メモリーカード

天川裕司

メモリーカード

タイトル:メモリーカード


俺はUSBを4つ持っている。

今使ってるのは4つだが、全部で7つある。

内3つはメモリーが一杯になってしまい

そのうちまた要らない情報を消して、

新しく使おうかなぁなんて思ったりしてる。


でも最近、保存する仕事が多すぎて

自分1人では手が回らないようになっちゃった。


あれもこれも保存して、ファイルを作って

あれはここへ、これはこのファイルへなどと

やってるうちに、もう何がどこにあるのか…。


いやそれよりもこの記事は保存したかなぁ?

この作品はちゃんとしかるべき場所に保存しといたっけ?

など、保存したと思ってもできていない記事や

自分の作品などを、

完璧に管理できなくなってしまっていたのだ。


そう、俺は一応シナリオライターや

作家の仕事をずっとしており、

膨大な文量の作品・記事をちゃんと1つ1つ保存して

ファイルしていこうと思っていたが、

実際やってみると、どれをファイルできているのか、

保存できているのかが、全くわからなくなるものだ。


今日も保存したと思っていた5月26日分の記事が、

全く保存できていなかった。

それに手直し作業もあるので、

あとで見つけた誤字脱字の部分を写メなどに撮って

携帯に保存し、それを見ながら原本記事の手直しを

しようとしていたのだが、それも忘れたりしており、

もうシッチャカメッチャカ。


そんな状態ながら、これまで書いた記事の全部を

ちゃんと保存できているかと言えば、

膨大に漏れてしまっているんじゃないか?

なんて普通に思えてしまう。

最近そんな思いが特に膨らんでいたのだ。


「かと言って、アシスタントなんか雇えるはずないしなぁ。俺1人で全部やってかなきゃ」


バイトなんて雇える余裕、全くない。

その日の生活費を稼ぐのにもやっとなのだ。


そんな時、よくわからないけど、

なんとなく不思議な事が起きていたように思った。


絶対、保存してないと思っていた記事が

保存されている。

誤字脱字を見つけてあとで直そうとしていた箇所が、

全く手を付けていなかったのに直されている。


「……やってたのかなぁ俺?」

忙しいながら知らず内に保存して、

知らず内に手直しもしていたのかもしれない。


そんな事が徐々に起き始めていた時、

「いやこれは絶対やってないだろ!?」

さっき訂正する箇所を見つけたばかりなのに、

その日、初めてパソコンを開けてみたら手直しされている。


それに今書き上げたばかりの作品が、

もうメモリーカード(USB)に保存されていた。


「いつやったんだろう?」

なんて思いながらパソコン画面を見ていた瞬間、

「やっといてやったぞ。あのドアに感謝するのも良いけど、俺にも感謝しろよ♪」

といきなり文字が浮かび上がってきたのだ。


「ええっ??」

と初め驚いたが、

前に書いたドアの作品のエピソードもあったので、

それ以上、別に驚く事はしなかった。

(参考:生意気なトビラ

https://www.youtube.com/watch?v=G9dIh-DT0lI&t=21s)


それよりも、

「助かったよ〜!サンキュサンキュ〜♪」

なんてありがたく思い、

とにかくそのメモリーカードをそれからも大事にしてやった。


「メモリーカードが自ら俺の助手になってくれたのか」

なんて思えばこれほど力強い味方もない。

買った時点で、もうそれ以降こいつに給料(かね)はかからないし、

とにかくいつでもそばにいてくれて、

俺が紙面に書いたものをその時点で

そのままメモリーしてくれる。


とまぁ「こんなメモリカードがあれば良いなぁ〜」

なんて思っていたら、

よく使ういつものメモリーカードのUSBランプが

パソコンに差し込んでないのに

ピカーン、ピカーン、と光り始めたよ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=q_cm3XeQjZY

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メモリーカード 天川裕司 @tenkawayuji

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