新たな王は誰か?

 葬儀が終わり各国の王族や重臣達がそれぞれの国へと戻るとラーナドゥール王国の諸侯達は王宮の会議室で次の王になるのは誰かと話し合っていた。

 

 諸侯の多くはカレス公アルバートの名前を上げて、エイベルを殺害したエデイの父であるラスター公バージルにも息子の責任を負わせるべきだと主張する諸侯もいた。


 エデイがエイベルを殺したと聞かされていたバージルは諸侯達に言った。


 「我が息子が陛下を殺すなど有りえぬ誰もがあれが陛下を慕っていた事は知っているはず!」  


「では大臣カート殿や聖皇騎士団が嘘をついたというのか!」

 

 エイベルからエデイに跡を継がせ国王になったエデイを支えるように頼まれていたルシアスは言った。


「陛下は亡くなる前にエデイ殿を世継ぎにと私に仰っしゃました、それにエデイ殿は陛下を慕っていました」


「エデイ殿をこの場につれて話を聞くべをかと」

 

 ルシアスの話を聞くとアルバートの支持者の諸侯達は言った。


 「大罪人に話をさせ釈明させるなど馬鹿な話だ!」


 「アカトス公はラスター公と同じく大罪人を庇われるのか?!」


 「新参者の貴族が何を言う!」


 カレス公派諸侯達の一人、ブランシュ伯爵が言った最後の言葉を聞いていたベアトリスが激昂して言った。


 「何と失礼な!ルシアス様はラーナドゥール王国とレイノルズ王国の王族の血を引き陛下より公爵の爵位を正式に認められたお方ですよ!!」


 それを聞いたブランシュ伯爵は返す言葉がなく黙った。


 中立の諸侯の一人が大臣カートと聖皇騎士団の団長トリスタンに意見を聞いた。


 エイベルが死んでいた現場をカートと聖皇騎士団の騎士は見ていた、カート達はエデイがエイベルを慕っていた事も知っていたがエデイが何らかの理由でエイベルを殺した事は疑えなかった。


 「理由は分かりませんが状況からするにエデイ様が陛下を殺めた事は事実かと」


 「近衛騎士団の騎士達の王家に対する忠誠心は高い、カート殿もそれは同じでしょう、エデイ様が何も話さないのは気になりますが私も部下の報告とカート殿の言葉を疑う事は出来ません」


 それを聞いたラスター公派の諸侯達は黙っていたままだった。


 「では新たな王は、カレス公爵に?」


諸侯の一人の言葉にカートが言った。     


 「正式に王となるにはシェイダル教団の教皇の認可が必要です」

 

 「カレス公以外に相応しき者などおりますまい」

 

 大多数の諸侯がアルバートを王にする事に賛同した。

 

 ラスター公派の諸侯は皆沈黙していた、そしてラスター公バージルは息子が国王を殺した事を決められて絶望していた。


 そんな中でカートは教皇に通達を出すように言った。


 それから程なくして新王にアルバートが選ばれようとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る