第3話
あれから毎日、ボートを作り続けていた。
記念すべき100隻目作ったところ船生成のLvが1に上がった。
わくわくしながらどんな船が作れるようになったか期待しつつこの日は就寝した。
翌日、誰もいないのを確認して「船生成」と頭の中で唱える。
新たに作れるようになったのは小型の漁船だった。
確実に進歩している。
これなら、大型艦なんかもそのうち作れるのではないだろうか。
今はまだ海に出ることはできないが自分で作った船で大海原に出る。
今から楽しみで楽しみでしかたない。
最近、船を作る以外でも熱中していることが2つある。
1つは体内の魔力を身体中に巡らせること。
これをはじめてから新しいスキルとして魔力操作なるものを取得した。
そして、もう1つは体をなるべく動かすことだ。
今は寝返りをするぐらいしかできないのだが。
それが終わればすやすやと眠る。
赤子なので出来ることは少ないが充実した日々を過ごしていると思う。
ふと、気になっていることがあった。
もうじき1歳となるが、母親と思われる女性は自分のお世話のために顔をだすが父親と思われる人物が訪ねてきたことはない。
自分は嫌われているのだろうか?
そんなことを考える。
だが、それは勘違いだったと思い知らされる出来事が起きた。
1歳の誕生日を迎えた日、満面の笑顔でイケメンの男性が部屋に入ってきたのだ。
「ずっと会いたかったぞ。我が息子よ」
「もう・・・。仕方のない人ですね」
そう言って母親と思われる人が後ろから現れる。
「風習とはいえ、愛し子に1年も会えなかったのだ。お前に私の気持ちはわかるまい」
そっか・・・。
父親がこなかったのは何だかの風習のせいだったのか。
よし。
ここは1つサービスしてやろう。
「ぱぁぱ」
「なん・・・だと・・・?今、アルがパパと・・・」
「あらあら。アル?私には・・・?」
そう母親と思われる女性が言ってくる。
何やらオーラのようなものを感じる。
ここは機嫌をとるべきだろう。
「まんま。まんま」
「きゃぁぁぁ。今、ママって。アルは賢い子なのね」
ふぅ。
なんとか機嫌をとることに成功した。
「アルよ。よくやった・・・」
父親と思われる男性はぼそっとそう言ってくる。
どうやら母親と思われる女性を怒らせると怖いようである。
完全に尻に敷かれているな。
父よ。
強く生きてくれ。
「ごっほん。名残惜しいがそろそろ仕事に戻らねば。エルドラ。アルのことを頼んだぞ」
「わかっていますよ。貴方」
母親の名前はエルドラというのか。
覚えておこう。
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