第10話
マーカスが王都から王国の各地を解放するために旅だって半月ほどが経っていた。
朝早くにマーカスが放った鳥が鳥小屋に戻ってきた。
「アルフレッド様。今、知らせが届きました」
そう言って駆け込んできたのは鳥小屋の管理を任されている老人だった。
「それで?知らせにはなんと?」
「目的の島を解放することに成功したそうです」
「よかった・・・」
「陛下は統治のためにしばらく残られるそうです」
「そっか・・・」
まだマーカスと会えないのは寂しい。
だけど無事なのを確認できてよかった。
「お母様にも知らせてあげて」
「はい・・・」
老人は礼をしてからエルドラの部屋に向かった。
剣術の稽古中、先生から指摘される。
「アルフレッド様。何かいいことがありましたか?」
「うん。知らせがあってね。お父様が無事だって」
「そうですか・・・。それはよかった」
剣の修練中、アルはずっと上機嫌だった。
それは午後に入り魔法の修練に入っても変わらなかった。
それから、半月ほどしてアルの姿は朝早くから港にあった。
今日はマーカスが帰ってくるのだ。
家族として苦労したであろうマーカスを迎え入れてあげたい。
そういう気持ちでずっとマーカスが乗った船が戻ってくるのを待っていたのだ。
お昼を少し過ぎた頃、船が見えてきた。
先頭にいるのは間違えるはずもない。
アルがマーカスのために用意した中型の戦闘艦だ。
中型の戦闘艦は港から距離をとり途中で止まる。
残念ながら今の港では小型の戦闘艦なら大丈夫だが中型の戦闘艦は入ることができないのだ。
中型の戦闘艦からボートが降ろされこちらに向かってくる。
ボートに乗っていたのはマーカスだった。
「お父様。お帰りなさい」
「アル?もしかして、ずっと待っていたのか?」
「はい。少しでも早くお会いしたくて」
「そうか。私もだ」
待たせていた馬車に2人で乗り込む。
マーカスは土産話のように戦闘がどうだったのか話して聞かせてくれた。
マーカス達は砲の射程をいかして遠距離から攻撃をしつづけたらしい。
魔法とは便利なように見えて使い手によってその性能が大きく左右される。
遠距離から攻撃しようと思えばそれだけ熟練の技術が必要だ。
だが、海賊にそのような使い手がいるはずもなく一方的な展開となったそうだ。
海賊達が根負けするまで砲撃を続けたのだという。
一部、民間人にも被害が出たそうだがこればかりは仕方ない。
アームストロング砲はこの世界でも十分役割を果たしてくれそうだった。
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