#51 カオスの前、結構平穏……と思いきや
罰ゲーム用のお料理を作り終えた僕は、他のライバーさんがいる二階へ。
今回使用するのは大部屋タイプの配信部屋で、ライバーさんが全員入った上にある程度動いても問題ないくらいの広さをしているとか。
マネージャーさん曰く、僕がお料理を作っている間に他の人たちは集まっているそうです。
なんだろう、僕だけずれてる気が……。
う、うん、大丈夫……何とかなるよね!
「こ、こんにちはっ!」
今日は初対面の人が多くてドキドキと緊張しているせいか、少しだけ声が上ずってしまいました……あぅぅ。
「お、来た来た! 椎菜ちゃん、こっち来てこっちー」
入ってきた僕に真っ先に反応したのはお姉ちゃんで、ちょいちょいと手招きをしてきたので、僕はお姉ちゃんの傍へ。
「こんにちはだぞ! 椎菜ちゃん!」
「ん、久しぶり。学園祭以来」
「こんにちはですよぉ~」
と、お姉ちゃんの所へ行くと、寧々お姉ちゃんと藍華お姉ちゃん、千鶴お姉ちゃんが挨拶をしてくれました。
「寧々お姉ちゃんに藍華お姉ちゃん、千鶴お姉ちゃんもこんにちは!」
やっぱり慣れた人がいるとすごく安心します……。
「あたしもこんにちはね、椎菜さん」
「あ、ミレーネお姉ちゃんもこんにちは!」
「えぇ、こんにちは」
僕と面識のある人達はみんな話しかけて来たけど、他の人たちはまだ僕と面識がない人ばかり……うぅ、緊張する。
「愛菜、その子がみたまちゃんをしている椎菜君、でいいのかな?」
と、カッコいい声をした長身美人さんがお姉ちゃんに話しかけていました。
わ、カッコいい人……。
「やぁ、初めまして、春風たつなをやらせてもらっている、
お姉ちゃんに話しかけていた人は、春風たつなさんでした。
切れ長の凛々しい目に、黒髪ポニーテールで、こう、すらっとしたスレンダーなお姉さんがたつなさん……り、リアルでもカッコいい!
「あっ、た、たつなおねぇたまなんですね! んっと、神薙みたまをしてます、桜木椎菜ですっ! いつもお姉ちゃんがお世話になってます!」
「ふふっ、あぁ、お世話しているよ。……しかし、事前に愛菜から聞かされていたとはいえ、本当に小さいんだね」
「あぅ……や、やっぱり変、ですか……?」
「いいや? むしろ、可愛らしくていいと思うよ」
そう言うと、皐月お姉ちゃんは少しだけ前かがみになると僕の頭を撫でだしました。
あ、すごく上手……。
「へぇ、随分といい髪質だね。これはなかなか……」
「え、えへへ……」
なんだろう、撫でられるのがすごく気持ちいい……好きなのかなぁ、やっぱり。
「むっ! ずるいわぁ、皐月さん」
僕の頭を撫でている皐月お姉ちゃんに、別の女の人……女の子? が少しだけ頬を膨らませながら声をかけていました。
「あぁ、すまないね。じゃあ、自己紹介するかい」
「もちろんや。んんっ! うちは魔乃闇リリスをさせてもろうてる、
と、僕に話しかけてきた人はどうやらリリスおねぇたまだったみたいで……って、あの、口調が……。
「え、あ、リリスおねぇたま……?」
「そうや?」
「え、あの、関西の人、なんですか?」
「ふふ、そうやぁ。うちは京都出身でなぁ。色々あってこっちで暮らしとるんよ」
とにこにこ顔で話すのは、その……僕とほとんど背丈が変わらない女の人といいますか……。
「えと、あの、年齢は……?」
「うちは21や」
「ふぇ!? そうなんですか!?」
「ふふっ、よう間違われるんやけど、れっきとした大人の女性やわぁ」
にこにこ、ほんわかとそう言って来ました。
リリスおねぇたま……栞お姉ちゃんは、僕とは違ったタイプの小さい人で、なんて言えばいいんだろう……黒と茶色の中間みたいな髪色をしていて、長さはセミロングより少し長いくらい。
顔はおっとりとしていて、すごく可愛らしい人、っていう印象が強いかも。
あ、お人形さんみたい、っていう表現のほうがいいかな?
「しっかし……ほんに元男の娘とは信じられへんなぁ。それに……やっぱし大きい……」
じっと、僕の胸を凝視する栞お姉ちゃん。
「あ、あの……」
「こーら、栞ちゃん、椎菜ちゃんが困っちゃうから胸を凝視するのはやめようね」
「おっと、こら悪いことをしたなぁ。かんにんなぁ」
「あ、いえ、大丈夫です」
栞お姉ちゃん気にしてるのかなぁ……。
「俺も自己紹介、いいか?」
今度は男の人が僕の前にやってきました。
あ、柊君とは違ったタイプのイケメンさんだ。
「おっと、刀君よろよろー」
「おう! 初めましてだな! 宮剣刀をやってる、
男の人は刀おにぃたまでした。
柊君は爽やか系のイケメンさんだけど、俊道お兄ちゃんは体育会系のイケメンさん、かな? 活発系なのかも。
けど、すごくカッコいいし、スポーツとか似合いそう……!
「桜木椎菜です! よろしくお願いしますっ! 俊道お兄ちゃん!」
「んぐっ……まさか、お兄ちゃん呼びされるとは……なぁ、愛菜さん、マジで兵器じゃね?」
「でしょ? いやぁ、本当に可愛いよねぇ」
「だなぁ……正直、悪い男とかに騙されたりしないか心配になるわ」
「ふっふっふー、その辺は学校側に椎菜ちゃんを護ってくれるボディーガードがいるから平気!」
「それってたしか、君が手を出したらぶっ殺す、とか言っていた男子だったか?」
「あぁ、そう言うたら言っとたなぁ。愛菜がそう言う言うことは、信用できるんやろうなぁ」
「そりゃあね! っと、じゃあ次は二期生と自己紹介と行こうか! 早くしないと、時間が足りないからね!」
「あ、う、うん!」
「というわけで、ミレーネちゃんおなしゃす」
「了解です。……えーっと、まあ、あたしは自己紹介は無しでいいわよね。お互い知ってるし」
「うん!」
「じゃあ……まあ、暁からいいわよね。ほら、自己紹介して」
「わー、すっごい適当だねぇ」
ミレーネお姉ちゃんの言葉で僕の前にやって来たのは、元の僕と同じくらいの身長の人でした。
「やぁ、初めまして。ボクは詩与太暁をやってる、
「桜木椎菜です、よろしくお願いします! 冬夜お兄ちゃん!」
「おー、実際にお兄ちゃん呼びされるのはすっごく照れるね。うん、けどいいねいいね」
冬夜お兄ちゃんはすごく柔らかい雰囲気の男の人でした。
ただ、なんだろう……前の僕を見ている気分と言いますか……その、多分だけど、僕と同じように『男の娘』って呼ばれてそうな感じが……。
髪の毛自体は肩口程度で、頭にはアホ毛があって、顔立ちはちょっと女の人寄り。
あと、髪の毛がすごくゆるふわな感じ……だから、余計に前の僕を見ている気分になります……けど、同時に親近感のようなもの湧いて来てます。
「いやぁ、君も男の娘だったんだよね?」
「あ、は、はい。その、よく言われてました」
「あれ、結構複雑な気持ちになるよね。ボクらとしてはカッコいい方がいい! って思うし」
「あ、わ、わかりますっ! カッコイイって言われたくて色々やっても、結局可愛いって言われておしまいになっちゃいますよね」
「そうそう。背伸びしてる少年って感じでねぇ……いやはや、苦労するよー」
「わかります……」
お互いのお話にうんうんと頷きあう僕と冬夜お兄ちゃん。
僕と同じような人、いるんだね……。
「ねね、うちも自己紹介していーい?」
「おっと、そうだね。じゃあ、ボクは一旦終了で。どぞー」
「やた。ハロハロー、初めまして! あーしは狼神いくまの
次に僕に自己紹介をしてくれたのは、いくまおねぇたまをしている、杏実お姉ちゃんでした。
杏実お姉ちゃんはその、かなりVTuberのモデルと似たよう雰囲気の美人さんで、上着を腰に巻いてるのが何だか特徴的。
髪色は金髪だけど、よく見るとメッシュが入っていてなんだかカッコいい感じが……。
「やー、初みたまっちだけど、マージで可愛い! みたまっちの中身が椎菜っちなのはすっごい納得!」
「そ、そうですか?」
「うんうん! ね、ミレーネっち」
「そうね。あたしもそこは同意だわ」
「……最近、ミレーネっちのツンデレが無くなってきた気がする」
「は、はぁっ? あ、あたしはツンデレじゃないしっ?」
「あ、ツンデレになった」
「まあ、最近はママを見つけたからねー。仕方ない」
「あ、あはは……」
その話題は照れちゃいます……。
「さて、最後よ、ほら、挨拶挨拶。最近コラボしたんだし、平気でしょうが」
どこか呆れた様にしながら、ミレーネお姉ちゃんが一人の女性を引っ張り出してきました。
もしかして……。
「あの、うさぎおねぇたま、ですか?」
「ひゃぅ!? す、すすすす、すみませぇんっ……こ、こんな根暗が、ぶ、VTuberなんてやってて、す、すみませぇぇんっ……!」
あ、この反応やっぱり……。
「えと、対面では初めまして! 桜木椎菜です! よろしくお願いしますっ!」
「ひぅっ!? あ、あの、えと、お、御月美うさぎ、をして、ます、あの、えと……と、
背中を丸めてどこかおどおどしている人がやっぱりうさぎおねぇたまでした。
腰元くらいまで伸びた黒髪だけど、前髪もちょっと長くて、目元が少し隠れちゃってる。
だけど、すごく美人さんなのがわかるくらい、恋雪お姉ちゃんは綺麗だと思いました。
あと……すっごく胸が大きいです。
千鶴お姉ちゃんとか大きいなぁ、なんて思ってたけど、もしかすると恋雪お姉ちゃんの方が大きい……?
「恋雪っちの胸おっきいっしょ!」
「ひぃぃ!? こ、こここんなの、し、脂肪の塊ですからぁ~~~っ……!」
「今、嫌味が聞こえた気がしたんやけど……」
「どうどう、栞ちゃんステーイ」
「ん、たしかに、恋雪さん、大きい」
「羨ましいぞ……」
「にしても、こうして見ると……椎菜さんも負けず劣らずなのね……というか、下手したららいばーほーむないでも三番目くらいにでかいんじゃない? わ、私は興味ないけどっ?」
「まあ、椎菜ちゃんのバストサイズ、身長からしたらすんごい大きいしね」
「お姉ちゃん!?」
なんでそう言うこと言っちゃうの!?
「むむむ……巨乳率が高いなぁ……うち、自信無くしてまうわ……」
「……わかるぞ、栞先輩」
「……同感ね。べ、別に気にしてるわけじゃない……いえ、気にしてるわ……」
「「「はぁ……」」」
あれ、寧々お姉ちゃんとミレーネお姉ちゃん、栞お姉ちゃんの三人が溜息吐いてる……?
「みなさん集まっていますか?」
と、突然大部屋の扉が開いて、マネージャーさんが入ってきました。
「あれ、俺らと二期のマネージャーはどうしたんすか?」
「先輩たちは別件で。すぐに合流します。……さて、まずは突然の企画に集まっていただきありがとうございます。今回は三期生をメインとした企画をしていくのですが、司会役は……そうですね、たつなさんにお願いしても?」
「あぁ、承知した」
「ありがとうございます。ですが、一人だとあれですので……デレーナさんも」
「わかりました。頑張ります」
「ありがとうございます。では、今回の概要ですが……実は、サプライズの面もありまして」
『『『サプライズ?』』』
サプライズという言葉に、思わずこの場にいる人たち全員が反応しました。
「はい。元々製作は進めていたのです。本当なら、三期生の方の制作の問題で、おそらくイベント時の発表になるだろうと予想していたのですが……なんと言いますか、依頼したクリエイターたちが頑張ってしまい、前倒しになりました。それに、サプライズの方が面白いだろうということで」
「あの、マネージャーさん、結局どういうことなんです?」
なかなか結論が出てこないので、寧々お姉ちゃんが手を上げて質問を投げかけると、マネージャーさんはにっこりと微笑んで、
「実は、これから皆さんには……3Dモデルでの配信を行ってもらいます」
・ ・ ・。
『『『……うええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???』』』
全員コラボが始まる二時間前、大部屋の中は僕たちの驚愕の声で埋め尽くされました。
この後、僕たちはどこかそわそわとしながら、配信が始まるのを待ちました。
そして、色々な準備とか調整を行っている内に、遂に配信の時間となりました。
全員コラボ、何するんだろうなぁ……というか、罰ゲーム用のお料理ってどういう経緯で使うんだろう……。
あれ? そう言えば何かを忘れてるような……こう、先に言わなきゃいけなかったようなことがあった気がするんだけど……まあいっか!
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魔乃闇リリス、実は合法ロリ(プロフィールの時にしれっとあったけど)で、京都出身で、京都弁の人! 前々からこいつはこうするって決めてた。京都……そう、京都です。
次回! 配信!
と、言いたいところですが、ようやく本編にらいばーほーむが全員揃ったので、キャラ紹介でも挟んどこうかなぁと思います。
まあ、ほら、その方が理解が深まるかもしれないし、ね?
ただ、本音を言うと、実は次の回が100話目だったりします。話数としては。ただ、キャラ紹介が二つほどあるんで、そっちを抜くと98なんですけどね。
が! 私はこの場でげろっておきたいので、明日は本編ではなく、キャラ紹介を出しておきます! ごめんね!
その代わり、配信回は頑張るので!(自分でハードルを上げた挙句、首を絞めてる)
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