第13話

 その出された三つの条件はお姫様の遺体を生命の樹セフィロトの根本に埋葬すること。二つ目がセフィロトのある国に亡命した家族の情報を得ること。三つ目は俺が聖なる腕輪オルゴーの契約者としての役割りを間近で見る事だった。


 元々俺は生命の樹セフィロトのある国へと行く必要があるので一つ目と二つ目はその時にできるだろう。


 三つ目も俺のというかプレイヤーの目的は生命の樹セフィロトに起きている問題の解決である。


 この問題の解決は聖なる腕輪オルゴーの契約者としての役目と同じだと思う。だから、お姫様の出した条件は問題なさそうだ。


 「分かった。その条件で良いぞ。これからよろしくな、お姫様。」


 『ええ、よろしくお願いします。それと、アタシのことは名前で良いです。アタシもキミのことを名前で呼びますから。』


 「じゃあよろしく、エリーゼ。俺はアカメだ。」


 『これからよろしく、アカメ。』


 こうして俺はアンデットオブアナザーワールドで初めての仲間が出来るのだった。


 「まずはエリーゼの遺体の回収をしなきとな。」


 横たわっているエリーゼの白骨死体に視線を向ける。だいぶ時が経っているにも関わらずドレスも含めて綺麗なのは何かの魔導具の効果があるのかも知れない。


 『あっ、そのままオルゴーに収納する前に魔導具の回収をして。ちょっと危険な物があるからさ。』


 「そうなのか?」


 エリーゼにどれが魔導具なのかを教えて貰いながら回収したのがこの三つ。


生命力変換の短剣

階級8

保持魔力量34

ミスリル合金で作られた短剣 鍔元に真っ赤な宝石が装飾されている

階級分だけ生命力を魔力に変換する

【生命変換】


自然回復速度上昇の指輪

階級7

保持魔力量29

ミスリル製の指輪

階級分まで魔力を消費する事ができ、消費分だけ魔力と生命力の回復速度を上げる

【自然回復速度上昇】


二重発動のベルト

階級6

保持魔力量36

ミスリルの留め金と上級モンスターの革製のベルト

装備者の取得しているスキルを同時にもう一分発動できる もう一度分の使用魔力量は階級により決まるが、装備者のレベル分までが最大使用量になる

【二重発動】


 「この短剣の効果が物騒だな。」


 『でも、この生命力変換の短剣のお陰で長い年月も聖なる結界を貼ることができたんですよ。まあ、アタシの生命力を全て使ったので死んでしまいましたけどね。』


 笑えないことを平然と言うのはどうかと思うが、とりあえずこの話題は聞かなかったことにして無視する。


 まずは魔導具のドレスと下着を身に付けているエリーゼの遺体からオルゴーに収納すると、次に危険な生命力変換の短剣をオルゴーへと仕舞う。


 「なあ、魔導具って身に着けるだけで装備できてるのか?」


 『それで出来るよ。でも発動には魔力を使わないと発動しないから、そこは気を付けてね。』


 なるほど魔力を使って発動しないと魔導具の効果は発動しないってことか。ただ装備するだけじゃないんだな。


 俺は残っている自然回復速度上昇の指輪を左手の中指にはめて、二重発動のベルトを腰に巻いて身に着ける。


 これでステータス的にも装備することが出来たのかを確かめる為に俺はステータスを表示した。


名前 アカメ

種族 ハーフエルフ(ヒューマン)

レベル1 39/10000

筋力1

敏捷2

魔力3

魔武具 魔力銃

アクティブスキル

魔力操作

パッシブスキル

銃術 軽業

魔導具装備一覧

聖なる腕輪オルゴー(結界の首飾り、魔力増幅の盾、消費魔力軽減のイヤリング) 自然回復速度上昇の指輪 二重発動のベルト


 『ねぇ、それなんなの?』


 「それ?この透明な板のことか?」


 『うん。』


 不思議そうな声色でエリーゼは聞いて来るが、アンデットオブアナザーワールドのNPCはステータスを確認できないのか?


 「これは俺のステータスが書かれてるんだよ。ほら。」


 『ステータス?』


 色々とエリーゼとの話し合いの結果、アンデットオブアナザーワールドのNPCにはステータスがない事が確認できた。


 なら一体この世界のNPCはどうやってレベルやスキルを認識しているのだろうか疑問が湧いた。

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