あめ
あやめは…かわいいし、カズマもイケメンだ。
なんだか二人が一緒にいると…悔しいけどお似合いだ。
これはもう、黙って身を引くしか…って、オレはなにを考えているんだ?
身を引くとかさ…
そもそも幼馴染の身を引くって…意味わかんねーよな。
身を引いたところでカズマは、幼馴染にはなれないんだ。
…なるとしたら、彼氏。
あやめの彼氏がカズマ…になるのか…。
…
あやめの隣には、いつもオレがいたんだけどな…。
数学の時間ずっとあやめとカズマのことが頭から離れなかった。
…
「りょうやくーん?目開けたまま寝てるのかなー?」
オレは先生の声にハッとした。
今、りょうやって言われた?
「えと…先生、いまオレを呼びました?」
オレの問いかけに先生は、にっこり笑ったあとに、
「呼びましたよ。三番の答えお願いしますって言ったんだけど、聞こえてなかったかな?ん?」
と、優しいお顔だけど…なんか圧がすごかった。
「三番の答え……ですね。でも先生…その前にエックスとワイってなんなんですか?以前にお伺いしたかもですが…オレは、秘密の暗号とか苦手です。だからこのゲームリタイアで。」
と答えた。
すると先生は,
「リタイアしないでほしいけど…。じゃあ、他にわかる人!みんなにわかりやすく説明もつけてくれると先生助かります」
と言っていた。
…
すると頭のいい数学博士の小林くんが
「そもそもエックスとワイとは…」
と、詳しくめっちゃ細かく説明してくれていた。
しかし、詳しく細かすぎてオレの脳みそはパンクしかけていたのでありました。
なのでもう上の空状態で窓の外をボーっと見上げた。
あー、今にも泣き出しそうな空ってこういうことを言うんだろなぁ。なんて考えていたら、ポツリとオレの頬になにか冷たいものがついた。
⁉︎
オレ泣いてる⁉︎
頬に涙が⁉︎
と、驚いているとだれかが
「ほら、早く窓しめないと‼︎」
と席を立ち上がった。
…
ああ、なんだ。
オレの涙じゃなくてただの雨粒だった。
…
そうだよ‼︎
そもそもオレがなんで、どんな理由で泣くんだよ‼︎
数学理解不能でパンクとか?
…
まったく…
と自分に呆れた。
放課後になっても雨は降ったままだった。
そして、オレの心も晴れないままだった。
…
傘…ねーや。
いつもはあやめと一緒に帰るけど、あやめ…なんかまたカズマと楽しそうに話してるし、邪魔したら悪いと思い、オレは先に帰ることにした。
ちょうどいい。
オレのおバカな頭を冷やすのにこの雨は、ベストだ。
と、雨の中傘もささないで歩いていた。
するといきなり雨がやんだ?
かと思ったら、頭上に傘が浮いていた。
…
オレって…もしかしてオレって特殊能力使えるん?
と呆然と傘を見ていたらいきなり、
「ねぇ、なんで傘もささないで先に帰っちゃうの?」
と、あやめが心配そうにオレを覗き込んだ。
あやめ…
「あやめさ、あんまりオレに構うと大変なことになんぞ?」
オレは、冷たい目であやめをみたあとすぐに目を逸らした。
「え?どう言う意味?てか、なんで目合わせないの?りょうや今日…ずっと変だよね?」
と、少し寂しい顔をするあやめ。
「あ、生まれつき変か」
「おい、なんだと?あやめさん?この傘没収ー」
オレはあやめが持っている傘を没収してやった。
まぁ…オレの方が背高いし、傘持つよって言うよりも没収って言った方がなんかお互い気つかわなくていいよなってことで、没収ついでにオレは傘を持つ係に任命された。
「りょうやって優しいよね」
⁉︎
「え?いきなり何?」
「だって、傘没収とか言いながら傘持ち変わってくれたし」
と微笑むあやめ。
…
バレていた。
「あー…ってかさ、今日予報では雨じゃなかったよな?」
とあやめに聞くとあやめは、
「うん、でもね…ラッキーアイテムがあめだったんだ。だから、雨と飴どっちかわからないからどっちも持ってきたの」
と、楽しそうにあやめは笑った。
…
あめか…
「で、ラッキーなことあったの?」
「うん!」
と嬉しそうに笑った。
…
カズマにも飴あげたのかな…。
一瞬そんなことを聞きそうになったオレは、慌ててその言葉を飲み込んだ。
だって、オレはただの幼馴染なんだもんな。
あやめがだれに飴をあげようが、だれと付き合おうが関係ないことなんだ…。
「なぁ、あやめ」
「うん?なに?」
…
「やっぱなんでもない」
「ふふ、やっぱり今日のりょうやは変だね」
…変か。
まぁ、今日のりょうや嫌いって言われたわけじゃないからいいか。
「あ、ねえ…りょうや」
「んー?」
「マンガの絵描くのにちょっとモデルになってもらいたいんだけど…ポーズとって欲しくて…」
と、少し申し訳なさそうな恥ずかしそうなあやめ。
「全然いいよ。どんなポーズすりゃいい?こう?それともこんな?」
と、変なポーズを決めてみた。
そしたら、リクエストがまさかのポーズだったのでした…。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます