強奪スキル持ちだった豚貴族に転生した~ざまぁで反転の宝珠を使われたので、供与スキル持ちになって魔力タンク&ヒーラーとして生きる~

喰寝丸太

第1話 転生

Side:汚いブタキム


「ブタキム、お前の悪行もここまでだ」


 こいつはリード。

 俺様の奴隷だ。

 奴隷がなんだって言うんだ。


「そこで俺様が邪竜を倒すのを見ておけ」

「いや、お前は邪竜と共に滅びる。起動、スキル反転の宝珠」


「やった、奪われてたスキルが戻ってきた。レベルもだ」

「私も」

「ブタキム、お前もこれで最後だ」


 奴隷達が一斉に俺様に武器を向けた。


「ふっ、逆らうのか。【強奪】生命力。なぜだ、なぜ強奪できない」

「反転したからに決まっているだろう。みんな、こいつは俺達が殺す価値もない奴だ。じゃあな、邪竜と共に滅びろ【封印】」


 くっ、封印しやがって。


「ステータス」


――――――――――――――――――――――――

名前:ブタキム・ファットピッグ

レベル:34

魔力:2987/3250

スキル:

 供与

――――――――――――――――――――――――


 くそっ、強奪スキルがなくなっている。

 それに500を越えていたレベルが34だ。

 だが俺様はこんなことでは死なない。


「【供与】魂」


 ふっ、邪竜に憑依してやった。

 どんなもんだ。


「ギャオ(ステータス)」


――――――――――――――――――――――――

名前:邪竜(ブタキム・ファットピッグ)

レベル:15067

魔力:346985150/346985150

スキル:

 咆哮

 火炎吐息

 超身体強化

――――――――――――――――――――――――


 ふはは、この全能感は堪らん。

 封印を破ってそして、世界を支配してやる。


Side:綺麗なブタキム


 えっと何が起こった。

 俺は交通事故で死んだよな。

 この芋虫みたいな手と、でっぷり太った腹はなんだ。

 これが俺?


 くっ、この体の記憶が流れ込んできた。

 許せない。

 こいつを許しちゃ駄目だ。


「おい、豚竜、悔しかったら掛かってこい」


 俺は邪竜の尻尾で打たれ、全身の骨を砕かれた。


「これでいい。【供与】ダメージ」

「ギャオン(痛い、やめろ。お前も俺だろ)」


 邪竜が情けない悲鳴を上げた。

 俺の骨は元に戻る。


 俺は片手を切り落とした。


「【供与】ダメージ」

「ギャャャ(俺の腕が)」


 邪竜の片手が切り落とされて、やはり腕が元に戻った。

 そして切る供与を繰り返し、邪竜は切り刻まれて死んだ。

 邪竜が死んだので封印が解ける。


「ステータス」


――――――――――――――――――――――――

名前:ブタキム・ファットピッグ

レベル:426845

魔力:199330320114/199330322094

スキル:

 供与

――――――――――――――――――――――――


 驚きのレベルだな。

 供与スキルは最強だ。

 まあ強奪スキルが最強だったからな。

 反転しても強さはさほど変わらない。


 さて、この体の悪行が俺は許せない。

 償いをしながら生きていくことにしよう。


 巣穴の洞窟を出るか。

 オーガが寄って来た。

 軽くパンチを当てる。

 オーガの胴体には風穴が開いた。

 今のレベルじゃそうなるよな。


 モンスターは問題ないな。

 ダンジョンをずんずん進む。

 途中オークにやられそうになっている女性を見つけた。

 冒険者だな。


「大丈夫か」

「大丈夫そうに見える?」

「お願いブタキム様、助けて下さいと言え」


 悪役ムーブは照れ隠しだ。

 悪役が今更ヒーローを気取れない。


「くっ、背に腹は代えられない。お願いブタキム様、助けて下さい」


 軽くオークを殴る。

 オークは消し飛んだ。


「怪我をしているな。【供与】生命力」

「ちょっと、そんなことをしたらあんたが衰弱するじゃない。やめて、もういたくないから、お願い」

「生命力など一晩寝れば治る。アンデッドにちょっと触られたぐらいで死なないだろう」


 事実、少しも怠くない。

 生命力に溢れている。

 それにしても。

 女性の引き裂かれた服から見える光景が。


「何よ、その目は?」

「いや」

「貧乳で悪い。そりゃ私も巨乳に生まれたかったわよ」


「巨乳にしてやろうか」

「できるの? できるなら悪魔にだって魂を売るわ」

「お願いしますブタキム様だ」

「お願いします、悪魔様、ブタキム様」

「【供与】脂肪」

「きゃっ」


 うん、両手では隠しきれないほどになったな。

 これで良い。

 俺は脂肪が減って動き易くなった感がある。


「女冒険者、名前は?」

「フラッチェよ」


 女性冒険者は自信が付いたのか、胸を隠さずに先頭を切って歩いた。

 出てくるモンスターは俺が瞬殺した。

 冒険者ギルドに寄ると、フラッチェは倒したモンスターの魔石を換金して半分よこした。


「全部だ。治療費ともろもろだ」

「もろもろのことを言ったら殺すから」

「いや、前の体型を知ってたら、すぐに分かるだろう」

「言うな!」


 整形してるのが分かっても隠したいのか。


「みなさん、フラッチェは俺のスキルで整形して巨乳になりました。ご希望の方はお気軽にどうぞ」

「殺す」


 俺は殴って来るフラッチェの頭を片手で止めた。

 ポカポカ殴ってくるが痛くない。

 レベル差を考えたらそうだろうな。


 さて、今日中にダイエットしたいところだ。

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