第12話 テンプレ

 「今回私は...進化しない!」 


 そう私は進化しない。多分この選択肢が正解な気がする。


 「はぁ!?進化できるのにしないのか!?もったいないだろ!」


 「たしかにそうかもしれないけどもしかしたらこのままでいたら進化先がもっと増えるかもしれないからね。ギャンブルみたいだけど多分これが正解な気がする。あ、もちろんこの選択肢は人によるだろうからおすすめはしないでおくね。それに私がこの選択肢を選んだ理由の一つに技能の進化先に『創造』があるからだし」


 「なるほどな」


 「じゃあ...どうすればいいんだろう?普通の進化ならステータスから選択すればいいんだろうけど...未選択の場合は...そうだ!」


 「思いついたのか?」


 「うん。いまからちょっと大きな声出すけど気にしないでね」


 「...ああなるほど。防音魔法かけとくわ」


 会長がそういうとぼそぼそつぶやいた後部屋が緑の結界に覆われた。


 「宣誓!私、白雪真白は今回進化において進化しないことを選択します!」


 そう叫ぶとまた声が聞こえてきた。


 《プライベートアナウンス:第一進化権の破棄を確認。第一種族進化先を破棄。身体能力が向上し第二進化次に選択肢が増加します》


 私は思わずガッツポーズした。


 「お、その様子だとうまくいったみたいだな」


 「うん、うまくいった。それに想定外の収穫として身体能力の向上もあったみたいだし」


 「おお!それはよかったな!」


 「うん。さて、次は技能進化だね。技能進化先は二つ『生命神』と『創造』だよね。詳細は見れる?」


 「ああ少し待ってな......ほいこれだ」


 ☆★☆

 『生命神』

 生命を司る権能を持つ神の権能を技能まで落とした技能。階級は神級技能でその中でも上位に含まれる。

 内包スキル:『生命操作』『自然魔法』『精神攻撃無効』『状態異常無効』


 『創造』

 上位技能『創造魔法』のユニークオリジンスキル。階級は神級スキルに含まれ。世界で一人しか持つことができない

 これのスキルが出てくる条件もあり、すべて達成した人のところにしか出ない。

 すべてを創造するが干渉できないものもある。

 ☆★☆


 「...これ創造魔法の説明がおおざっぱだけどかなり強いよね」


 「ああ、かなりやばいな想像力しだいで何でもできそうだ。魔法も使えるだろうし何なら無詠唱で行けるだろうな。干渉できないものがあるとか、ただスキルなのが少し気にはなるんだよな」


 「そこはあんまり気にしなくてもいい気はする。というかこれもう選択肢一択じゃない?」


 「たしかにな」


 「じゃあ選択するね」


 私はステータスを開き技能『死神』を『創造』に進化させた。


 「じゃあ改めて私を鑑定してくれない?」


 「ああ、任せろ『鑑定』」


 ☆★☆

 名前:雪白 真白

 種族:人間?

 HP:82300/82300

 MP:9999/9999

 スキル

 『創造』

 装備

 紅シリーズ:武器『紅月』服『紅焰』


 『創造』

 上位技能『創造魔法』のユニークオリジンスキル。階級は神級スキルに含まれ。世界で一人しか持つことができない

 これのスキルが出てくる条件もあり、すべて達成した人のところにしか出ない。

 すべてを創造するが干渉できないものもある。


 幻想神器:万装『紅月』

 基本は死神の大鎌ような武器。赤と黒の配色で作られており柄と刃の付け根には、クリスタルの花が付いている。壊れることは無い。

 『創造』によって持ち主の好きな形に変化する。ただデザインは変わらず赤と黒の配色でどこかしらにクリスタルの花がついている。

 「起きて『紅月』」と宣言することで本来の力を発揮するようになる。

 使用者固定化の魔法がかけられてる。

 使用者:雪白 真白


 幻想神器:服『紅焰』

 赤と黒を基調とした服なら何にでも変化する服。壊れることはない。

 技能が付与されており。『物理耐性』『魔法耐性』『環境適応』『精神攻撃無効』『状態異常無効』が付与されている。

 使用者固定化の魔法がかけられてる。

 使用者:雪白 真白

 ☆★☆


 「うん!満足!」


 「そうかそりゃよかった。それでこれで用件は終わりか?」


 「うん!付き合ってくれてありがとう!」


 「ああ、俺も面白いものが見れたし手伝えてよかったよ」


 「それじゃあ、私はもう失礼するね」


 「ああ、また用事があれば来るといい。またな」


 「うん。またね!」


 私は会長室を出て廊下を歩いていると、助けた配信者に会う事を思い出した。


 「ああ、そういえばお願いされてたし、ロビーで待ってればいいのかな?」


 そう呟き階段を下りて人混みから少し離れたロビーの端っこで待機していた。


 しばらくすると足音が聞こえてきたから来たのかなと思って振り向くとそこには顔を赤くしたおじさんが立っていた。


 「おうおう、嬢ちゃんここは子供の遊び場じゃねえぞ」


 「...失礼なこれでも私は探索者だよ」


 「はぁ?お前みたいなちっこい奴が探索者だと?ハッ探索者の質も落ちたもんだなぁ。おれが探索者ってのおしえてやるからついてこい」


 うざい。めっちゃうざい。小説でこんなシーン見たことあるよ。現実で起こるとは思わなかったけど。これあれだよねテンプレっていうんだよね。これ実際やられるとこんなにうざいんだ。というかこんな柄悪い人が探索者になれるんだね。まあ面接試験とかはないから仕方ないんだろうけど。


 「はぁ...」


 「ああん?何ため息ついてやがるんだぁ?」


 「おじさん酒臭い離れてそして一生近づいてこないで」


 「ああ?おまえBランクのおr...」


 「何やってるんですか」


 他の人の声が聞こえた。

 そっちを向くといつもの受付嬢と数人のグループが近づいてきていた。


 「真白さん何があったんですか?」


 「じつは...」


 めんどくさかったからとりあえず全部ぶちまけてみた。


 「ふむ...真白さんさえよければ戦ってもらえませんか?」


 「私にメリットがないと思う」


 「確かにそうなんですがいつもこんな感じで若い人に絡むんですよ。なんで懲らしめてほしいなぁって」


 「...探索者ライセンスはく奪すればいいのに」


 「...確かにその手がありましたね。今から会長に相談します。それまで相手にしといてもらえませんか?ついでに仕事を増やされた個人的恨みでぼこぼこにしといてもらえると嬉しいです」


 「...おいしい高級菓子ねだっといてそれが交換条件」


 「了解です」


 「...ほら酒臭いおじさん相手にしてあげるから行くよ」


 「ああ!?うるせえ!お前なんてすぐぶっ飛ばしてしてやるよ!」


 そう言いながらついてくるおじさんの気配を感じながら絶対死なない魔法がかかってる訓練所に向かうのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る