第21話イベント④
ザザー
今日は雨か。
ゲームの世界も雨だから、ちょっぴり憂鬱だ。
「きゃはは(≧∇≦)雨だ♪」
相変わらず遥斗は元気だな。
「雨の日なのに相変わらず元気だなお前は」
ライも同じ考えだったか。
「えー雨の日、面白いのに(* ̄3 ̄)╭」
全然、面白くない。どこら辺がそう感じるんだ?
「なんで僕の周りは雨が嫌いなんだろう?羊ようも学校に行くとき、げんなりしていたし…」
「羊って誰だ?」
俺は遥斗から聞きなれない名前が出たので聞いてみたら…
ライが驚いたように「遥斗の双子の弟だろう」と言うので「知りませんが何か?」と返しといた。
「遥斗に弟がいたのがびっくりしすぎてお茶吹き出しそうになったんだが」
「汚い~」
その後、俺は遥斗に「なぜ教えてくれなかったんだ?」と彼氏と上司の女部長が飲みに行く現場を見たかのように問い詰めた。
ライと遥斗から返された返答⇒[知っていると思っていたから]
俺は「知るわけねぇだろ」とそのふざけた返答に怒りながら返しといた。
どうしてお前らは俺が遥斗の弟を知っていると思ったんだ?
同じ高校でもないし、接触はない・話題に上がらないというダブルアタックがあったのに。
今日は高校でそんなことがあっため少し不機嫌になりながら、メガロニカにログインする。
ザザー
やっぱりこっちも雨降っているな。
俺は仮居住スペースの窓から外の様子を見る。
昨日の時計塔ダンジョンでは謎解きのフロアでポイントをいくらか稼いだんだよな。
そういえば冷蔵庫に買い足した食材が少なくなっんだった。そう思いデバイスに登録されたポイント売買システムを検索する。
えっと
俺たちの料理の腕前では、事前にできているパンやサラダを盛り付けることしかできないレベルだ。
俺が肉を焼くと肉が焦げるか半生になるし、雪花が卵料理を作ろうとするとものなら卵の欠片が混入していないか食べるとき確認する必要がある。
レオの場合はそもそも料理をしたことがないという今時珍しい家事が出来ない系男子だ。俺も人のことは言えないが…。
そういえば師匠に料理を振舞ったとき、お前が食えと言われて師匠の朝ご飯はパンの買い出しに行かされたんだっけ。
その後、俺は自分が作り出したダークマーターを食べて生死をさまよったぜ…おのれルーファス(#°Д°)
俺は冷蔵庫に加工済みハムや水、キャベツ、トマトを補充して、簡易的なサンドイッチを作る。
「ふむ」
少しぼろぼろになってしまったが上出来だろう。そう思い俺はサンドイッチをアイテムボックスにしまい込んだ。
それから俺はキッチンからリビングスペースに移動する。
「ここは椅子もテーブルも壊れたままだな」
時計塔ダンジョンの攻略に力を入れ過ぎて生活スペースをおろそかにし過ぎたか。俺は壊れたテーブルと椅子をアイテムボックスに入れてポイントで箒と塵取りゴミ袋を購入した。
[俺は掃除の腕だけは師匠に褒められた逸材だ!]
数十分後
リビングには輝く床が見えたとさ ピカピカ✢
さてとこのゴミを捨てに行くか。
せっかく綺麗にしたリビングに何個もゴミ袋があったら気分悪いしなと思いながら、イベント初日に見つけたゴミ捨て場に向けて歩き出す。
相変わらず大雨で視界が悪いな。
風向きが俺の方に向くと傘を前に傾けなくてならないので余計そう思うのだろう。
「…ルどこだ!」
うん?雨音の中、誰かの大声が聞こえる。
俺は滑らないように下を向いていた視線を上げて声がする方向を見る。そこには赤い目立つ傘を差した男性がいた。
NPCが家の外に出ているのは珍しいな。そう思いながらゴミ捨て場に進もうと足を一歩踏すが…俺は次の言葉でその場から動けなくなってしまった。
「スバル…父さんが悪かった。だから帰って来てくれ」
男性は傘を差している意味がないほど傘を傾けており、親子そろってずぶ濡れで辛気臭いと感じた。
なので
俺は男性に向かって傘を押し付けて言ってやったんだ。
「スバルは!家に帰ってくる」
急に誰だこいつと思われるだろうが、俺は男性に黙っていられないことがあった。
「君は…」
「だから親として信じて家で待ってろ!!お前が雨でずぶ濡れで風邪ひいた姿をみたら子供が心配するだろ!」
「!?」
スバルの父親に言葉を発する暇を与えず、俺は傘を預け時計塔ダンジョンに走り去った。
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