タイムマシンでまちおこし大作戦

第1話 どうして誰も止めなかったんですか

　熊本県南部の球磨川で男の死体があがった。

　7月にしては控えめの雨がふった翌日、あからさまな水死体が橋を渡る車から見え、数件の通報、それとは別に家族からの行方不明の相談、実に簡単な事だった。

　浮いた身体の名前は河北淳一といい45歳、地元の商店街酒屋の店主、昨夜は地域のイベントを主催後、会場を後にして、二次会には行かずに帰宅途中の事故か自殺、と言った初期の予想であった。

予断を挟む余地もなく

目立った外傷もなく、水も飲んでおらず、

また上流の水辺に着衣をまとめて脱いであった事から、酒に酔って、勢い夜の川に入りそのまま心不全での死亡と推察された。

　発見現場はあさぎり町、川瀬橋の下流付近の流れの穏やかな区間

　着衣の発見現場は３キロ上流の多良木町、里の城大橋付近の河原であった。

　遺体の発見現場から入水予想の場所まで大人が立てるほど浅く流れも穏やかであるため身体は穏やかに川に流されたはずだ。

どこまで生きていて、どこから亡骸となったのかは判断が付かなかったけれど。

　平和で事件なと起きることも無い地方

確か最近、地名付きでの新聞沙汰は、白いスッポンが捕まった。

位の町であるから、充分話題の提供にはなっていた。