#7 学園へ、書類手続きとか

「はぁ……疲れた……」


 ぽふっとベッドに倒れ込むようにして寝転ぶ僕。

 PCは既にシャットダウンしてあって、画面は真っ暗。

 そんなに長時間話してたわけじゃないのに、すっごく疲れちゃったけど、それでも……


「ふふっ……楽しかったなぁ……」


 なんだかんだ雑談配信は楽しかった。

 個人的反省点を挙げるとすると、もうちょっと視聴者さんたちとお話しできたらいいなぁって。

 だけど、頑張ればもっと上手く配信できそうだし……うん、頑張ろう。


「……そう言えば、今日はお姉ちゃんから電話がかかってこない……あれかな、怒られてるのかな?」


 お姉ちゃんは時たま暴走しすぎて、たつなさんに怒られてるってお話だし……大丈夫かな。


「ふわぁぁ~~……ちょっと疲れちゃったし……少しだけ寝ようかな……」


 疲れが出たのか、自然と欠伸が出て来て、ちょっとだけ寝ようと瞼を閉じたら、僕の意識はすぐに落ちて行った……。



 VTuberを初めてから一週間半くらい。

 気が付けば夏休みがもうすぐ終わるという時期に。

 残り日数は四日で、現在は八月二十八日。


 二学期は九月一日の金曜日からなので、本当に日数がないことがわかると思います。

 そんな中、僕のチャンネルの登録者数と言えば……3万人を超えていました。


 いや、あの……早くないかな?

 企業勢だから、今までの先輩さんたちが色々と頑張ってきたおかげで、地盤が出来て、それを基にしてデビューしたら、それなりにはなると思うよ?

 だけど……まだ、二週間も経ってないよ? 僕……。


 僕はやっていて楽しいけど、本当に視聴者の人たちは楽しんでくれているのかな、って心配にはなっちゃう。


 まあ、いいんだけど……。


 本来ならこの四日間、僕も色々と配信をしなきゃなんだけど、今の僕は男の子から女の子に変わった影響で、やらなきゃいけないことがあって……まあ、学校関係ですね……。

 とは言っても、四日丸々潰すわけじゃなくて、一応今日手続きは終わる予定だし、あとは制服とか体操着の受け渡しくらい?


 実は、制服や体操着、水着と言った学園生活において必要不可欠な物はTS病と判定された日に行った健康診断の結果が、既に通っている学園に送られているため、制服等は出来上がっているそう(体の関係上、特注サイズになったそうだけどね……)。


 なので、今日は学園へ赴いて、変更手続きとか、衣類の受け取りをする日になっています。

 色々と準備があるだろうから、ということで、今日明日明後日の配信はお休みになっているし、何より僕は高校生ということもあるし、何よりTS病を発症させているために、他の三人に比べると配信回数自体は少ない。


 まあ、そう考えちゃうと僕の配信を楽しみにしてくれている人たちに申し訳ないんだけどね……。

 実際、事務所の方から支給されたスマホで活用する僕の公式トワッターアカウントの方にも、配信が少ない理由を訊く人もいるし……。

 なので、固定の呟きに『当人の事情により、最初の内は少々配信回数は少なめです』みたいな感じに書いています。


 理由は色々と憶測が飛び交っていたけど……。


 ただ、誰もTS病だとは思っていないみたいで、一番多いのは部活動に勤しんでいる、とか、勉強をしている、みたいな学生らしいものばかりだったけど。

 僕、帰宅部だし、宿題ももう終わっているしで……その予想は外れてるんだよね……。

 ただ、女の子になったから、っていうのが理由だもん。


 閑話休題。


 そんなこんなで、今日は学園に赴くことに。

 ただ、相変わらず着替えが無いので、いつも通りの服なんだけど……。


 相変わらず真夏で日差しがキツイので、日傘をさしながらの移動。

 やっぱり視線が来るけど……あまり気にならなくなってきたような……。


「はぁ……なんだか気が重い……」


 しばらく歩くと、僕が通う学園――『姫月学園』の正門前に到着し、目の前の校舎を見るなり僕は重々しい溜息を吐いた。


 ほんの一ヶ月前までごく普通に通っていた学園に、この姿で入らなければならないということに一種の気恥ずかしさや陰鬱とした気持ちが僕の心の大半に居座る。

 けど、いつまでもここにいるわけにはいかないので、意を決して敷地内に足を踏み入れる。


 気分を紛らわせるために、ここでちょっと学園についての説明を。

 僕が通う『姫月学園』は進学校でもなければ、学力が低いといったような学校でもない、平均より上かな? くらいのごく普通の私立高校です。


 ただ、一つ一つの行事にはかなり力が入っていて、特に学園祭のようなお祭りは夏祭りのようなものとなんら遜色ないくらいです。

 それに合わせてか、この学園にはお祭りごとが好き、という理由で入って来る生徒も多く、それに部活動も盛んであるため、そこもかなり人気な理由のひとつです。


 僕は部活動をしてないけど、お友達が運動部の助っ人をよくやってます。


「やっぱり、活気があるなぁ、夏休みでも」


 正門から校舎までの間に、グラウンドから運動部の人たちの声がよく聞こえて来るし、校舎内からは吹奏楽部や合唱部が練習する音や声が聞こえて来る。

 夏休みに学園に来る日と言えば、林間学校や、登校日だけなので、なんだか新鮮。


 ……そもそも、女の子の体で来ること自体が新鮮なんだけどね……。


「えっと、下駄箱は……ん~~っ、背伸びしても届かない……!」


 体が小さくなった影響で、自分の下駄箱に手が届かなくなるという事態が発生。

 仕方ないので、近くにあった踏み台を活用して下駄箱を開け、その中に履いてきた靴を仕舞い、中に入って行く。


 上履き? 履けるわけないよ、今の体じゃ。

 なので、来客用のスリッパを履いていきました。大きいけど……。


 僕が向かうのは職員室。

 あらかじめ、国から送られてきたTS病の発症者であることを知らせることが出来る特殊国民証という、TS病の発症者にしか配られない国民証を持ち、僕はドキドキしながら校舎内を進んで行く。


 途中、練習中の吹奏楽部の人にすれ違って、なぜか微笑ましい視線を貰ったり、なぜかお菓子を貰ったりしつつ、職員室の前に到着。


 こんこん、と扉をノックしてから職員室に入った。


「し、失礼します……」

「ん? おぉ? なんだなんだ? どうしたちびっこ? 誰か、兄か姉の届け物でも来たのか?」


 僕が職員室に入ると、目の前にさばさばとした印象の女性の先生がいて、僕ににこやかに話しかけてきた。

 あ、丁度良かった……。


「あ、あの、田崎先生……」

「ん? なんだ、私を知っているのか?」

「は、はい……というか、普通に生徒です……」

「生徒? あっはっは! バカを言っちゃいけないよ。ここは高校だし、私は小学校の教師はやってないぞ?」


 まあ、まともに取り合ってもらえないよね……。

 なので、僕はお財布から例の国民証を取り出し、田崎先生に手渡した。


「ん? なんだ、これは………………はぁ!?」


 子供に向けるような笑みを浮かべる先生だったけど、僕が手渡した国民証を見ると、しばらく固まり、そしてぎょっとした顔で驚いた。


「ちょ、ちょっとこっちについてきてくれ」

「は、はい」


 僕は先生に着いてくるように言われ、先生の後を追う。

 連れてこられたのは先生のデスク。


 ちょうど隣のデスクを使う先生がお休みみたいで、そこに座るよう言われて、椅子に座ると、少しして先生がオレンジジュースを出してくれた。

 なんでオレンジジュース……好きだから全然いいけど。


「あ、あー……単刀直入に訊くぞ? ちびっこ……いや、お前は桜木椎菜で間違いないな?」

「は、はい、合ってます……」


 恐る恐る尋ねて来た田崎先生に、僕は少しおどおどしながらも、それを肯定。

 すると、田崎先生は目に見えてマジかぁ、といったような反応を見せてから口を開いた。


「うわぁ、マジかー……そういや八月頭に、国から学園生にTS病の発症者が出たから手続きをある程度進めておくように言われてたな……あれ、桜木だったのか」


 どうやら、学園側にちゃんと連絡が言っていたみたい。

 すごくありがたいです。


「そ、そうです。今月に、ちょっと発症させちゃって……」

「はぁ~~~、なるほどなぁ……んじゃ、今日来た理由ってのは、手続きと制服等の受け渡しか?」


 不思議そうに、それでいて興味深そうな声を呟くと、先生は今日の目的を言い当てる。


「はい。もうすぐ二学期ですから」

「了解だ。……ってか、お前随分とこう……可愛らしくなっちまったんだなぁ……前の姿も、どう見ても女子生徒にしか見えなかったが、今は完璧女子なんだろ?」

「そ、そうですね……あと、前の姿のことは言わないでください……あれ、コンプレックスだったんですから……」

「おっと、すまんな」


 ははは、とからから笑う先生に苦笑する。

 先生にもそう見られてたんだ、僕……。


「ま、事情はわかった。保護者の人は知ってるのか?」

「一応、お姉ちゃんが……」

「あぁ、そういやお前の姉がいたか。どうだ? 桜木姉はちゃんとやってるのか?」


 保護者が知っているのか訊かれて、僕はお姉ちゃんが知っていることを話すと、あぁ、とそういえばいたな、みたいな反応をした後に、お姉ちゃんについて尋ねて来た。


 実はお姉ちゃん、この学園の卒業生で、その時の担任の先生が田崎先生だったりします。

 姉弟揃って同じ先生というのも、面白いお話です。


「元気ですよ。今も楽しく働いて……働いて、ます?」

「おい、そこを疑問形で返されると、元教え子としては心配になるんだが? 特に、桜木姉に関しては色々あったからな」


 玉虫色の返しをした僕に、先生は心底心配そうな顔をする。

 理由はお姉ちゃんがいじめられていることを知っている先生で、かなり頑張ってくれていたからです。

 どうにかしようにも、いじめていた人たちが狡猾だったようで、結局尻尾を掴むことはできなくて悔しがっていたけど、最終的にお姉ちゃんが前向きに頑張っている姿を見てお姉ちゃんを傍で支えることを選んだすごくいい先生です。


 その代わり、いじめに加担していたと思われる生徒には表面上はいつも通りに接しつつも、細かいところでかなり厳しくしていたみたいです。


 そんな風に、生徒思いな面が強いこの先生は生徒からの人気がかなり高く、何より美人さん。

 それに、生徒の悩み事には真摯に対応してくれるともあって、男女両方から人気というのもあります。

 僕自身も、よくお世話になってたり。


「い、いえ、大丈夫です! 結構稼げてる! ってお話ですし……」

「ならいいんだが……両親には?」

「ま、まだ、です……」

「……ま、海外で仕事してる以上、伝える手段は少ないもんな」

「で、です……」


 僕が一人暮らしをしている理由は、単純に両親が海外出張中だから。

 一応、僕には一緒に海外へ行くかどうか訊かれたんだけど、やっぱり住み慣れた場所から離れたくなかったし、何より友達もいたから、こうして一人暮らしを。


 ……正直、VTuberを出来ているのもそれが理由だしね……。

 お父さんとお母さんがいる状況で配信はちょっと……。


 そう言う意味では、ある意味助かったよ……。

 いつかバレそうだけど。


 お姉ちゃんが一緒にいない理由は、以前ぽろっと語った通りです。

 弟離れが出来るように、って言う理由。


「しかし……ふぅん?」

「な、なんですか?」

「いや、なんと言うか、モテそうかと言えばモテそうではあるが、声をかけられるかと言われると……みたいな外見だな、桜木」

「それ、喜んでいいんですか……?」


 褒めているのか、褒められていないのかわからない、微妙な言葉に僕は眉根を寄せて聞き返す。


「喜んでいいと思うぞ。実際、今のお前はかなり可愛い。というか、声もものすごい可愛い」

「よ、よく言われます……」

「ん? そうなのか?」

「は、はい」


 配信で少々……というのは言えないから、心の内に仕舞っておくけど……。


「が、今のお前は背が小さい。つまり……お前に声をかけようものなら、世間からロリコンだというレッテルを張られることになるだろう」

「地味に酷いこと言ってません!?」


 それ、僕がロリって言ってるよね!? たしかに、ロリかもしれませんけど!


「ははは! ツッコミもまぁ、可愛らしくなっちまったなぁ。お前それ、声優とか、配信者とか向いてるんじゃないか?」


 ぎくっ!


「あ、あはははー、さ、さすがに向いてません、よ?」

「ま、お前はそう言うのに自分から入って行く質じゃないからな。まあ、それはいいとして、だ。……お前、その背丈なのに胸はでかいのな」

「先生!?」


 突然真面目顔で何を言ってるの!?

 先生からそう言われるの、すっごく困惑しちゃうんだけど!


「いやいや、実際そうだろ。アンバランスなはずなのに、違和感がない辺り、さすがはTS病と言うべきなのか……ま、そこはいいか。ほれ、手続き書類。とりあえず、ここに名前を書け。印鑑も持ってきてるな?」

「は、はい。持ってきてます」

「ならよし。さっさと書け。そしたら、制服類も渡すから」

「わかりました」


 先生に促されて、目の前に出された書類に名前を書いて印鑑を押す。


「書けました」

「んー……よし、不備はないな。じゃ、制服等を渡すから着いてきてくれ」

「はい」


 というわけで、先生に再び着いて行く。

 案内されたのは、僕が普段通っている教室。

 教室の中では、吹奏楽部の人たちが休憩中なのか、楽しそうに談笑していたけど、よく見ると入口付近に大きな段ボールが一つ置いてあった。


「おー、お前たち頑張ってるかー」

「頑張ってまーす!」

「先生はどうしたのー?」


 先生が声をかけると、部員さんたちは嬉しそうに笑いながら言葉を返す。

 やっぱり慕われてるよね。


「いやなに、ちょっとここの段ボールに用事があってな。……ほれ、持ってけ」

「わわっ! とと……先生、投げて渡さないでくださいよ……」


 突然荷物が入った箱を投げ渡されてちょっとよろめく。

 幸いそんなに重くもなかったし、何よりTS病のおかげで以前よりは身体能力が上がっているから大丈夫だったけど……。

 でも、先生としてどうかと思います!


「「「!?」」」

「ははっ、すまんな。んじゃ、これで終わり――」

「「「きゃ――――ッッッ!!」」」


 先生が終わりと言い切るよりも早く、突然吹奏楽部の人たちが黄色い悲鳴を上げた。


「ひゃああ!?」

「うお!?」


 それによって、僕と先生は揃ってびっくりして声を上げる。

 な、何!? なんなの!?


「せ、先生! そのめちゃくちゃ可愛い娘はどうしたんですか!?」

「先生の隠し子!?」

「ねぇねぇ、君いくつ? この学園には何しに来たのー?」

「ふぇ!? え、えと、ぼ、僕は――」

「やーん! 僕だってー! かっわいい!」

「ふやぁぁぁ!?」


 突然近づいて来た部員さんになぜか抱きしめられてしまった。

 うわわっ、い、いい匂いがっ……!

 そ、それに、すごく柔らかい……ってぇ!


「あ、あのっ! は、離して、くださぃ……」

「あっ! ごめんね! 可愛くてつい……それで先生、どうしたんです? この娘」


 離してほしいとお願いすると、慌てて僕を離してくれた。

 はぁ……色々と焦ったよ……。


「あ、あぁ、先に言っておくが、こいつは私の隠し子じゃないからな? というか、私には旦那どころか彼氏すらいないよ」

「先生モテそうなのに?」

「いいか、花の女子高生ども。モテそうだからと言って、実際にモテるかは別問題だ。ま、私は別に望んじゃいないが」


 た、たしかに……。

 実際、僕の中学生時代の友達に、友達間ではモテそうって言われていた人が、実際はモテてない、なんてことがよくあったし……実際そうだよね。

 納得しました。


「そ、そうなんですね」

「そっかー……それじゃあ、その娘は?」

「あー……こいつは学園生だよ」

「「「へ?」」」

「ちなみに、二年生な」

「「「……えぇぇぇ!?」」」


 ぽんぽん、と頭を撫でながら先生が僕が二年生であると告げると、部員さんたちはすっごく驚いた。


「ど、どどどっ! どういうことですか!?」

「え、飛び級!? 飛び級!?」

「違う。正真正銘、十七歳……あー、いや、お前まだ誕生日は迎えてなかったから、十六歳か?」

「そ、そうですね。まだ先です」

「だ、そうだ」

「そ、そうなんだ……じゃあ、一体……? もしかして、転入生?」

「転入生でもなければ、去年の四月からずっと学園生だ」

「マジで!?」

「こんなに可愛い娘なら忘れないと思うんですけど……」

「そりゃそうだ」


 まあ、つい最近までこんな姿じゃなかったしね……。

 むしろ、この姿と元の男の時の僕がイコールでイメージできたら、普通にすごいと思うけど。


「で? で!? それで誰なんですか?」

「あー……正体をばらしていいのか?」

「い、いえ、まだあまり広まってほしくないというか……その、新学期までもう少しなので……」

「だ、そうだ。諦めな。どうせ、新学期ではすれ違うだろ」

「「「えぇぇーーーー」」」

「えぇぇ、じゃない。こいつだって事情があるんだ。察してやれ」

「「「はーい……」」」


 渋々と言った様子で返事をする部員さんたちは、すごく残念そうでした。

 う、うーん、こういう姿を見ると、言ってもいいかな、ってなっちゃうけど……できれば、避けたいので……。


 途中、吹奏楽部の人に絡まれる(?)状況になったけど、新しい制服と体操着、あと上履き(と言っても、体育館シューズだけど)を貰って、昇降口へ。


「んじゃ、気を付けて帰るんだぞ」

「大丈夫です」

「そうか? あ、変な大人に話しかけられてもついて行くんじゃないぞ」

「いや僕高校生ですよ!? 小学生じゃないですっ!」

「ははは! 冗談だ。……ってかお前、日傘さして来たのか?」

「は、はい……その、この体になって色白になったからなのか、太陽光がすこしピリピリするといいますか……あと、子供は地面に近いので、少しでも熱中症にならないように、と」

「あー、なるほどな。……ふむ。本来なら日傘はダメなんだが……よし、私が学園長に掛け合って、特例で許可してもらえるようにしよう」

「え、いいんですか……?」


 個人的には残暑が厳しい時期も続くし、ありがたいけど……それはそれで、特別扱いみたいで気が引ける……。


「問題はない。というか、そういう事情があるんなら、うちの学園は普通に許可するぞ。どうしても肌が弱い、ということなら十分理由になるしな」

「先生……ありがとうございます」

「いいってことよ。じゃ、気を付けて帰るようにな」

「はい、さよなら」

「あぁ、さよなら」


 やっぱりいい先生だなぁ……そう思いながら、僕は家路に就きました。



「……そういや、桜木の奴、どっかで聴いた声をしていたんだが……気のせいか?」


「ねね、さっきの子の声、なんかあの娘に似てなかった? みたまちゃん」

「あ! わかる!」

「あの娘いいよねぇ……めちゃくちゃ可愛い声に、性格……最近の推し」



 学園から帰宅した日から三日間は特に何もなく、遂に夏休み最終日。

 今日は配信をする日です。

 いつものように配信準備を済ませて、開始時間を待つ。

 その間、コメント欄は色々な人が『待機』と打って待ってくれていました。

 こうして、僕が来るのを待ってくれるのは嬉しいなぁ……。

 うん、時間になった。

 やろう!

======================================


 えー、次回は普通に配信回になるので、例によって掲示板回を突っ込んでおきます。

 あとはいつも通りです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る