第12話

 オルゴーを介して何かをするのは俺に問題がない行為なのか、それとも今はまだ問題になっていないだけなのか分からないが、それでも物の詳細を知るにはアクティブスキルの【鑑定】が必要になるのはチュートリアルで知っていたけど、お姫様が入れば【鑑定】スキルを取得する必要がなくなった。


 鑑定結果を見る限り、このオルゴーは魔力を聖気と言う物へと変換する能力。


 アイテムを収納する能力、それも無限に大きさも問わなさそうだ。


 契約者と魂で結合する。これがお姫様が成仏する事が出来なかった要因であり、オルゴーを介して俺の魂へと干渉したのだろう。


 収納している魔導具と呼ばれる物の効果を三つ付与する事が可能とあるが、このオルゴーもステータスを見れば魔導具装備一覧の場所にありそうだ。


 これが聖なる腕輪オルゴーの能力なのだとしたら、この洞窟に貼られている聖なる結界はなんだと言うのだろうか?


 「なあ、どうやってアンデットたちが入らない様にする結界を貼ったんだ?」


 『ん?それは簡単よ。オルゴーの中にある魔導具の効果を付与したの。オルゴーを意識して収納一覧って思ってみて。そうすれば、オルゴーの中に入っている物が分かるはずよ。それと収納の仕方は触れて収納すると思うだけ、取り出すのはオルゴーから取り出すものを取り出したいと思うだけよ。』


 お姫様に言われた通りに俺はオルゴーへと意識を向けて収納一覧と思ってみた。すると、オルゴーに収納されているアイテムの一覧が透明な板に書かれて表示される。


 だが、オルゴーの中に入っているのはたったの三つの魔導具だけだった。


 一つ目は結界を作り出す魔導具だと思われる結界の首飾り。二つ目は魔力増幅の盾。三つ目は消費魔力軽減のイヤリング。これがオルゴーの中に収納されている。


 「オルゴーの中に三つしか入ってないけど?」


 『そりゃそうよ。この場所にオルゴーの契約者が現れるまで聖なる結界を貼るのがアタシの最期の役目だったからね。他にも入っていた物は国を離れる弟妹たちに渡したのだから。』


 聖なる結界を貼るのに必要な物以外は出していたから、だから三つだけしかないのか。


 「そうか……中の魔導具を出すから鑑定してくれ。」


 『分かったわ。』


 オルゴーの中に入っている魔導具を取り出して鑑定してくれる様に頼む。


結界の首飾り

階級9

保持魔力量54

結界を貼る力が付与されたカーバンクルジュエルのあるミスリル製の首飾り

魔力を消費して結界を生成する

【結界生成】


魔力増幅の盾

階級7

保持魔力量39

ミスリル合金の飾りのない実用性の盾

盾を介する事で魔力を二倍に増幅する

【魔力増幅】


消費魔力軽減のイヤリング

階級8

保持魔力量49

ダイヤモンドがあしらわれたイヤリング

階級分の魔力を消費し、それ以降は階級分の魔力の消費を軽減する(魔力1までしか軽減は出来ず、魔力の消費が0にはならない)

【消費魔力軽減】


 「凄いのはなんとなく分かるけど、階級とか保持魔力量ってなに?」


 『不思議な物を武器にしてたけど、そう言えば魔導具を持ってなかったわね。それじゃあ説明するわ。』


 魔導具の階級はステータスで言うところのレベルに位置するのだそうだ。この階級分だけ魔導具は魔力消費を行なって魔導具の効果を発揮する。


 保持魔力量は魔導具が保持している魔力の量。まんまであるが、魔導具の発動にはこの保持魔力量の魔力を使用するそうで保持魔力量の魔力がなくなれば魔導具も効果を発揮しないし、基本的には保持魔力量の魔力の回復は一時間に1魔力しか回復しないそうだ。


 だから、この魔導具三つとお姫様が身に付けている魔導具はお姫様の国の国宝に値する物の様だ。他にもお姫様の遺体が身に着けている魔導具もあるそうで、お姫様はそれを回収して使用しても良いと三つの条件を出して来た。


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