プロローグ第4話「盗賊と凌辱」

 僕はあの”仮面の少女”との別れから、1週間が過ぎていた。


 異世界リスがいたあの森に戻りまた毎日ルーチンとして欠かさずやった事と言えば歩き回って小さな木の実やキノコを採取したりしたり川の水を飲む事。その間、大きなイノシシらしき獣の死骸から皮を3日掛けて木の枝やら石で剥がしていった

 皮で水筒を作りたかった、そしてこの世界で何か毎日一つでも新しい事をしなければと僕はある種の脅迫観念すらもって毎日この異世界を生き延びてた

 異世界リスもたまにきてくれる、僕にとっては唯一の友人だ。


 今はまだ寒さを感じないが冬にでもなれば凍死する、毎日何かを積みかさなければならない。「今日から二日間遠出するか?」

 この異世界に人がいるのはあの仮面の少女との一件で判明した。

 あの辺りの森を更に進んでみるか?街があるかもしれない

 いや、僕はまた”あの仮面の少女”と会いたかったのかも知れない

 僕は川に沿って一日歩いて行った、今夜は歩き疲れたからすぐ熟睡できるかな


 そんな事を考えながら寝床を探していると感じ取った。

 それも一つじゃない 僕は地面に足を取られながらも全力で走った。すると後ろから何かが追いかけてくる!その足音はどんどん近くなる、そして僕は追いつかれてしまった

 複数の人間の集団、頭巾を被り手に短剣を持っている

 前衛に6人、後方は2人弓を構えている

「盗賊か!?」僕はその集団の容姿や邪悪な顔つきからそう読み取った

 抵抗すれば殺されるか?僕は少し後ずさりしながら考えを示すために持っていた食料を捨て両手を挙げた

 盗賊たちは僕の周りを取り囲み僕が逃げないように取り囲む、そしてその中のリーダー格と思わしき人が僕に近づく

「おめぇ~金品全部出せ」


 僕は悟った。僕を恐喝し身ぐるみを剥ごうとしている

「金なんてないです!旅の途中なので食料しか持ってません!」と

 これは嘘でもなんでもなく本当の事だった。この異世界に来て3週間何の蓄えもない、家すらない

 毎日自転車操業のように水と草や木の実、キノコ食べて生きながらえてるだけだ


「あっ?!なめてるのか?俺は男も女も好きでねぇ」と盗賊は脅してくる

 冗談じゃない、こんな奴に僕の…、しかし盗賊は無理矢理僕に掴みかかってきた。

「やめろ!やめてくれ!」僕は必死に抵抗するが多勢に無勢であった。そして僕は背後から蹴飛ばされ地面に倒された

「おめぇ~綺麗な身体してるな?あ?」と別の盗賊が僕に蹴りを入れてきた

「やめろ!お願いします!」と僕は必死に抵抗した


「やめてくれ!お願いだ!やめてくれ!」


 何度も後頭部を殴られ腹に蹴りを入れられた、薄れゆく意識の中で盗賊が僕に覆いかぶさった瞬間、僕は気を失った


 どのくらい経っただろうか、目を覚ますと僕は木に縛り付けられていた。そして周りを見ると僕と同じように縛られていた女が二人いた

 二人とも歳は30前後か?うなだれて生気を失った顔をしていた……


 しばらくすると、盗賊は僕の元に来て

「おめぇ~起きたか?俺たちこれからお楽しみなんだがよ。おめぇも混ぜてやるよ」 とそして盗賊は僕を木に括り付けていたロープを外すと強引に引き寄せ再度、腕をロープで縛り立たせた

「ほら!見えてるか?今からこいつらと楽しむんだよ!」と盗賊が言うと、女の方を見てニヤリと笑い舌舐めずりをした。僕はそれを見て怒りと悲しみが込み上げてきた

「駄目だ…、こんなの嫌だ…。」

 僕は少し抵抗したが盗賊に数発殴られて意識呆然となった。なにも抵抗できないまま呆然と立ちすくみ盗賊と悲しそうに怯える女二人を見るしかなかった


 それから少し時が経った

「おめぇはまた後で別の好きモノの野郎が楽しませてやるよ!」獣のような笑みで僕を嘲り笑った。

 そして盗賊達は、女二人を連れてその場から立ち去った。僕はただ茫然と立ちすくみながら遠ざかる二人の後ろ姿を見ているしかなかった。

 女二人が連れ去られてから数時間後、日が沈みかけた頃、盗賊達が帰ってきた。そして僕の元に来ると

「おい!立て!」と言われ僕は言われるがまま立った すると盗賊は僕を撫でながら「おめぇ~も男なら分かるだろ?」と言ってきた

 僕は恐怖で何も言えず、ただ身体を震わせた。そして盗賊は僕を押して地面に倒すと近づいてきた

「や、やめろ!やめてくれ!」と抵抗したが力の差は歴然で無駄だった


 そして僕の尊厳を破壊していった……

 盗賊の顔が紅潮すると同時に僕の心も壊れていった…


 僕はそのまま地面に倒れ込み意識を失った……

 目が覚めるとそこはテントの中だった。手はロープで後ろに縛られたまま、横にはあの女二人も縛られて寝かされていた。


「起きたか?」

 するとあの盗賊がテントに入ってきた、そして僕に近づき腹を蹴り上げてきた。その痛みで僕は眠気が吹っ飛んだ。僕は口から血と胃液を吐き出しその場に倒れた。そして盗賊は僕の髪を引っ張りながら僕を立たせた、そして僕の頬を殴りまた地面に倒した。そして盗賊は僕に言った


「おめぇは殺さないよ、あと数日は楽しむからな。」と その時、テントの入り口から声が聞こえた

「おい!お前ら何してる!?」と野太い声がした。盗賊達はその声の方を見るとそこには身長が2m近くある大男が立っていた。

 その盗賊の大男に対して盗賊は「兄貴!」と驚いた様子で言うと、その大男に頭を下げた。

「お前ら!何してんだ?」とその男が聞くと盗賊は

「へい!実はこのガキが俺たちの食料を盗もうとしたんで罰を与えてました」と答えた。するとその男は僕に近づいてきて僕の顎を掴むと顔を上に向かせた そして僕の目を見て言った

「お前か?俺の部下の食料を盗んだ奴は?」と聞いてきた。僕は恐怖で声が出ずただ黙るだけだった。

「おい!聞いてんのか?」とその大男が言うと僕の腹を蹴った。

 僕は痛みでその場にうずくまった、すると他の盗賊達がその大男に止めに入る。どうやらその大男は盗賊達のボスらしい

「兄貴!勘弁してやってください!」と盗賊達は言うが、僕は相変わらず怯えた子犬のようにただ震えていた。するとそのボスの大男が僕に近づき言った

 その大男は僕の胸倉を掴むと僕を立たせた。そして僕に向かって言った 僕は恐怖で何も言えずただ震えるだけだった すると盗賊達のボスが男に命令した。

「こいつを俺のテントに運んでおけ、周りの警備で待機してろ」と 盗賊はその命令に従うと僕を抱えてテントを出た。そして男はボスのテントに入り僕を地面に放り投げた。そして手足を縛り始めた。手足が拘束し終わるとテントから出ていった。

僕は痛みや疲れから少しウトウトし始めて軽い睡眠に入った。


 少し時間が経ったのだろうか、僕は突然目が覚めた、あのボスの大男が僕の馬乗りになっていた

「おいお前!名前はなんだ?」と聞いてきた


 僕は震えるだけで答えられなかった。すると大男が「名前が無いのか?なんなんだお前は?」と言うと

 僕は震えるだけで答えられなかった。すると大男が僕の髪を掴んできた、

「あ、いや、やめて!嫌だ!」僕は必死に抵抗したが無駄だった。

 そして僕はまた多くの涙を流すことをされた…


 どれくらいの時間が経っただろうか?いつの間にか夜が明けていた。大男は、立ち上がり、外にいた盗賊達に僕を牢屋に連れて行くように命令した。

 僕は縄を解かれた、しかしもう抵抗する気も逃げる気もなかった。ただこの地獄のような時間が終わるのを待つだけだった 盗賊達は僕を連れて森の奥深くにある大きな洞窟に入った、そしてその中にある牢屋に入れられた。その牢屋の中には他の盗賊達が数人いた 僕は牢屋の隅っこで膝を抱えて座っていた。すると一人の盗賊が僕に話しかけてきた。

「お前、名前は?」と聞いてきた 僕は少し間を置いて答えた

「名前はありません」と すると盗賊は「じゃあ俺が付けてやるよ」と言った。そして僕の方を見て言った

「そうだな……よし!お前は今日から”男娼”だ!」と言ってきた。僕はその言葉の意味を理解できなかった。

 盗賊達は僕を無理やり立たせると牢屋から連れ出した。僕は無抵抗に従った。

 そのまま洞窟の奥まで連れていかれた、そしてそこには小さな湖があった。盗賊達は僕の服を脱がすと、その湖に僕を放り投げた

「ほら!早く入れよ!」と言ってきた。僕は抵抗もなく水の中に入った。すると盗賊は僕の頭を抑え水中に沈めてきた。僕は息が出来ず必死にもがいた。しかし盗賊は僕を押さえ付けてくる、それが何度も続きそしてついに僕は意識を失った……


 目が覚めるとまた牢屋の中だった。手足は縛られている、口も塞がれている。周りを見ると他の女二人もいた。どうやら全員同じ状況のようだ。

 僕はただ黙って時が過ぎるのを待っていた、すると誰かが入ってきた。それはあのボスの大男だった。

 大男は僕に近づくと僕の髪を掴み顔を上に向かせた

「おい!お前名前付けられたんだってな」と聞いてきた。僕は恐怖で声が出なかった。しかし大男はそんなのお構い無しに続けた

「答えろ!お前の名前はなんだ?」と言ってきた

 僕は震えながら答えた「名前は……”男娼”です」


思えば僕は3週間もこの異世界の森の中で日常生活が出来て運が良かったのか


今の僕は尊厳を破壊されたただの”男娼”である

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