父と娘と母と娘

第1話

皆さんにはたいせつな娘、息子さんはいるでしょうか。

私は三十も過ぎた独身ですが彼氏もいません。

統合失調症の世間知らずで実行力も経済力も家事をやる素振りもない、家にお金を入れない娘を両親はどう思っているか。

ちなみに、夢を描いていいならば。

夢は子孫繁栄していつか孫たちが老人ホームや実家たる自分の居場所に来るのを待ち侘びる。

そんな夢を抱いております。

孫が子を産み、ひ孫もいつか子を産み、人類が生きていられる環境であるなら、未来永劫、私の血が、家族への思いが世代と共に移り変わっても生きていくのを希望とします。

でも実際はお金をまず返して、そして貯めて、同時進行でだれかパートナーを見つけて幸せに暮らしたい。

最優先はそれ。最優先というか最低限ですか。

ほんと、お金は借りない方がいい。

人間、酒と煙草とギャンブルと色欲に溺れている働かないろくでなしでも、家族と思われれば人として接してもらえると思いますが。（ものすごく憎まれる人もいると思いますが）

自分は酒も飲めないし煙草は吸ったことないし、宝くじは買ったことあるけれど賭博は手を出したことも無い。

一応、働いているけれど。

半人前にも満たないひよっこ人間。

目下、親戚から借りた借金を返す！

が目標です。

新入社員なのでまずは仕事を覚えないと一人前として見られないし、借金がある人間なんて相手にされない、子供部屋おばさんで独り立ちもしていない。

しかし統合失調症が再発したら困るので家族か信頼できる誰かがいてくれないと、人生が妄想や幻覚に囚われないか心配で、一人暮らしは両親が死なない限り今後しないと思います。将来は、訪問看護サービスとかそういう患者の集う場所で孤独を抱えながら一人も子を成さずに最期まで生きるのかな、とも考えます。

私生活に関して、仕事ではおかげさまで。

五年もかかりましたが。

過去の職場でのパワハラからの寝たきりや精神疾患での入院。

日中の三、四時間でのアルバイトでの社会復帰。

大きい会社でのちょっと辛かったけど、気が楽な面もあった工場の派遣社員。

数ヶ月だけど三十万円くらい身の回りの家電やアパートの部屋の契約ですっ飛んだ一人暮らし。

介護のお勉強。そして施設へ就職。

もっとお給料の良い施設とか、新設された綺麗な所や、面接のハードルが高いかもしれませんが、有料老人ホームとか。就職口はいっぱいあったかもしれませんが。

駐車場が広くて良い。家から近い。

そこが最大ポイントでした。

入ってみるとねちねち言う人もいないし人間関係ではまだ日が浅いこともあり。今の所厳しい指導と態度に戸惑う時もありますが、続けられそうな所に入れました。……今の所は。

今後更に仕事を覚えて夜勤に入れればお給料もアップするとはわかっていますが。懸念事項がいくつか。

お給料、みんな上がれ、と思います。

この間。基本給とかお金の話を先輩介護職員にしたら、

「おそらく基本給は明鏡さんの方が高い！！　俺たちの場合契約が古い！！　たぶん！！」

と魂の叫びを言われて。

そんなことあるのかな？　と思いました。

登録する派遣会社によって時給が違うとかは派遣社員にはある、らしい？　ケド。

（世間知らずなのであまり周囲の話に入っていけません……）

それにしても正社員でも契約が古いと基本給に差が出る、ってあるのでしょうか。

ちなみに私はハローワークに事前に統合失調症という障がい者である事も障害者手帳を持っていることも伝えて、面接に挑みました。

最初からわかってもらえている、というのはホッとします。

ただ今後夜勤が入って自律神経が乱れた時や仕事での悩みが出来た時に、持病が再発しないか不安です。

借金に関しては働いていれば返せるものなので。

仕事がある。

自分でも勤められる場所があること自体が救いですので悩みではありません。

子育て中の親戚に借りたお金だけはとにかく信用に懸けてとにかく早く返したいけれど、こればかりはお給料日とそれまでの、労働がないと。

だから日々、いろんな意味で家族のため、自分のために、働きます。

売れるものは売ろうと家電とかを売りましたが八千円にしかならなくて、まとまったら、返したい。

そう思いました。

親戚も早くお金が返ってきて欲しいだろうに、両親には内緒にしておいてくれて助かります。

休日。

とうとう映画館に赴き。

「名探偵コナン　100万ドルの五稜星（みちしるべ）」を見に行きました。

午前と午後の部があると思ったら午後の昼過ぎの一本しか放映していなくて危なかったです。見られなくなる所でした。下調べ必要ですね。

とりあえずチケットは買えたけど、時間まで三時間はある……。

ふと、「ルックバック」、観てみようかな……。

と、とあるアニメーション映画に標準を定めました。

週刊少年ジャンプで確か読切を読んだ気がします。

コミックスが店頭に並んだ時は物珍しさに（買おうかな……）と悩んだのですが、どこがいいのかわからないのでいいか、そんなに流行や話題作を蒐集しなくても……。

と、棚に本をコミックスを戻したのです。

障害者手帳を見せると、映画館のチケット売り場のスタッフは丁寧に、

「すみません、こちらの映画、全て料金一律で千七百円となります」

と優しく教えてくださいました。

私はわざと気取って、あ！　良いですよ〜！　と財布から二千円出しましたが。

気まぐれに観る映画がコナンより高くなったことに混乱しました。

（よかったのかな……、私、ルックバックのチケット買って……）

お金もないのに、朝から何も食べずに映画館に来たのでチュロス二本とタピオカドリンク、ブレンドコーヒーまで買って、結果。

「ルックバック」を、満喫しました。

まず、入場特典でオリジナルストーリーブックを入り口で手渡されて、硬直しました。

すごいもん、もらっちゃった……。

中身なんだろ……。

昔はパニック障害で映画館もダメだったのに、今は普通に喉の苦しみも発作もなくど真ん中の席に座れます。

貰った特典を開いたら、

「ッ！」

あとで……、見よう……。

作品は、漫画より感情移入できました。涙ぐみました。号泣ではなかったです。でも、原作、過去に読んでおいて良かったな、と思います。

鑑賞後になってから、（あの時の新刊、買っておけば良かったな）と思いました。

特典をパラパラと読んで劇場版ルックバックとの違いに気づいてそこも楽しい思いになれて。

（あの時の初版の帯付きのコミックス、手に入らないかな）

と、私は封印していたフリマアプリ。

メルカ◯で「ルックバック」を検索しました。

……。特典と合わせて映画一本分のお値段で出品されていました。

ふーむ。

妥当なのか？

あの時の帯が付いたヤツがいいけど、高いや……。

黒糖タピオカドリンクの氷をガリガリしていたらすっかり体が冷えました。

思えば映画館で飲み物やポップコーンを買えるようになるまで、人生、回り道というか、挑戦できなかったな。

今だって、本当は同じ階にある隣の本屋の書籍持ち込み可能なカフェで昼食を取りたかったけど、節約してチュロス食べてるし。そもそも店員さんに注文ができるまで、映画館でチケットが買えるまでに人に慣れるまで、私、時間と人生かけ過ぎだ。

たまの休日にしか、観たいものしか、観ないけど、今日は映画館と、外食の日。

名探偵コナンを観る方は〜、みたいな映画館の親切なアナウンスを聞き。

私は念のためホットドリンクを買いに行く。

念のため。パニック障害が出た時に、お薬を飲む為の飲み物があった方がいいし。

映画館は飲食物の持ち込み禁止。

それが、なんか、私は嬉しい。

水の入った水筒くらいは許されそうだけど、こうした贅沢ではないと勝手に捉えた贅沢。

そのおかげで、私は人並みに振る舞える。

映画館でかつては発作に怯えていて、いつもすぐ劇場を出られるよう通路側の席を選んでいた、過去の自分。

お父さん。

お母さん。

私、二人に言えない秘密があるけれど。

必ず働いてお金を返すべき所に返すから。

体壊さないように調整するから。

今日は、ルックバックとコナンを観るよ。

映画館で！

ちなみにXでネタバレくらい続けても予定が合わず公開から時間が経ち、やっと観られた劇場版　名探偵コナン2024は。

さいっこう、でした。

まじっく快斗1412見てから行って良かった！！

思わずオーロラプレートを二つ買おうとしたらお金が足りなくて、PayPay使えるか聞いたらクイックペイやクレジットなら使えます、と言われたけど。

クイックペイってなに、みたいな。

「……あの、それ、やっぱり一点で、現金でお願いします」

仕方ない。

家に保管してある令和三年に作られた十枚の五百円玉を銀行に持って行って両替してお札にしよう。

しばらくは、それでお給料日までもたすか。

帰宅して貯金箱開けたらね、無いんですよ。

五百円玉貯金。

知らぬ間に、いや、知っててもどこかで両替してた……？

え、なんと……。

しまった。

お給料日まで数百円で乗り切ります。

実家暮らしの、ろくでなし。

はたらくの、がんばります！

でも、鬱にはもうなりたく無いから、頑張ってる時に更に頑張って！　って昔言ってきた親戚のおじさんはいまだに憎い、私！　あれで更に病状悪化したからな。

とりあえず日々を大切にします。

本当は父と外食に行ったお話や、母とのやりとりを書きたかったのですが。

とりあえず。

ルックバックは見て良かったし。

今年のコナン映画も最高でした。