第20話 新たなる始まりの宴 (The Banquet of New Beginnings) (2)



【公爵家の華麗なる大宴会場 ―― 黄昏時】



 数千個のクリスタルが輝く黄金のシャンデリアの下、貴族たちの優美なドレスと正装が織りなす光景は、まさに生きた芸術作品のようであった。


 上質な香水の香りと極上の料理の芳香が会場内に漂っていた。


 壁を飾る豪奢なタペストリーと金箔で装飾された柱々が、宴会場の荘厳さを一層引き立てていた。



「あの方々が...Panoskal様とPanoretia様ですわ」


「さすがは帝国随一の天才兄妹と呼ばれるだけありますわね」


「まるで神話から抜け出てきたような方々」



 私たち兄妹が入場すると、会場内に小さなざわめきが広がった。


 紺色のテールコートに銀糸の刺繍が施された兄の姿は威厳に満ち、


 隣を歩くPanoretiaは、エメラルドグリーンのドレス姿で、その優美な佇まいに万人の視線が注がれていた。


 彼女が歩むたびに、ドレスに散りばめられた宝石が光を放ち、まるで星々が舞い踊るかのような幻想的な光景を作り出していた。



 Panoretiaのドレスは、ウエストから優雅に広がるシルエットが彼女の動きと完璧に調和し、


 代々受け継がれてきた家紋の刻まれたペンダントと銀の髪飾りが、その気品を一層引き立てていた。


 裾に縫い込まれた真珠とダイヤモンドは、彼女の一挙手一投足に輝きを添え、


 月明かりのような柔らかな光を放っていた。



 オーケストラの優雅な調べが響く中、


 舞踏フロアでは既に幾組もの貴族が優美な舞を披露していた。


 黄金の灯りに照らされた彼らの姿は、まるで一枚の名画のようであった。


 華やかなドレスの裾が描く色彩の饗宴は、それ自体が芸術作品のようでもあった。



 宴会場の奥には七大公爵家当主の席が設けられ、


 その中央には皇帝陛下の玉座が威厳を放っていた。


 私たち兄妹の目は、自然と第一公爵家の席に着いている父上へと向けられた。


 父上の凛とした佇まいは、この場に集う貴族たちの尊敬を一身に集めていた。



 七大公爵家当主への挨拶を丁重に済ませ、私たちが席に着くと、会場の空気が一段と華やいだ。


 宮廷作法に則り、貴族たちが各々の席に着く間、控えめな香りが会場に漂っていた。


 そしてまもなく、皇帝陛下の入場を告げる厳かなファンファーレが宴会場に響き渡った。















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