第16話 委員会 ③


 放課後…図書委員が全員集まれるということで後輩である花梨の紹介を行うことにした。


 そして…


「1年の東山花梨でーす!身長は142センチ!体重は〜〜……な〜いしょ!!好きなものは甘いものーー!実は吹奏楽部にも入ってるんだー!これからみんなと楽しくやってきたいんで、ご指導ご鞭撻よろしくお願いしまーす!」


 パチパチパチパチ…


 なんともぶっ飛んだ挨拶だ。


 お前は凄いよ。運動部なんかでこんな挨拶なんかしたらぶっ飛ばされるんじゃないかと思うくらいに弾けている…いろんな意味での俺からの拍手だ。


 …図書委員でよかったな…


 心の底からそう思った。


「それじゃあ…東山さん。明日からの持ち回りなんだけど…勝手で申し訳ないんだけど、2年生には2人でチームを組んでもらっちゃっててね。僕か恋かどちらかの時に参加してもらいたいんだけど…いいかな?」


 柿島先輩の優しい言葉に。


「え〜…ゆーくんとがよかったなぁ…」


「は?」


 …ん?…


 隣の柊からすごく低い圧のかかるような声が聞こえた気がした。まぁ…気のせいだろう。


「大丈夫。2人も慣れてきたらみんなでローテーションしようと思ってるからすぐに一緒になれる日が来ると思うよ」


 なんて優しい先輩のお言葉。それに対して花梨は…


「それなら〜…いいか…」


「は?」


 …ん?…


 気のせい…だよな。


「これで……決定……さっそくだけど明日は私と…花梨…よろしくね」


 水原先輩は本を読みながら花梨へと言った。


「は〜い…」


 渋々ながら花梨は持ち回りの件を了承してくれたようだ。なぜだか終始落ち着きがなかった柊だったが、解散したあとは少し落ち着いてくれたようだった。


※ ※ ※


 次の日…


「じゃあ、柊さん…その本とってくれるかな?」


「あ、うん」


 俺と柊は放課後の委員会の仕事と言うことで本の整理をしにきていた。この日は学期が改まったということで、本の位置のリニューアル作業…新入生により多くの本を読んでもらおうという学校の方針による委員会活動だ。

 

 柿島先輩、水原先輩も来ているのだが、今いる場所からは少し遠い場所で作業中、花梨もここに来てはいるのだが、おトイレ中ということで今は二人で作業中だ。


「ごめんね、相坂君…けっこう大変じゃない?」


「ん…あぁ、いいの、いいの…けっこう重い本もあるし、こういう仕事は男がやったほうがいいよ」


 高所作業をしながら俺は、柊にお断りを入れた。


 今は高所にある本の整理中…小さな脚立のようなものには乗ってはいるため、女子の平均身長ぐらいあれば女子でも整理可能ではあるものの、いじめのように大きめな本もずらりと並ぶ配置予定をしている。さすがの俺のみみっちい精神も『この仕事を女子にやらせてはいけない』とバッテンマークを突き付けてきたため、今俺は高所作業に勤しんでいるというわけだ。


「やっぱり、先輩たちは早いねー」


 柿島先輩、水原先輩のコンビは脚立を移動させながら次々とエリアを拡大させている。さすがにそこは本好きの先輩と言うべきか?もう本を手に取っただけで、場所がわかっているような…そんなペースで進んでいく。


 …あれが、先輩の貫禄というやつか…


 それに比べ…


「相坂君…これ、そこの角から2番目…」


「はいよ…」


 こちらは本の正位置を柊に聞かなければわからない状態…これではさすがに差がついてしまうわけだ。俺もいずれはあんな感じになるのだろうか?


 ふと未来の自分を想像してしまう。



 

 


 

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