第16話 浸透する教団

 騎士学園は試験期間。

 座学と実技だ。


 サクっと終わらせた。

 俺は1位だ。

 当たり前。

 日本の大学まで出たんだぞ。

 これぐらい余裕だ。

 勉強には色々とコツがある。


 前世ではそういうテクニックが溢れていた。

 その中で自分に合ったのを使えば良い。


 そして、なぜか職員室に呼び出された。


「カンニングをしたとの通報があったのだよ」


 先生からそう言われた。


「やってない」

「困ったね。認めれば順位最下位で赦してあげよう」

「やってないものはやってない」


「訴えによれば最近まで座学の成績は底辺。急に1位になれるはずはないとのことだ。これは事実と合っている」

「勉強したんだよ。容疑者側がやってないと証明するのではなくて、問い詰める側がどんなカンニングの手口か証明すべきだ」

「理に適っているな。実に困った」

「訴えた奴は手口を何だと言っている?」

「手口は分からないと言っている」

「話にならん。誰がそんなことを?」

「リード君だよ」


 またあいつか。


「証拠もないのに疑うのは失礼だ。だろ」

「うむ」


 先生は納得したが、カンニングしたとの噂が立った。

 何でもディータが性魔法で俺に正解を伝えたとのこと。

 ディータの性魔法のことは誰にも言ってない。

 知っているのはフラッチェだけだが、証拠もないのに疑うのもな。


 金が貯まりまくっているので奴隷商に行く。


「いらっしゃいませ」

「今回は病気の奴でなくても良い」

「はい、今は病気の奴はいません。ほとんどの病気はネジル神殿で治療してますから」


「金貨1000枚で見繕ってくれ」

「それはそれは」


 もみ手でニッコリ笑われた。

 金貨1000枚分の奴隷が集められた。


「結構」

「そう言えば、リードという方が来られてあなた様に売った奴隷のことを聞いてました」

「教えたのか?」

「はい、似たような奴隷が欲しいと言うので、性魔法のことを教えました」


 情報の出所はここか。

 リードもなかなかやる。

 まあ良い。


「さあ並べ。ネジル教に入れば奴隷から解放してやる。ご利益もある。黒気を授けるからな。黒気は良いぞ、酒と醤油という調味料が造れる。だが善行を積まないと災いが降りかかる」


「解放してくれるなら」

「私も」

「俺もネジル教に入る」


 みんなネジル教徒になった。

 学園に帰ると、ディータが泣いていた。


「何かあったのか?」

「淫乱の売女と言われました。私はご主人様だけです。淫乱ですが、売女ではありません」


 そこはどっちも否定しようよ。


「私も言われたわ。笑い飛ばしてやったけど」


 フラッチェもか。

 噂には噂で対抗だ。


 俺の女に手を出して良いのは俺だけだ。

 言葉責めする権利があるのもな。確かに二人はエッチだが、売春行為はしてない。

 羨ましいか?

 羨ましかったらそういう女を作るんだな。

 と言いまくった。


 俺はフラッチェとディータがどんなにエッチなのか話して聞かせた。

 エッチは娯楽として実に良い。

 気分転換したいだろ。

 男も女も楽しみがないとやっていけないんだよとエッチを正当化した。


 エッチは良い事だと塗り替えるのだ。

 表向きは賛同しないが、裏ではやりたいと思っている奴が多数いる。


 15歳と言えばやりたい盛りだからな。

 くっくっくっ、ネジル教を紹介してやった。

 元邪神教徒にはエロに対する拒否感などない。

 みんな楽しんでる。


「生徒を邪教に引き込むのをやめろ」

「リード君ではないか。お前だってやりたいんだろう無理するなよ」

「みだらなことなどしたくない。お前じゃないんだから」


「大半の生徒はネジル教徒になったぞ。それが現実だ」

「くそっ、悪辣になりやがって」

「ふん、ひとは成長するんだよ」


 そういうことにしておかないと悪魔憑きと疑われるからな。


「辞めないのなら、僕は生徒をジャスティスに勧誘する」


 それは参ったな。

 邪神教に勧誘されるのは上手くない。


「ジャスティスは本当に正義なのか。俺には悪に見えるんだがな。だってそうだろモンスターを強化して民に被害を出すんだから!」

「お前、そんなことを大声で」

「ジャスティスに何人入るか見物だ」


 ジャスティスはモンスターを強化する危ない集団との噂を流した。

 これで入る奴は馬鹿だろう。


 しばらくして、馬鹿が数人出たようだが仕方ない。

 全員を救うことなどできない。

 改心させる機会があれば、ネジル教徒にしてやろう。


「セックスと黒気のエッチな夢は良いよな」

「そうだな。ネジル教徒になって良かったよ。善行しているから、近所の評判が良くなった」

「ストレスがないから、イライラしないしな」

「そうそう」


 生徒のネジル教への評判は良い。

 他の教会の風当たりは強いが、病気治療は住み分けはできている。

 弾圧すると暴動が起こりそうなので出来ないようだ。


 豊胸施術もネジル教だけだ。

 エロを教義に入れている教会もある。

 一夫多妻を是としている教会だ。


 さすがに売春はしてないが、エッチは推奨している。

 ネジル教は、教徒同士のセックスは禁止してない。

 自由恋愛だ。

 セックスで金を取るなと言っている。

 ネジル教でも売春は禁止だ。

 フリーセックス教団なだけだ。


 さすがに前世で50歳を越えたから俺は枯れている。

 枯れない人もいるが俺は枯れた。


 まあ、若者はやりたいよな。

 性病はウイルス性だから邪気で治療できる。

 性病が無ければ、安心してセックスできるってものだ。


 エゴ神は、エロの神様になった。

 神像の肌色成分が大きくなった。

 申し訳程度に隠しているだけだ。

 全裸の神像もあるから問題ない。

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