第2話 100m走、世界の選手
ウサイン・ボルトが2009年に世界を席巻して以来、9.58という彼の世界記録には近づけた人でさえなかなかいないですが(ボルトとほぼ同時期に活躍したヨハン・ブレークが9.69で走っていますが)、世界の100mはそれでも熱いですw
何が熱いって?
ズバリ、一つの見どころは、「アメリカVSジャマイカ」の構図です。
この二つの国は、「戦時中」と評されるほど、その時代の世界一速い男•女の座をかけて長年争って来ました。
今年の最も速いタイムを出した男トップ10を見てみましょう。
Kishan Thompson (Jamaica)
キシャン・トンプソン(ジャマイカ)9.77
Ferdinand Omanyala (Kenya)
フェルディナンド・オマンヤラ(ケンヤ)9.79
Oblique Seville (Jamaica)
オブリーク・シビリ(ジャマイカ)9.82
Noah Lyles (USA)
ノア・ライルズ(アメリカ)9.83
Christian Coleman (USA)
クリスチャン・コールマン(アメリカ)9.86
Benjamin Richardson (South Africa)
ベンジャミン・リチャードソン(南アフリカ)9.86
Kenneth Bednarek (USA)
ケニス・ベドナレック(アメリカ)9.87
Fred Kerley (USA)
フレッド・カーリー(アメリカ)9.88
Shriner Montoya (Cuba)
シュリナー・モントーヤ(キューバ)9.90
Marcelo Jacobs (Italy)
マルセロ・ジェイコブ(イタリア)9.92
Ackeem Blake (Jamaica)
アキーム・ブレイク(ジャマイカ)9.92(同着10位)
アメリカでも日本選手権のような選考会が行われ、コールマンが外れました。
よって、アメリカ勢は
ノア・ライルズ(9.83), ケニー・ベドナレック(9.87)、フレッド・カーリー(9.88)の三人。
ジャマイカ勢は
キシャン・トンプソン(9.77), オブリーク・シビリ(9.82), アキーム・ブレイク(9.92)の三人。
ややジャマイカ勢有利か?というところですが、アメリカとジャマイカでバチバチな間に、割って入る連中がいることも事実です。
そして、もう一つの魅力は、アメリカ、ジャマイカ勢以外の選手たちです。
ここには載っていないけど、ボツワナの若きスプリンター、レツィレ・テボゴは若干21歳で、去年のブダペストの世界陸上で無風状態で9.88を出しています。海藻はこの男をダークホースと見ています。決勝まで来るのでは、と思っています。
オマンヤラが優勝する可能性も十分にありますね。ケンヤと言えば長距離の方が有名ですが、オマンヤラが騒がれてからは、テボゴもそうですが、短距離界でもアフリカ勢が台頭して来ていますね。
あと、アジア枠としては、前回の東京五輪では、ソヘイテン(中国)が世界6位になりました(すごいですね!?)。彼は今回は出れていないですが、シャ・シンギョウ(30歳)は果たして彼と同じような結果を残せるのか?
そして、海藻個人では、それこそプリポル・ブーンソンも注目です。ここ一年ほど怪我のせいもありライバルと思われたテボゴに溝を開けられていますが、まだ彼は18歳!いきなり伸びる可能性だってありますよ!
✨✨✨✨
女子も見ていきましょう。
ここでもアメリカとジャマイカはバチバチなのですが、今年はアメリカに分がありそうです。
Sha’Carri Richardson (USA)
シャカリ・リチャードソン(アメリカ)10.71
Jacious Sears (USA)
ジャシウス・シアーズ(アメリカ)10.77
Julien Alfred (Saint Lucia)
ジュリアン・アルフレッド(セントルシア)10.78
Melissa Jefferson (USA)
メリッサ・ジェファーソン(アメリカ)10.80
Shericka Jackson (Jamaica)
シェリカ・ジャクソン(ジャマイカ)10.84
Tia Clayton (Jamaica)
ティア・クレイトン(ジャマイカ)10.86
Aleia Hobbs (USA)
アレイア・ホブス(アメリカ)10.88
Rosemary Chikwuma (Nigeria)
ローズマリー・チクウマ(ナイジェリア)10.88
Twanisha Terry (USA)
ワニシャ・テリー(アメリカ)10.89
Muting Kambundji (Switzerland)
ムティン・カムバンジ(スイス)10.90
ジャマイカ勢は、
シェリカ・ジャクソン(10.84)、シェリーアン・フレーザー・プライス(10.98)、ティア・クレイトン(10.86) の三人です。
アメリカ勢は、
シャカリ・リチャードソン(10.71)、メリッサ・ジェファーソン(10.80)、ワニシャ・テリー(10.89)の三人です。
一見するとアメリカ勢が優勢に見えますが、結構本番でいきなり速くなることもあるのがジャマイカ勢です。シェリー・アンはもう37歳で、今年のオリンピックで引退するそうですが、何度も10.7台付近で走っていますし、今年もオリンピックでいきなり速くなる可能性がありますね。
エレーン・トンプソンは女子歴代2位の記録を持つ選手ですが(ジョイナーが80代、ドーピングが横行していた時代のスプリンターなので、疑惑を持たれていることを考えると、もしかしたら人類女子最速と言えるかもしれないですね。)
ジャマイカの有名チームを離れてから、どうも調子が良くないように思えます。今後、復帰して速いままで帰ってくるのでしょうか。
何にせよ、偉大なスプリンターが引退する、女子団距離界の時代の節目なのかもしれません。
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