第26話
『アカメ、起きなさい。朝になったわよ。』
エリーゼの声に意識が覚醒する。まだ眠たいが寝袋の中から出た俺は聖なる腕輪オルゴーの中に収納した水筒を取り出して中の水を飲んだ。
そして寝袋やテントの中の物を収納するとテントを片付けていく。
洞窟の入り口から入ってくる日差しに目をしばしばさせながら外に出ると、聖なる結界の周りには数の少なくなったアンデットモンスターたちが屯していた。
「だいぶ数も減って来たな。」
『もつレベル3以上のアンデットも居ないしね。それじゃ町まで移動しましょうか。』
「そうだな。でもまずはコイツらを片付けてからだ!」
取り出した魔力銃の銃口をアンデットモンスターに向けると、俺はアンデットモンスターの頭部を狙って引き金を引いていく。
レベル1のアンデットモンスターは一撃で倒れるが、レベル2のアンデットモンスターはまだ生き残っている。
そんなレベル2のアンデットモンスターも次弾の魔力弾が命中すれば地面に倒れて動かなくなった。
聖なる結界の周りにいたアンデットモンスターを全て倒し終わると、ようやく俺は初めて聖なる結界の外に出る。
「外なのに空気が悪い?」
聖なる結界で守られた洞窟の中よりも外の方がなんだか空気が悪かった。それが何故なのかはエリーゼが教えてくれる。
『それは瘴気の影響でしょうね。外では目に見えない瘴気が漂っているわ。そのせいで外で生き物が死んだ場合はそれほど時間が経たずにアンデット化するのよ。』
「瘴気の影響か。それって生きてる人間には害はないのか?」
『もちろんあるわ。でも安心しなさい。アカメなら聖気を身体に取り込むことが出来るから対処は可能よ。』
瘴気の影響をどうにかする方法をおれがもつ俺が持っていることを聞いて安心する。何かある前に聖気を使って対処すれば良いのだから。
聖なる結界の外に出た俺は洞窟を囲んでいるように生えている森を突破しようと移動を開始した時、エリーゼから止まるように言われる。
『周りにアンデットが居ないから回収できるわ。魔石だけでも回収して置きなさい。』
「魔石?分かった。」
エリーゼに誘導されながら先ほど倒したアンデットモンスターの元まで移動する。
腐肉の死骸や骨に変わった死骸の前まで移動した俺はエリーゼに言われながら魔石の採取に挑むことになった。
「なあ、エリーゼ。流石にゾンビ系のアンデットの魔石は取りたくないぞ。」
腐った肉の内部にある魔石を取りたくはない。逆にスケルトン系のアンデットモンスターは簡単に魔石が取れるので汚くないし楽で良い。
『はぁ、仕方ないわね。それじゃあ良いわ。スケルトン系のアンデットからは魔石をしっかりと取るのよ。』
「そっちはちゃんと取るよ。」
倒したスケルトン系のアンデットモンスターの魔石を取って行きながら魔石の使い道を聞いてみると、どうやら魔石は多岐に渡る使い方があるようだ。
特に魔導具を作るのに使われており、レベルの高いモンスターから取れる魔石には能力が付いている魔石も稀にあるのだと言う。
「それだとレベル4のアンデットたちの魔石はもったいなかったな。」
『仕方ありませんよ。あの時に外に出ればアンデットに殺されていた可能性が高すぎましたからね。』
こんなところで死んだ場合、どんな場所にリスポーンするのか分からないから尚更だ。
エリーゼと話している間にゾンビ系アンデットモンスター以外のスケルトン系アンデットモンスターの魔石の採取が終わった。
「それにしてもさ、今まで殺したアンデットの死骸ってどうなったんだ?」
『大半は魔力に変わって世界に還ったわ。でも倒したアンデットやその魔石を他のアンデットに捕食もされていたでしょうね。そうなると強いアンデットに変わるのよ。だからレベルの高いアンデットが居たんじゃないかしら?』
ようやく魔石の回収を終えた俺は今度こそ森を抜けるために移動を開始した。
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