第43話 一件落着


「ふぅ、これにて一件落着だな……それじゃあ最後に、言っておかないとな」


 唖然としている竜胆の元へと歩み寄った。こいつ、いっつも唖然としてんなぁ。疲れないんだろうか。


「竜胆、俺は和泉との一件で懲りてな。今後、ダンジョン配信者と組んで配信をするつもりはないんだ。だから悪い! お前と組むこともできないんだ!」


「え、ああ……いや、その、私の方からそういった提案はしていないが?」


 竜胆……どうやら無理をしているようだ。見るに耐えないなぁ。


「ああ、竜胆、そういうのいいって。本当にごめんな? ごめんごめん! マジごめんって!」


「いやだから! 私は別に、一緒にやりたいなんて言ってないぞ!?」


「……おいおい、振られたからってそんな態度、カッコ悪いぞ」


「えぇ!?」


 竜胆が目を白黒させて驚く。はいはい、わかったよ、仕方ないなぁ……。


「そこまで言われちゃあ、こっちとしてもある程度譲歩してやらんとなぁ」


「えっはっ?」


「お前がどーしても、俺の救助活動に同行し、そしてその配信で稼いだ金を俺に譲渡したいって言うなら、仕方ないっちゃ仕方ないとも思ってるよぉ。てか、拒否のしようもないよなそうなってくると。あれだろ? 報道の自由? みたいなのもあるみたいだしな」


「……え、あ、はぁ」



”¥2000 おお! それがいいなら俺も追わせて欲しい!”

”アホ! 俺たちみたいな一般人が偽善者ニキの救助についていけるわけないだろ”

”¥78800 竜胆頼むよ! どうか偽善者ニキの探索を俺たちに届けてくれ!”

”いやいや、暁にはすでに300万人のファンがいるんだぞ!? カメラマンに使っていいような人じゃないんだよ”

”そうそう。暁ファンのことも考えて偽善者ニキ!”

”そのうち100万は偽善者ニキのおかげやろwww”

”300万人登録者がいるダンジョン配信者をカメラマンに使おうとする偽善者ニキマジカッケェっすwww”

”暁ファンだけど、正直偽善者ニキに振り回される暁めちゃくちゃ可愛い”

”手マ○をされた上に、実寸大ま○○を晒されてるのにか?”

”状況が状況だったからスルーしてたけど、偽善者ニキめちゃくちゃエグいことしてて草”

”どうせ今後偽善者ニキは人気配信者を中心に助けていくんだろうから、配信に映り込むから大丈夫だよ”

”なるほどな……つっても、やっぱちゃんと見たいよ”



「ま、どうしてもっつーんなら、俺がワープ魔法で迎えに行くよ。今後、お前の位置はGPSで把握するからな」


「あ、はい……えっ!?!?」


 よし、これで、配信で稼ぎながらもダンジョン配信者にはならないという、高難度のミッションをクリアできた。


 ……すごい、こんなワクワク、初めてだ! 俺、今、めちゃくちゃ生きてる!!


「よぉし! これからもいっぱい救助して金稼ぐぞぉ! なんなら俺がダンジョンの主になって、俺のダンジョンで死にかけたやつを救助するビジネス始めるかぁ!!」



”おいwwww”

”何言ってんだwww”

”ひどいマッチポンプだよwww”

”¥78800 え、普通に偽善者ニキが作ったダンジョンに潜りたい”

”¥78800 偽善者ニキ基準で作られたダンジョンとかえげつない難易度になりそうwww”

”¥30000 偽善者ニキがダンジョン作ってくれるなら、俺そこメインダンジョンにするわ!”

”¥50000 死にそうになっても偽善者ニキが助けてくれるんだから安全だし、他のダンジョン過疎っちまいそうだなwwww”

”おいおいwww流石の偽善者ニキでもダンジョンは作れんだろwww”

”流石に嘘松だろwww”

”みんな冗談ってわかってて乗ってんだよwww”

”いや、俺は信じてる。偽善者ニキに不可能はない”

”まぁ神だからな。ダンジョンくらい作ってもらわないと困る”

”偽善者ニキ、宗教作っても成功しそうだなwwww”



「……じゃ、とりあえず今回の配信はこれで終わり! おつ晴れ!」



”おいwww”

”パクんなwww”

”お願いやめて。もう二度と聞きたくないのそのワード”

”¥78800 おつ晴れ!”

”¥78800 おつ晴れ!”

”¥78800 おつ晴れ!”

”¥78800 おつ晴れ!”

”¥78800 おつ晴れ!”

”¥78800 おつ晴れ!”

”もう二階堂の配信者キャリアの総額スパチャ余裕で超えてんだろwww”

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