第9話 性魔法
さあ、気を取り直して検証の再開だ。
「フラッチェ、俺の真似をして魔力を形作れ」
「ええ」
フラッチェが拳銃を魔力で作る。
「銃って言うんだが内部で魔力を爆発させて、魔力の弾を飛ばせ」
「分かった」
パンと音がして魔力が勢いよく飛び出す。
「そうだよこれがやりたかった」
「魔力切れよ。どんぐりほどの大きさの魔力を撃って、それでお終い。意味があるの?」
「遠距離攻撃、できただろ。魔力なら俺が補充してやれる。目とか狙えば、十分に通用する。次はディータだな」
性魔法か。
ブタキムの知識に詳細がある。
性行為で男から魔力を吸い取って行使する。
問題なのは男が干からびてしまうことだ。
「ディータ、男としたことは?」
「何をですか?」
「処女かってことなんだが」
「はい処女です!」
そんなに力一杯言わなくても。
性行為には体の密着も含まれる。
そんなのならお安い御用だが、セックスが一番効率が良いのが性魔法だ。
そうだ。
「これでも舐めとけ。【供与】、魔力棒」
俺は魔力で棒アイスみたいなのを作り出した。
供与スキルありきの技だ。
「頂きます。ふわぁぁぁ、あん。くぅ。準備完了しました」
ディータが嫌らしく魔力の棒を舐める。
顔を上気させて色っぽい。
「的に向かって放て」
「【性魔法】火球」
特大のファイヤーボールが的を焼き焦がした。
「良い威力だ。近接戦闘もいけるんだよな」
「はい。【性魔法】身体強化」
ディータが的に向かってパンチを叩き込んだ。
的の支柱が折れた。
「フラッチェとディータは近接、遠距離。どちらもか。俺の護衛なら相性はいいな。よし、週末はレベル上げに行こう」
「私のレベルなら、さっき魔力を舐めて、かなり上がりました」
そうだった、性魔法って性行為でレベルが上がる。
「まあ、戦闘経験も重要だ」
「はい、性闘経験は重要です♡ まだ実戦経験はありません。今晩どうですか?」
「却下だ。たぶんだが。俺とやると死ぬぞ」
「分かりました。ですが」
ディータが俺に耳打ちする。
えー、ドン引きだよ。
もうひとつの口で魔力の棒を味わいたいなんて。
でもこれもレベル上げ。
協力しよう。
さあ、部屋に戻るか。
従者に割り当てられたディータの部屋に入り、ディータのベッドの中央に魔力の棒を出す。
そしてディータを残して、部屋を出た。
部屋からはディータの嬌声が聞こえた。
「これ、毎晩じゃないわよね。私も冒険者してたから、こういうことには耐性があるけど」
「うん、毎日はたぶんディータもつらいだろう」
ひと際大きな嬌声が聞こえた。
フラッチェがゴクリと唾を飲む。
そして、着衣の乱れたディータが出て来た。
「ご主人しゃまぁ、ありゅがとうございましゅ」
「おう」
「処女みゃくはやぶれぇてましぇん」
まあ、魔力は堅くしなかったからな。
魔力は意識しないと物理的に殴ったりできない。
体の中にあるときなどに硬くなったら困るからな。
しかし、台詞にドン引きだ。
「ゆっくり休め。こういう時にフラッチェがいる。交代で俺の従者をやってくれたら良い」
「あい」
戦闘中にあれはできないな。
「性魔法ってエロいわね。あんなのだとは知らなかった」
「俺も知識だけだ」
「弄ると邪神に連れて行かれるよと言って、自慰行為を禁じられたのが懐かしいわ。ディータなら邪神に連れて行かれそうね」
あっ、黒いモヤの正体が分かったかも。
邪気だ。
図書室で邪神について調べる。
邪神の色は黒だ。
邪神の徒に、邪神教がある。
邪神がなんの神かと言えば、邪気の神だ。
邪気は恨みとか悲しみとか、負の感情から生まれる。
うーん、邪気の生まれ方は分かった。
でも浄化の方法が書いてないる
浄化しないと邪気がこの世に溢れてしまうような気がする。
でも実際はそうなってない。
何でだ。
邪神教の教義は負の感情を増やして邪神に献上することだ。
要するに悪い奴らだ。
懲らしめたい。
それにはこっちも宗教だ。
いつも宗教は新しい世情に合ったものがもてはやされる。
新邪神教を作ってやれ。
邪気を減らして、管理する神である邪神の負担を減らす。
つまりみんなを幸せにしようってことだ。
「あんた」
フラッチェの焦ったような声。
視線は俺の手に注がれている。
みると黒いモヤが出ているではないか。
邪気が何で俺に宿るんだ。
決まっているよな。
新邪神教を名乗ったからだ。
そんなのを名乗ったので邪神が憤慨した。
いや天罰ならもっと別のがあるはずだ。
呪いとか。
「このことは秘密だ」
「ええ」
ええと、体調に変化はないな。
黒いモヤって何ができるんだ。
カビの一種かなと思って、パンに黒いモヤを掛けてみた。
パンが腐った。
腐敗の力か。
他にもあるんだろうな。
腐敗なら、醤油が欲しいところだ。
豆を茹でて塩を入れ黒いモヤを掛ける。
何となく醤油の匂い。
舐めてみた。
やっほい醤油だ。
黒いモヤ、邪気はとっても使える。
悪いばかりの力じゃないんだな。
部屋に戻るとディータが復活してた。
「ご迷惑お掛けしました。はちきれんばかりに魔力が溜まりました」
「おう」
新邪神教の話をディータにすると。
「入りたいのですが」
「まあ、醤油作りができるからな。入信」
ディータの頭に手を置いて儀式してみた。
ディータの手から邪気が出る。
その量は少ない。
俺が教祖で、信者は少ない邪気なのね。
それにしても邪神の心が知りたい。
敵対なら邪神を滅ぼしたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます