陛下にその話とマナの無事を知らせに行きましょう。」


 「ああ!」


 バルアに乗った六人はゾルデルに別れの挨拶と感謝の気持ちを伝えるとラーナドゥール王国の王都へと戻っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る