第47話 食道楽
レッサードラゴンの鱗をスキルで糸に加工してチョッキに仕立てたものが出来上がった。
これで、当たり所が悪くなければ銃も怖くない。
どこかの馬鹿が大規模に毒を撒きやがった。
報告を受けて、ネジル教徒を総動員した。
あのへんてこな十字架の魔道具を持たせてだ。
幸い邪気で腐らせて無毒化できるタイプの毒だったらしい。
だいじにならなくて良かった。
その地域の生態系が少し狂ったが、時間が経てば復活するだろう。
モンスターはすぐに繁殖する。
風がシャリアンヌ達の髪の毛を波立たせる。
良い風だ。
「ひひひっ、嵐が来るぞ」
不気味な婆さんがそう言って通り過ぎる。
嵐よ、来るなら来い。
5人で露店で買い食いしようと思う。
最初はみたらし団子だ。
おっ、草団子がある。
掛かっているのは白い餡子だが気にしない。
うん、ちょっと味が違う。
草餅の味はこんなのじゃなかった。
でも亜種だと言われればありだな。
不味いかと問われれば美味いというしかない。
ゴマダレの団子もある。
これは前世の味とほとんど変わりない。
おっ、大判焼きがある。
まあ、俺がネジル教徒に言って作らせているんだけど。
「クリームと、餡子」
チーズとか、野菜炒めとか、ピリ辛肉とか、甘くないのがあったけどパス。
ただ、酒のつまみには甘くないのが良いみたいで、労働者風の男達にはよく売れていた。
「フラッチェさん、甘くないのばかりですね」
「そいうライラも」
「ええ、なぜかしょっぱい物が食べたくなるんですよね。あの後には特に」
「塩気が要るってことかな」
ああ、労働者風の人達は、汗をかいて塩気がほしいのかも。
だよね、朝から酒のつまみは買い求めない。
前世で、新幹線に乗る時に酒のつまみを買うのを連想したけど、仕事に行くんだよね。
出張で夕方移動の時にはつまみを買ってたな。
行ってその日は仕事がない場合なんかも。
懐かしい。
シュウマイ美味かったな。
シュウマイは簡単にできそうだ。
肉と小麦粉と片栗粉ぐらいで、調味料は酒と砂糖と塩ぐらいかな。
不格好で良いのなら作れそうだ。
神戸で食べた豚まんは美味しかったな。
あれを作るのは難しそうだ。
とりあえず、シュウマイと餃子かな。
ラー油は色々な野菜とかをあぶらで煮て、唐辛子の粉に熱い油を掛けりゃ出来るのをテレビでみた気がする。
想像したら食いたくなった。
邪気関係ないけどこういう前世の食べ物は作っていきたい。
「団子屋、三色団子を作ったら売れるぞ」
「へい、三食ですか」
「白いのと、草のと、ピンク」
「ピンクはないんですが」
着色料なんてのはないよな。
「果汁を探せよ。何か良いのがあるだろう」
「へい」
ネジル神殿に寄って、料理のアイデアを書き出す。
ラー油の試作が始まった。
うん、良い感じ。
ニンニクを入れたのね。
受けそうだ。
なぜか、磯辺焼き団子にラー油を塗って食べる信徒達。
別に良いんだけど、ジャンクフードの香りだな。
和菓子の範疇を超えている。
中華でもないし、創作料理ってことかな。
次にラー油を使ったのは大判焼きの具。
野菜炒めにラー油が使われた。
油ギトギトでピリ辛の大判焼きもこれはこれで美味い。
餃子が作られた。
ニラとニンニクはある。
前世とは違う種類かも知れないが、似たような味だ。
醤油と酢とラー油のたれで餃子を食う。
ビールが飲みたい。
冷えたエールで我慢しておくか。
シュウマイは練りからしを少し付けて醤油に付けて食べる。
美味し。
前世より美味いと感じるのは、前世で良く食っていたのはスーパーの安物だったからかな。
名店に比べると味は落ちるがスーパーの物より美味い。
「美味しいですわ」
「精が付きそうな料理ね」
「冒険者にはぴったりかも。特にギョーザっていうのは良いわね」
「みんな美味しくて楽しいです」
ネジル教徒が血相を変えて飛び込んできた。
「何だ?」
「邪神教徒が民を人質に肉の壁を作って行進してます。おそらく狙いは王城でしょう」
「許せない」
「ライラ、これは罠だ。罠の匂いがプンプンする」
「でも行かないと。でないと私の中の良心が納得しない」
「人質ごと殺すと悪評が立ちそうですわね」
「邪神教はろくなことをしないわね」
「命令を、ディータはどのような汚れ仕事も致します」
まずは状況把握だな。
外に出ると王都全体に、結界が張られてた。
なんの結界だ。
まずそこからか。
結界の正体は分かった。
魔法禁止の結界だ。
冒険者達が誰も魔法を使ってないから分かった。
性魔法も恐らく駄目だろうな。
相手は俺達を研究して弱点を突いてきている。
相手が予期してない一撃を繰り出さない限り勝ち目はないかもな。
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