第33話 パワーレベリング
週末、騎士学園が休みなので、シャリアンヌとフラッチェとディータで狩りだ。
シャリアンヌのパワーレベリングだな。
選んだのはオークの集落。
「シャリアンヌ、やってみろよ」
「言われなくても。【性魔法】、二酸化炭素収集」
レベルが低いので時間は少し掛かるがオークの集落は二酸化炭素に包まれ沈黙した。
「見事だ」
「わたくしに掛かれば造作もありませんわ。【性魔法】、暴風」
性魔法は空間魔法ができないんだよな。
収納魔法がないのでこういう時に困る。
「のろしを上げたわよ」
フラッチェが発煙筒みたいな道具に火を点けて合図を送る。
やがて、ネジル教徒がやってきた。
オークが解体され、要らない部位は肥料になった。
次に行くか。
空を飛べるので移動が早い。
オークの集落を8つ潰した。
「昼飯にしよう」
「わたくし、食べたくありませんわ」
「食べないと持たないぞ」
「お気になさらず」
「あれじゃない。新人冒険者が良くなるやつで、討伐して解体すると肉が食べられないってなるのよ」
「すまんな。じゃあ、サラダサンドだけ食べると良い。それにスープ」
「そんなんじゃないだからね。血を見て気持ち悪くなったなんてなってない」
血を見て気持ち悪くなったんだな。
「まあいいから」
いつもよりシャリアンヌの食は細かったが何とか胃袋に押し込んだようだ。
ストレスになったということで、3人は発散タイム。
メイドさんがちょっと羨ましそうな目で見てた。
ネジル教徒の希望者に性魔法を授けるかちょっと考え中。
性魔法って便利なんだよな。
ただ、ネジル教徒は性豪がいるんだ。
あいつらが性魔法を得たらとんでもないことになりそう。
与えてから、やっぱり無しってわけにはいかないので、考えないと。
狩りが終り、シャリアンヌはレベル16になった。
「なぁ、俺がネジル教徒に性魔法を与えたら嫌か?」
「好きにすれば」
シャリアンヌは素っ気ない返事。
嫌なんだな。
「あなたのハーレムに入れるのなら良いけど」
「ディータは、不安です」
みんな否定的な意見だな。
まあセックスみたいな物だからな。
「後にも先にも性魔法を与えるのはお前らだけだ」
「嬉しいなんて思ってないんだからね」
「そうね。際限なくハーレムが広がるのも考えものよね」
「奴隷失格ですが、安心しました」
あの糞親父から手紙が届いてた。
勘当を許す代わりに金を送れと書いてある。
ファットピッグ邸に乗り込むことにした。
そろそろ決着を付けたい。
「坊ちゃん、お帰りなさいませ」
「親父はいるか?」
「はい、執務室に」
俺はノックもせずに執務室に入った。
「金は送ったか?」
「いいや」
「お前、わしに破産しろというのか」
「ああ、無能なら無能らしく奴隷にでも何でも落ちれば良い」
「親に向かってその言葉はなんだ。誰の入れ知恵だ。公爵か? 王か?」
「俺の考えだ」
「お前、気が触れたな。誰かいるか。ブタキムを捕まえろ」
護衛が続々と執務室に入ってくる。
「こんなことをするとどうなるか知っているんだろうな」
「怪我ぐらい構わん。捕まえろ」
俺は糞親父に触った。
邪気をお与え下さいと祈って。
「ブタキム様、大人しくして下さい」
「嫌だね」
「うがぁ、痛い。この痛みは何だ。何をした」
「良い子にしてないと体が腐るぞ」
「なんてことを」
「さあこいつらを退かせろ」
「捕まえるんだ。ぐがぁ。がぁ。くっ、取り消す。ふぅふぅ」
「そうだ。良い子にしとけば問題ない」
これでもうちょっかいを掛けてこないどころか、親父はまともになるだろう。
それとも邪神教幹部みたいに悪になるか。
親父は小悪党だから、自分の命を懸けて悪事なんてしないだろうな。
我ながら良い決着方法だと思った。
手切れ金ぐらい送るか。
うん、ブタキムの体を貰った恩もあるからな。
要求されていた金額の全額を送ったやった。
手切れ金との手紙を添えて。
もう親でも子でもないとも書いた。
「寂しそうなお顔ですね」
シャリアンヌが意外なことを言う。
「俺がか」
ああ、ブタキムに引きずられたのかもな。
感情は受け継いでいないが、あの親父との記憶が沢山ある。
そのせいなのかもな。
「ご主人様、お慰めが必要ですか?」
「要らん。いや4人で寝よう」
「お嬢様、ついに結ばれるのですね」
「いや、添い寝するだけだから」
一時の気の迷いか4人で寝ることになった。
ブタキムのベッドは広いので余裕で寝れた。
「ねぇ、ブタキム。何があったの?」
「親父と決着を付けただけだ」
「貴族の家はどこも色々とあるから詳しくは聞かないけど。きっと孫でも出来れば溝も埋まるわよ」
シャリアンヌが分かったようなことを言う。
「親子の断絶なんて平民じゃほぼないわね。話ぐらいならいつでも聞くわ」
「いつでも言って下さい。お慰め致します」
「みんなありがとう」
「ブタキムらしくないわね」
シャリアンヌに疑問を持たれた。
「弱気になっているようだ。忘れてくれ」
4人で寝たせいかぐっすり寝れて悪夢も見なかった。
晴れ晴れした気持ちで朝を迎えられた。
もうこんなことはしない。
ブタキムらしさを貫き通す。
えっちはしないけどな。
弱気なブタキムは終りだ。
強気でガンガン行くぞ。
――――――――――――――――――――――――
本日は一日に2回投稿です。
これが1本目です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます